まるでダメな男の日記

このブログでは趣味のゲームや読書感想など非生産的な駄文を書き連ねていく予定です。

第1952回 正解するマド

Posted by ヒッター7777 on   0 comments   0 trackback

乙野四万字「正解するマド」

 00:クサリス

 小説家・乙野四万字は焦っていた。
 尊敬する先輩作家・野﨑まどが脚本を担当したTVアニメーション「正解するカド」のノベライズを、早川書房から依頼されたのだ。
 しかもアニメとは違う内容にしてほしいと言う。
 テレビ放映は4月から6月。ノベライズは7月に刊行だが、1月現在、1行も書かれていない。

 01:ワムユノ

 実家で仕事をしている乙野四万字は、家族から不審がられていた。
 作家と言う仕事と印税で収入を得ているということを理解されていないらしい。
 部屋に籠って真っ白な原稿とにらめっこしていると、部屋の隅に異形の犬がいた。
 90度以下の鋭角があれば、時間や次元を超えて侵入してくる「ティンダロスの猟犬」だ。
 急いで部屋の角と角にものをガムテープで張り付けて曲線化する。
 幻覚を見るようでは末期症状だ。ならば、コンビニのバイト時代に拾った、あの小さいビニール袋に入った砕かれた結晶のようなものを・・・

 02:ナンメネルク
 気が付いたとき、壁には2m四方のフラクタル模様のがあり、そこから一人の人物が現れた。
 脚本を読んでいるから知っているが、こいつはヤハクィザシュニナだ。
 ザシュニナは部屋の隅にガムテープで貼られているクッションを指さし「あれは何か」と、問う。
 クッションだと答えると、「複数の語義が存在するが、この場合は人が座るときに固定面と人体の間に挟むことで負担を軽減するために用いられる緩衝材のことを指すと認識した。齟齬は無いか」
 「その認識で99%間違いない。」

 ヤハクィザシュニナは重大な情報の欠損を持っているようで、自分が何者で、何故此処にいるのかを知らなかった。
 はたしてこのザシュニナは、1行もノベライズが進んでいない自分の中の“異方”から現れた“対話用”のイマジナリー・フレンドなのだろうか。

 03:ワダム
 乙野四万字は昔から酔って暴れる父親を殺したいと思っていた。
 高校を出て就職して10年。東日本大震災後に実家に戻って本格的に作家業に専念する。
 しかし、それは父親と年老いた祖母と毎日顔を合わせる生活だった。

 04:ネノウム
 父親を殺したいという相談にザハクィザシュニナはあっさり頷いたが、このザシュニナが自分の幻覚なら究極の自問自答である。
 まず完全犯罪を目指すべく、本棚からミステリを選んでザシュニナに読ませることにする。
 だが、ザシュニナの読んだ谷川俊太郎の「二十億光年の孤独」は自分の記憶にあるものと違うようだ、

 乙野四万字は情報が欠損しているザシュニナに、君は“異方”から来た“異方存在”だと情報を与えた。
 乙野四万字の部屋の壁に開かれた“マド”の変換機構を通ってやってきた。“マド”は「フレゴニクス」という隔絶された境界で隔てられている。
 
 05:ミサニワ
 TVアニメーション「正解するカド」の第1話の放映が始まったが、ノベライズは1行も進んでいない。
 乙野四万字はザシュニナが“ミニマド”から無限の電力を供給する「ワム」を取り出したのを見て、宇宙の操作を可能とする“異方の腕”「ナノミスハイン”を使えば、完全犯罪が可能かと考える。

 ザシュニナは乙野四万字の本棚から次々と知識を吸収していた。
 原稿が全く進まない乙野四万字は野崎まど著「小説家の作り方」からインスピレーションを得て、ザシュニナの野崎まどの著作を読ませることにする。
 野崎まどの本は読む順番がある。
 『[映]アムリタ』
 『舞面真面とお面の女』
 『死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~』
 『小説家の作り方』
 『パーフェクトフレンド』
 『2』

 すべてを読み終わったザシュニナの結論は「作家という生き物はみな、大なり小なり頭がおかしい」というものだった。

 06:ノイルク
 07:ワサミス
 08:ミアハ
 09:ワサミス
 10:ホノウォ
 11:ソストム
 12:マド

                  正解するマド

 TVアニメーション「正解するカド」の始まる前から終了後までをメタ視点で語った作品。
 最終回で行方を眩ました品輪彼方女史は何処へ行ったのか。
 人が宇宙(小説)を創りだすのか。宇宙(小説)が人に宇宙(小説)を創りださせているのか。
 あなたは宇宙(小説)と人(読者)を隔てる「フレゴニクス」=“マド”による“異方変換”を経て“異方”へと旅立つ。

関連記事
スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://hitter7777.blog.fc2.com/tb.php/1955-8e629634