まるでダメな男の日記

このブログでは趣味のゲームや読書感想など非生産的な駄文を書き連ねていく予定です。

第1812回 僕が愛したすべての君へ

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乙野四万字「僕が愛したすべての君へ」 

 並行世界というほんの少しだけ違う可能性の世界。
 その並行世界への移行(パラレル・シフト)は人間が無意識に、日常的に行っている行為だと立証されて数十年。
 虚質科学の進展により、物質空間に干渉する虚質粒子の『虚質数(Imaginary Elements Print)』の差異を測定する方法が発見された。
 人々は手首のウェアラブル端末で、自分がどの世界に居るのか、IPアドレスで確認できるようになった。
 コンマで2つに区切られた6桁の数字の整数部分が「000」ならば基準世界だ。
 10歳の暦が突然シフトした、亡くなった祖父がまだ生きている世界。飼っている犬のユノが死んでしまった世界。
 同じ時間のどこかの並行世界。
 一番近い世界は朝食がパンだったか米だっだかくらいの違いしかない。
 だが遠くの並行世界にシフトすると、そこはまるで異世界だろう。
 それが暦が初めてパラレル・シフトを自覚した体験だった。

  高崎暦は両親が離婚するとき、母親の方へ付いていった。科学者である父親の研究を邪魔しないためだ。 
 暦が高校に入学した年の夏、突然、クラスメートの女子生徒から下の名前で呼び止められる。
 入学してから一度も話したことのない瀧川和音という少女は、暦の基準世界から85ほど離れた並行世界からシフトして来たようだ。
 その和音の基準世界では暦と和音は恋人同士らしい。
 暦はしばらく戻れないという和音と10日間を過ごすが、ある日、和音は真実を明かす。

 果たして1つでもずれた並行世界の人間は、基準世界の人間と同一人物なのだろうか。
 基準世界0から並行世界1にシフトしたとき、並行世界1の自分は入れ替わりに基準世界0へやってくる。
 高校、大学とくっついたり離れたりを繰り返した暦と和音はいつもこの問題に悩まされてきた。
 目の前にいる相手が自分の愛する人間なのかIPアドレスで確認するまでわからない。
 危うく初体験は並行世界1の和音とすることになりかけて中断した。

 暦の父が研究している『IP固定化実験』は犯罪者が並行世界へ逃走するのを防ぐものだったが、この応用で任意の対象のIPを書き換えることもできるはずだ。
 『オプショナル・シフト実験』は動物実験までは済んでいるが、人間を使った臨床試験はまだだ。
 暦と和音はどこまでIPのずれた世界の相手を愛せるか確かめるため、この実験に参加する。
 暦の10回目の実験は並行世界10にシフトするはずだった。しかし目覚めたのは並行世界35の世界。
 ここまで離れると、かなり以前に世界の分岐が起こっている。
 ここはある可能性が否定された世界だ。
 この実験結果は複数の並行世界で情報を共有する「量子コンピュータ」の役割を果たし、技術は飛躍的に発展する。

 だが悲劇はここから波紋を広げていく。
                僕が愛したすべての君へ

 うーん、キャラ設定には「化物語」の影響が大きいですね。
 発売は2016年6月です。
 「君の名は。」公開より2ヶ月早いですね。

 本来はある基準世界で起こった事件は隣接並行世界でも起こりうることだ。
 だが『シュバルツシルトIP』で表される同一事件が発症する可能性はそれほど大きくはない。
 しかし人為的シフト技術の向上は『アインズヴァッハの門』を開き、『SIP』並行世界を拡大させていく。
 はたして犯人はどの並行世界の暦だったのか。
 記録した記憶のない待ち合わせの予定表。
 73歳の暦はその日、その交差点に向かい、ひとりの少女を見かける。
 そして謎のIPアドレスが『ERROR』を示す世界で、暦が出会った老婦人はいままで一面識もないのに、どこかで出会った気もする。
 
 第1813回に続く。

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