まるでダメな男の日記

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第1393回 さよなら妖精

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米澤穂信 「さよなら妖精」 The Seventh Hope

 太刀洗万智シリーズ第1作。

 西暦1991年(平成3年)4月23日。
 藤芝高校三年生の守屋路行と太刀洗万智は雨宿りをしている外人の少女に出会う。
 ユーゴスラヴィアから来たという少女マーヤは日本語が上手かった。
 行く当てがないというマーヤに旅館をやっている同級生・白川いずるを紹介する。
 守屋と同じ弓道部の文原竹彦を含めた4人は、文化の違う国から来たマーヤと3か月を過ごす。
 だが、ユーゴスラヴィアでは内部瓦解し、戦争がはじまった。  
 7月7日。政情不穏な故国へ帰るマーヤ。

 1年後。ユーゴ紛争はまだ収まらない。
 マーヤことマリヤ・ヨヴァノヴィチは連絡先を告げずに去って行った。
 彼女の安否を気遣う守屋路行は連絡を取れないかと、卒業し、ばらばらになった級友たちに声を掛ける。


 西暦1918年に成立したユーゴスラヴィアの正式名称は「ユーゴスラビア社会主義連邦共和国」(1991年の時点)なのだ。
 南東ヨーロッパの6つの国。スロベニア共和国、クロアチア共和国、セルビア共和国、ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国、モンテネグロ共和国、マケドニア共和国で構成されていた。
 マーヤはどの国へ向かったのだろうか?
 

 本作の語り部は守屋路行であるが、クールな女子・太刀洗万智の存在感が大きい。
 日本人にとってユーゴスラヴィアという国がどこにあるか、とっさに頭に浮かぶ人は希であろう。
 しかも、6ケ国の連邦国家である。
 日本という異文化圏で理解を深めようとしたマーヤと4人の高校生たち。

 たった2ヶ月余りの間の彼女の言動から故国を推理するのを、一旦は断った大刀洗万智。
 宗教、神という存在を抑え込んだ国、ユーゴスラヴィア。
 タイトルの英語名「 The Seventh Hope」の意味。
 マーヤの国へ行きたいと願った守屋。
 ラストは涙なくして読めませんでした。
                 さよなら妖精

 西暦2001年。新聞社を辞めフリージャーナリストとなった太刀洗万智の第2作「王とサーカス」、第3作「真実の10メートル手前」は文庫化を待つか。

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