まるでダメな男の日記

このブログでは趣味のゲームや読書感想など非生産的な駄文を書き連ねていく予定です。

第301回 蔵書管理2012年12月

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蔵書管理 2012.12

 月イチの個人ネタ。単なるメモである。12月に読んだ本をチェックする。
 ACCCESSデータベースに登録した蔵書は2012年12月31日で 20,786冊(先月増+36冊)となった。
 
 内訳は
 小説  6,491 冊
 コミックス 13,858 冊
 エッセイ、NF他 437 冊 である。

 ペリーローダンのあらすじまとめなんてものに手を出したので、大幅に読書冊数が減ったが、その分、ペリーローダンを読み直していたので、読書量自体はいつもより多かったはず。
 

・1月の予定
 小野不由美さんの「十二国記」。1冊読んだが、新刊を買ったため、4冊買いだめ中。
 
 まだ読み出せない夢枕獏さんの「大帝の剣」全5巻。

 「FATE/ZERO」全6巻のうち残り4巻。3巻がどこに行ったのか見つからない。

 ペリーローダンが12月は439巻まで出ちゃた。423巻以降未読。
 
 北方謙三さんの「史記 -武帝紀ー」全7巻を読みたい。


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冬はやっぱりひっつみ汁ですねえ。
ひっつみ

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第300回 大宇宙を継ぐ者(4)

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今年の最終巻が2680話。まだ遠い・・・

第19サイクル「網を歩む者たち Die Gänger des Netzes」 1300-1349
新銀河暦445 - 447年

ローダンとゲジルの娘、エイレーネ・ローダン(16歳)登場。
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数百万年前、「バルディオク」たち7人の《力強き者》が36の種族に作らせた「大群」。その「監視者」キトマはクエリオン人の歴史を語る。太古、スープラヘトを封印したバルコン人も、キトマもその一人。

5万年前、「超越知性体《エスタルトゥ》」は「コスモヌクレオチド《ドリフェル》」を操作して、その管轄宙域の「プシ定数」を変化させ、エネルプシ駆動で利用可能な「プシオン網」を造り出した。その後、《エスタルトゥ》が失踪して以来、《力の球形体》エスタルトゥにある「コスモヌクレオチド《ドリフェル》」と、銀河系をふくむ直径5000万光年の管轄宙域は、クエリオン人と「網を歩む者たち」に守られてきた。

「網を歩む者」とは宇宙の力線(プシオン網)に乗って絶対移動(超光速、瞬時の転移)を可能とする者達。

ローダンとアトラン、エイレーネは「網を歩む者」の一員となる。
サリクは《コスモクラートの呪縛》を解く方法を探し求める。
イホ・トロトはハルト人の故郷銀河M-87へ向かう。
アラスカ・シェーデレーアはカピンの断片と分離する。

5万年前、「網を歩む者たち」とカルタン人のあいだに何があったというのか。

新銀河暦445年、「コスモヌクレオチド《ドリフェル》」を抜けて巨大宇宙船が現れ、「超越知性体《エスタルトゥ》」の消息を告げる。

「コスモヌクレオチド《ドリフェル》」の対岸は異宇宙タルカンだった。


第20サイクル「タルカン Tarkan」 1350-1399
新銀河暦447 - 448年

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年老いて収縮過程にある宇宙タルカン。そこは5万年前に、「超越知性体《エスタルトゥ》」が救助に赴いた世界。

死にゆくタルカン宇宙を脱出すべくカルタン人たち22種族の連合は、自分たちの住む銀河ハンガイをメーコラーと呼ばれるこちらの世界に転送しようとしていた。
「プロジェクト・メーコラー」によりハンガイ銀河の四分の一が転送され、局所銀河群の時空構造を大きく揺らす。

クエリオン人は不正に強化された「プシオン網」を消滅させ、《モラルコード》を正常化し「網を歩く者」の組織を解散する。それはエネルプシ駆動で動く「ヴィールス船」も使えなくなるということ。レジナルド・ブルは「エスタルトゥの十二銀河」に散った全ての《ヴィーロノート》を終結させ、故郷銀河に向かう。

タルカンに流されたローダンを救出するため、アトランも銀河系に戻る。
追放者に課せられた《コスモクラートの呪縛》は消えていた。

異宇宙タルカンで《エスタルトゥ》を探すローダン。

エルンスト・エラートとカピンの断片 はバルコン人の秘密を求めて「ポルライターの記録庫」、《深淵の騎士団》の聖堂惑星へ向かう。「アムリンガルの年表」とはなんなのか。

「混沌」の勢力に属し、「超越知性体《ヘプメタル》」に仕える組織「ヘクサメロン」。
6人の領主の内、《火炎の領主》による「時間終点計画」。
ストレンジネス障壁を越えてタルカンに侵入しようとするブルとエイレーネ。エイレーネに届く失踪した母、ゲジルの声。

《エントロピーの母》にして《熱力学第二法則の守護女》シ・キトゥは自分の利害と一致するからと、エイレーネを助ける。彼女は「法」の勢力なのか。
タルカン遠征隊は「物質シーソー」を探す。

ローダンは5万年前の記録を見る。カルタン人の艦隊と「ヘクサメロン」の艦隊が対峙する中、二つの「超越知性体」の戦いが始まる。
《エスタルトゥ》と《ヘプメタル》の戦いで残ったのは《ヘプメタル》だけだった。

「網歩服」の力で敵地に潜入するローダンとアトランは、《熱力学第二法則の守護女》シ・キトゥの具現存在から《Es(それ)》と《エスタルトゥ》の話を聞く。高次勢力からの干渉を嫌うローダンに、現在、彼らは打つ手を失っているのだと。

ハンガイ銀河第4クォーター転送まであと数分。「プロジェクト・メーコラー」完成を前にして「エスタルトゥの使節」ヒルダルは5万年前の真実を語る。
タルカン宇宙の収縮プロセスは自然発生的なものではなかった。「混沌」の勢力によるものと見抜いた《エスタルトゥ》は計画の変更を余儀なくされる。

5万年前の敗北は「真の計画」を隠すためのもの。4万年前、エスタルトゥ》は《Es(それ)》とコンタクトした。《Es》は《コスモクラート》から二つの「細胞活性装置」を受け取り、4万年後の計画を練る。
ローダンとアトランの「細胞活性装置」がタルカンに到達すれば、それが《エスタルトゥ》復活の引き金になる。

最後のクォーターが転移した。しかしそれはメーコラー宇宙の許容量を超えていた。
「コスモヌクレオチド《ドリフェル》」は構造圧迫から余剰エネルギーを吐き出す。
「エスタルトゥの十二銀河」の内、十の銀河が消滅し、その余波は局所銀河群に広がる。


第21サイクル「カンターロ Die Cantaros」 1400-1499
新銀河暦1143 - 1147年」

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暴走する《ドリフェル》は拒絶反応を起し、超空間に退く。
直径5000万光年の宙域は震撼し、局所銀河群に破局が訪れる。

異宇宙からの帰還を果たしたローダンたちは695年の間、停滞フィールドに捕まっていたことを知る。
《ドリフェル》ショック時にハンガイ銀河近傍にいた《バジス》は10万の破片として漂っていた。
「ポスビ」たちの二百の太陽の星にも何もなくなっていた。
「四本腕の預言者」とはM-87に向かったイホ・トロトなのか?
そして銀河系を封鎖している《クロノパルス・ウォール》。ローダンたちはなんとかして銀河系に帰還しようとする。

「サトラングの隠者」は「ロワとテケナーを探せ」とグッキーに言い残し死ぬ。彼こそはジェフリー・アベル・ワリンジャー教授だった。
失われた695年の間に何があったのか。それは「アムリンガルの年表」に記されている。

650年前、ギャラクティカーはポルライターとたもとを分かち、それを鎮めたのはサイボーグクローン種族カンターロだった。

《コスモクラート》タウレクは《ドリフェル》の修復と「究極の第3の謎」の答えを成果として《物質の泉》の彼岸へ帰還する予定だった。しかし、ローダンが全てをぶち壊した。
タウレクの計画は二つ。一つは「Es(それ)」を《物質の泉》まで進化させること。もうひとつは《コスモクラート》ヴィシュヌの資質を持つゲジルとエイレーネを連れて戻ること。
タウレクはゲジルを誘拐し、その遺伝子から《モノス》を造りだし、エイレーネの行方を探させた。

イホ・トロトのシュプールを追うローダン。「Es(それ)」の年代記作者の記した「アムリンガルの年表」は《ドリフェル》ショックで破壊された。トロトが知り得たのは、最後にそれを読んだものの名。それはエルンスト・エラートだった。
ローダンたちはペルセウス座ブラックホールを利用して過去界へ飛ぶ。

新銀河歴490年、惑星オリンプでのギャラクティカーとカンターロの会議。《クロノパルス・ウォール》の建設。その情報をもとに「障壁破り」に再び挑む。
自由商人ロワ・ダントンとロナルド・テケナー抵抗組織「ヴィダー」。その中のワリンジャー・コマンドも未完の「パルス整流器」を完成させようとしていた。

《バジス》は破壊されたのではなく《ネーサン》の指令で自己分解したらしい。ルナの大ポジトロン脳は敵にまわったのか。
《バジス》再建計画によりパーツ群が再統合される。

《クロノパルス・ウォール》を突破したローダンたちを阻む第二の障壁《ウィルス・ウォール》。
ローダンとエイレーネは1800万年前の廃墟でゲジルと投影像を見つける。

「細胞活性装置」を奪われカンターロに改造されたガルプレイス・デイトン。
テラの悪魔《モノス》は「Es(それ)」の《力の球形体》を奪うため、全ての「細胞活性装置」を必要としていた。

銀河系中心部の巨大ブラックホール「アマゴルダ」を監視するカンターロ。
太古種族《ヴ・アウペルティア》の末裔。
《ドリフェル》ショック時に現れた《プリッツァー》禍と、新銀河歴490年のオリンプ会議で開示されるはずだった秘密。
ローダンは「始祖」の残した記録を知る。

太陽系消滅を餌にローダンと対峙するゲジルの息子《モノス》。
ローダンは銀河系の解放出来るのか。
エイレーネの運命は?

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第299回 さて、来年は

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MG 1/100 MSN-06N シナンジュ・スタイン Ver.Ka の予約をする。
製作済みのシナンジュの隣りに置きたい。
カトキさんのデカールがまた地獄になるが、それもまた一興。
Amazonだと7350円が33%引きで4906円であった。
シナンジュ スタイン

もう一品。MG 1/100 RX-93 v(ニュー)ガンダム Ver.Ka も注文。
こちらは34%引きで 4849円。どういう値段設定だろう?
               νガンダム

サイコ・ザクも出してくれんかな~
サイコザク0

ということで バンシィの組立を年末年始でやってしまうことにする。
次回を待て!!

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第298回 大宇宙を継ぐ者(3)

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《物質の泉》から生まれたエネルギーは物質、生命、知性体をへて「超越知性体」へと進化する。「超越知性体」の支配域《力の球形体》でポジティヴな力が優勢であるかぎり、「超越知性体」はいつか《物質の泉》を形成し、さらに《コスモクラート》へと進化の道を歩む。
しかし、《力の球形体》が崩壊したとき、そこには破滅の跡《物質の沼》が残る。
「Es(それ)」の仇敵「ネガティヴ超越知性体《セト・アポフィス》」は《力の球形体》のポジティヴな構成要素を欲している。ローダンの使命は「Es(それ)」の《力の球形体》を防衛すること。


第16サイクル「宇宙ハンザ同盟 Die kosmische Hanse」 1000-1099
新銀河暦424 - 426年

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西暦は3588年で終わり、新銀河歴が始まり400年がたった。《ライレの左目》はローダンが所持している。
ローダンが創設した《宇宙ハンザ同盟》 は、局所銀河群の銀河と銀河をむすぶ通商組織として、また、《セト・アポフィス》に対する防壁として機能を始める。

様々な方法で攻撃を仕掛ける《セト・アポフィス》。
10万隻のオービター艦隊は《ハンザ同盟》に接収された。
ロワ・ダントンはデメテルと結婚している。なぜかデメテルは年を取らない。
太古の「深淵の騎士団」の拠点銀河から帰還したサリクは、進行中の太古の超コンピューター「ヴィールス・インペリウム復元計画」について語る。

それは「深淵の騎士団」に伝わる〈究極の三つの謎〉を解明するための再建だという。

 〈究極の三つの謎〉とは、
・《フロストルービン》とは何か?
・「無限艦隊」はどこに始まり、どこに終わるのか?
・《法》は何者が作り、何を記しているのか?

「深淵の騎士団」の前任者ポルライターは220万年前、銀河を次々に破壊する「フロストルービン」を封印した。
しかし、「ネガティヴ超越知性体《セト・アポフィス》」の艦隊が、その封印を破ろうとしている。
アトランは≪物質の泉≫の彼岸から≪ソル≫に戻った。
だが、彼は3587年から3791年の間の記憶は全くなかった。
その間、彼は《コスモクラート》の使命を帯びて何をしていたのか。

「Es(それ)」と《セト・アポフィス》の版図の間に、緩衝勢力を育てていたアトランと《ソル》、ローダンの旗艦《バジス》が率いる銀河系艦隊が封印宙域に向かう。
謎の女性、〈黒き炎〉のゲジルとは何者なのか。
新銀河暦426年、対峙する《セト・アポフィス》の艦隊と銀河系艦隊の前に、突如として巨大な艦隊が現れる。

第17サイクル「無限艦隊 Die Endlose Armada」 1100-1199
新銀河暦426 - 427年

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「フロストルービン」。それはこの宇宙に物理法則を供給する「コスモヌクレオチド」のひとつ。だが変調を起した「コスモヌクレオチド《ドリフェル》」は、220万年前に「深淵の騎士団」に封印された。
「深淵の騎士」オルドバンが《コスモクラート》の命で建設した「無限艦隊」は「フロストルービン」の守護艦隊だった。
人の姿に具現した《コスモクラート》タウレクは、「超越知性体《セト・アポフィス》」の秘密を語る。
放浪しながら幾多の銀河を破壊してきた「フロストルービン」に自分が搾取した「意識断片」を貯蔵し進化してきたネガティヴな「超越知性体」。だがこのままポジティヴ成分を吸収しないと《物質の沼》と化す。
「フロストルービン」をめぐるローダン、《ゼト・アポフィス》、「無限艦隊」三つ巴の戦いの結果、「深淵の騎士」ローダンはこの巨大艦隊の指揮権を得る。

ノルガン・テュア銀河では、「ヴィールス・インペリウム」の完成とともに、反乱者の《コスモクラート》ヴィシュナが目覚める。
「コスモヌクレオチド」の二重螺旋が作り出す《モラルコード》。その支配権をめぐり、宇宙開闢の頃から戦い続けてきた「秩序」の勢力《コスモクラート》と「混沌」の勢力《カオターク》。
「混沌」の勢力に与する精神集合体《ヴ・アウペルティア》は、「フロストルービン帰還計画」の要、《クロノフォシル》の効力を失わせるため、局部銀河群に介入する


第18サイクル「クロノフォシル/ヴィーロノート Chronofossilien/Vironauten」 1200-1299
新銀河暦427 - 430年

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「コスモヌクレオチド《ドリフェル》」の修復と帰還。《クロノフォシル》 活性化は、居住する種族たちにポジティヴに作用する。ローダンが局所銀河団で築き上げてきた《時間の化石》。それは「銀河種族尊厳連合」を《ギャラクティカム》という汎種族連合に昇華させる。
ローダンとかつての「トリークレ-9警護艦隊=無限艦隊」は《クロノフォシル》をめぐる。
《ソル》は、ふたたびソラナーの求めるものを目指し旅立つ。

アトランとサリクは「時空エンジニア種族」を探す。「コスモヌクレオチド《ドリフェル》」の本来の在所は《カオターク》の支配する超空間の空隙《深淵》「負の球体」。フロストルービンの喪失から物理法則が欠如した宙域となっている。
「負の球体」を拠点として立ちはだかる「十戒」のエレメント。
ヴィシュナの具象化たちはふたたび出現する。スリマフォ、ローダンの妻となったゲジル、ベリセ=ヴィシュナの3人は「ヴィールスインペリウム」の半壊を代償としてエレメントの「十戒」を全滅させ、《クロノフォシル》テラは活性化された。
かつて《コスモクラート》の委託を受けた「時空エンジニア」たちは失敗した。原因は、「コスモヌクレオチド」設置以前の、「秩序」でも「混沌」でもない「影」の法則の干渉。

この宇宙に生命と知性を可能とした物理法則を設置した者。「秩序」も「混沌」も「法」に縛られてい戦っているに過ぎない。
「法」、「影」、「秩序」、「混沌」、さらに現れる「無」の勢力の思惑が交差する中、ローダンは「フロストルービン」を《深淵》に導く。
ローダンの前に提示される第3の謎の答え。しかし、ローダンはそれを知ることを拒否し、《コスモクラート》とたもとを分かつ。
最後の3人の「深淵の騎士」ローダン、アトラン、サリクは《コスモクラート》から「追放者」の烙印をおされ、「第三の道」を探しに「おとめ座銀河団」の《力の球形体》エスタルトゥに向かう。
そして地球には「エスタルトゥ」の使者が現れた。

”暗黒”のエレメントによって破壊された超コンピューター「ヴィールス・インペリウム」の残余が、《クロノフォシル》テラ活性化の後、《コスモクラート》さえ予測のつかなかった技術の奇蹟を生み出した。

それが「ヴィールス船」。 レジナルド・ブルは最初の《ヴィ-ロノート》のひとりとなる。
「エスタルトゥの十二銀河」の中に「超越知性体《エスタルトゥ》」の姿は無い。
そこは独裁政権「永遠の戦士たち」の帝国と反体制組織「網を歩む者たち」が、異なる「第三の道」を唱える戦場だった。

グルエルフィン銀河でオヴァロンの臨終に立ち会うアトラン。
かつてのミュータント部隊隊員ダライモク・ロルヴィクとタッチャー・ア・ハイヌ。「Es〈それ〉」に統合されたはずのふたりは、負のプシによって「Es〈それ〉」が麻痺していたときに精神集合体から分離し、放浪の旅をつづけている。

当初のペリーローダンのプロットは1200話前後あたりの話までだったらしい。

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第297回 真マジンガーZERO 完結

Posted by ヒッター7777 on   0 comments   0 trackback

永井豪/余湖裕輝「真マジンガーZERO」第9巻(完結)
真マジンガーZERO 9

 マジンガー世代なら絶対楽しめる作品も完結。
 ドクター地獄(ヘル)との決着もついたので、もう終わりかと残念でもあったが、次回作「真マジンガーZERO VS 暗黒代将軍」が始まるので期待!


永井豪「真マジンガー衝撃!H編」
真マジンガー衝撃!H編

 永井豪ファンなら絶対楽しめる作品。
 読んだ後は家族に見つからない場所に仕舞いましょう。

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第296回 うみねこのなく頃に散 Episode 5

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竜騎士07「うみねこのなく頃に散」
展開編 Episode5 『End of the golden witch(下)』

うみねこのなく頃に散 Episode5(下)

 PC版、PS3版のストーリーを原作者自身が小説化し、KEIYAさんが監修して加筆改稿した現時点でのEp5の決定稿です。
 かなり内容に手を入れたようで、ヒッターがPC版をやっていた時に取ったメモ(Ep.5だけで5日かけてゲームを追いながら作ったのでかなり詳しい。Wordで290kb分)と比べてみた。
 やはり論点は「幻想大法廷」に入ってからなので、注意して読む。

 P.165の戦人とベアトリーチェの会話。あれ?こんな会話あったっけ? あった気もするな。
 これは戦人がベアトリーチェの「真実」についての理解に繋がるは会話なので、見逃していたとすると、ここは加筆分か。

 P.179で夏妃がヱリカに放つセリフ。これはEp.6に影響する加筆だな。

 P.183「後期クイーン問題」に関するセリフはあったっけ? メモに無いな。
 「後期クイーン問題」は面白いので、あとでブログネタにしよう。

 ヒッターが最初にやったPC版(内容はPS3版も同じ)で、ヱリカの推理に大きな穴があることに気付いていました。
 今回もそれを糊塗したようです。よく読めば解ることですがネタバレになるので書きません。
 また「夏妃犯人説」でEp1~Ep4を説明するには無理があります。
 ヒッターがEp1で推理した犯人にしか実行不可能です。(Ep1,Ep2&Ep3の第1の晩は)

 ミステリーVSファンタジーの構図に対し、アンチ・ミステリーとアンチ・ファンタジーの構図はこの時点で出ていたかな?
 読み進めると、このEp5パートが連続殺人事件の真相ではなく、繰り返される「うみねこのなく頃に」という事象そのものの「真相」に言及されることが判ります。

 むう。何度読んでもベアトの最後のセリフで泣いてしまいます・・・。
 戦人が「ノックスの十戒」を用いて知った「真相」とは。
 「真実」を得た戦人は「無限」と「黄金」の称号を継いだ「魔術師」となります。

 そして戦人の「真実」、「戦人犯人説」はEp.5では有効かもしれませんが、Ep1~Ep4をやるにも、おかしな点があります。
 Ep7の答え合わせ編でもウィルはEp5の推理を公表しませんでした。

 要は相反する二つの「真実」が、互いに相手を打ち負かせない限り、両立するということですね。
 これが「六軒島魔女伝説連続殺人事件」の解釈について、縁寿を悩ますことになります。

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第295回 大宇宙を継ぐ者(2)

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だいたいこのへんくらいまでが序章で、いよいよ本編に入っていきます。

第8サイクル「大群 Der Schwarm」 0500-0569
翻訳250-285巻 西暦3438 - 3443年

虚無より来たる

 グルエルフィンから銀河系への帰還途中、《マルコ・ポーロ》艦内で新人類を称するホモ・スペリオルたちの反乱がおこる。この破壊工作で時間膨張効果により、銀河系帰還が3年遅れることになる。
 銀河系では重力定数の操作により銀河系全域の居住者の知性水準を操作する「大群」が現れた。
 細胞活性装置を持つ《不死者》、精神安定処置者、ごくわずかな免疫保持者を除いて痴呆状態になってしまう。
 「大群」の目的な何なのか。約80万の恒星を内包する全長11000光年を超し、遷移を繰り返す「大群」の柔かいバリアを突破して内部に侵入したローダンたち。
 「大群」を支配している”偽神”カルドゥス人と戦い、かつての「大群」管理者サイノスにコントロールを戻す。
 アラスカ・シェーデレーアは不思議な少女キトマとの2度目の出会い、謎の「殲滅服」を手に入れる。
 銀河系種族の知性は戻ったが、大きな謎が残された・
 「大群」はだれが何の目的で作ったのだろうか。

第9サイクル「旧ミュータント Die Altmutanten」 0570-0599
翻訳285-300巻 西暦3444年

未知の憑依者

 大群禍からの太陽系が解放されて8ケ月。「大群」問題処置に対する非難から、大執政官職の選挙が行われようとしていた。
 エクスプローラー艦隊のロボット艦が、地球から8万光年の彼方の宙域から見慣れぬ生命体アスポルコスを乗せて帰還する。
 アスポルコスは『苦悶の声』に隷属させられていて、人類にもいずれ影響が及ぶと告げて死んだ。
 調査隊は惑星アスポルクの属するラトレイ系へ赴き、6次元放射を発する金属、疑似生命的感情転換物質《PEW金属》を発見する。
 アラスカ・シェーデレーア神秘の少女キトマt3度目の邂逅し、不思議な世界へと導かれた。そこには謎の『都市』があり、アラスカは、キトマが36の大群建造種族の一員であることを知る。
 西暦2909年の第二次遺伝子危機の際、死亡した8人のミュータント、キタイ・イシバシ、タコ・カクタ、ローリー・マルテン、アンドレ・ノワール、ウリウ・セング、ソン・オークラ、ベティ・タウフリー、タマ・ヨキダが『苦悶の声』の正体だった。彼らの精神は《PEW金属》に閉じ込められていたのだ。このままではアスポルコス世界は壊滅する。
 アスポルクに墜落したPEW鉱脈を含む巨大隕石は宇宙船であり、発進した宇宙船を追い、銀河中心核に位置する赤色巨星パラマグ・アルファに到着する。
 11万年前に破壊された太陽系第5惑星ツォイト。5万年前のレムール-ハルト戦争にも影響を与えた《PEW金属》の鉱脈争いにより、テラナーはパラマグの発進基地ワーベ1を破壊。
 別の残骸、ワーベ1000は8名の旧ミュータントの一時的な新しい故郷として捕獲された。このパラ・バンクは銀河の平穏な星域のひとつ、トロト凝集星団の中に設置された。

第10サイクル「宇宙チェスas kosmische Schachspiel」 0600-0649
翻訳300-325巻  西暦3444 - 3458年

太陽系帝国の守護者

 NUGシュバルツシルト反応炉の一連の実験で、《マルコ・ポーロ》は突然並行宇宙へ移行する。その世界は元の世界とそっくりなのだが、ただ一点、太陽系帝国はローダンⅡによる仮借なき専制国家だった。
 ローダンはオクストーン人2人と、この世界のワーベ1000の旧ミュータントたちとの同盟でなんとかローダンⅡを倒し、元の世界に戻る。
 なぜ、こんな事故が起きたのか。原因は超越知性体「Es(それ)」とネガティヴ成分が分離した反・(それ)との争いのためであった。第1戦は(それ)が勝利したが、(それ)と反・(それ)の宇宙チェスはまだ続く。

 銀河に突然PAD病が発生。弱体したテラナーを叩くためにスプリンガー、アラス族、アコン人などほとんどの銀河系種族が同盟する。このPAD病は並行宇宙から持ち込まれたものであり、ローダンは、「ゼロ時間デフォルメーター」で過去へ赴きタイムパラドックスを起さなければならない。計画は上手くいくが、これは反・(それ)の罠だった。
 ローダンの脳は盗まれ、かわりに反・(それ)の操るアンドロイド脳が置かれるが、アトラン達に見破られた。
 ローダンの脳はナウパウム銀河で実体化した。ナウバウム銀河の支配種族ヤユロック人は人口増加問題に悩んでいた。
 隣接する大銀河系カトロンに調査に赴いたローダンは、1万年前のナウバウムーカトロン戦争で劣勢に立ったカトロン銀河のペールツス人が生態汚染ウィルスを幹散らしたのが原因だと究明する。
 カトロン網を破壊し問題を解決したローダンは銀河系に帰還する。
 宇宙チェスは(それ)の勝利に終わった。反・(それ)は「無名ゾーン」にしばらく追放となる。
 二つの超越知性体のゲームを審判したのは、さらに高位の存在なのか?

第11サイクル「公会議 Das Konzil」 0650-0699
翻訳325-350巻 西暦3459 - 3460年

七銀河同盟

 《七銀河の公会議》の銀河系侵攻により、銀河系諸種族は反抗するが《公会議》の戦闘種族ラール人のSVE宇宙艦に歯が立たない。
 ローダンは降伏したふりをして銀河系総督《第一ヘトラン》の座につき、サボタージュ工作をするが見破られ、太陽系ごと AKGフィールドで5分間の未来に隠れるが、技術的優位に立つラール人に突破されそうになる。
 古代レムールの恒星転送機技術を応用で地球=月系ともども脱出を決行するが、彼らが出現したのは計画と違う「星のメールストローム」だった。事実上、太陽系帝国は崩壊した。
 現在位置が判らなくなったローダンたちは恒星メダイロンの軌道に地球を乗せ、周辺宙域の捜索にかかる。
 一方、銀河系に残ったアトラン、ティフラーたちは暗黒星雲プロヴコン・ファウストを拠点に作戦を展開する。

第12サイクル「アフィリア Aphilie」 0700-0799
翻訳350-400巻 西暦3580 - 3582年

アフィリー

 地球がメダイロンの軌道に乗って数十年。その恒星輻射の影響でテラナー達は一部の免疫者を除いて感情を持たない「アフィリカー」と化していた。未だ感情を保つローダンたちは新造の遠距離宇宙船《ソル》に乗せられ追放される。
 「細胞活性装置」に異常をきたしたレジナルド・ブル、抵抗組織を作ったロワ・ダントンは地球に残った。
 そして恒星メダイロンごとメイルストロームの宇宙の「喉」に落ちた地球には人類の姿は無かった。
 ローダン達は銀河系の座標を求めて旅をしている間に《七銀河の公会議》の秘密を知り、《闇のスペシャリスト》の協力により《公会議》主要種族の脱落させる。
 n次元計算者ケロスカーを連れて銀河系解放の「80年計画」を持って銀河系に戻ったローダンは、抵抗組織を作っていたアトランと反目する。
 だがローダンもアトランも解ってしまった。もう銀河系は彼らを必要としていないのだ。アトランは後をティフラーに任せ、《ソル》に乗る。
 一方、地球には幾人か生き残った者がいた。200億の人類は「喉」に落ちる前に「Es(それ)」に吸収されたらしい。
 カリブソに《殲滅服》を返し「時の泉」で地球に戻ってきたアラスカ・シェデレーアはテラ・パトロールを組織する。
 放浪する地球は二つの超越知性体の版図の狭間に漂っていた。

第13サイクル「バルディオク BARDIOC」 0800-0867
翻訳400-434巻 西暦3582 - 3586年

テルムの女帝

 地球のポジションを探すローダンたちは、二つの超越知性体「テルムの女帝」と「バルディオク」の戦いに巻き込まれる。超越知性体たちは自らの《力の球形体》を護るため《ソル》を利用しようとする。
 一方、人類の守護者たる超越知性体「Es(それ)」は吸収した200億の人類の内圧に耐えかねて一人の身体に七人の精神を宿す《コンセプト》を造りだし、「エデンⅡ計画」を発動する。
 銀河系では対《公会議》作戦によりラール人は撤退を余儀なくされ、銀河系は解放され《自由テラナー連盟》が発足する。
 再開発される地球(テラ)。その中、《パン=タウ=ラ》の石版と、人工冬眠するひとりのヴィング人が発掘される。
 太古、ヴィング人は《左眼》探索を使命とし、故郷アルグストゲルマート銀河から全宇宙に派遣されたという
 「バルディオク」の《第四具象ブルロク》に誘拐されたローダンは、「バルディオク」の秘密を知る。
 1800万年前、7人の《力強き者》は大宇宙に生命と知性を播くという任務に就いた。選んだ36種族に「大群」を建造させ、サイノスを支配種族として送り出す《力強き者》たち。
 しかし、永劫に続く任務に疎み始めた「バルディオク」は《ライレ》と共に裏切りを計画。カリブソから《殲滅服》を奪い、カルドゥス人にサイノスから支配権を奪わさせて、自分の帝国を作ろうとして露見。脳髄を摘出され、流刑措置をうける。しかし、同様の悩みを持っていた他の6人も姿を消した。
 100万年以上を眠りつづけ、悪夢から逃れるため進化し、超知性体となった「バルディオク」はローダンの助力により「テルムの女帝」と融合する。
 だが、《力強き者》たちに任務を与えたのは何者なのか?
 「バルディオク」は最後にこう告げた。《パン=タウ=ラ》 を探せ、と。

第14サイクル「《パン=タウ=ラ》 PAN-THAU-RA」 0868-0899
翻訳434-450巻 西暦3586 - 3587年

《バジス》発進!

 ルナの奥深くで発見された、最新技術の粋を集めて作られた遠距離宇宙船《バジス》は「Es(それ)」の示す座標へ飛ぶ。そしてローダンも《ソル》で《パン=タウ=ラ》捜索のため発進する。
 太古、「バルディオク」が隠した胞子船《パン=タウ=ラ》。そこに眠る搬生素――生命の胞子が未制御に解放されれば、それは宇宙にとって一大危機となる「パンドラの函」だ。
 超空間に13分の12埋め込まれた《パン=タウ=ラ》はチュシック銀河で発見される。13分の1だけ通常空間に現れている《パン=タウ=ラ》に《殲滅服》を着たカリブソが侵入する。
 地球に隠された「超空間を見通す《ライレの左眼》」。ヴィンガー人の《宇宙の環》〉信仰とは。
 太陽系に侵攻する放浪種族ローヴァー人の2万隻の艦隊。
 仇敵の罠に嵌り、《エデンⅡ》に届く「Es(それ)」からの救難信号。
 ソラナーの反乱による《ソル》との別離。
 《パン=タウ=ラ》破壊のために《物質の泉》から解き放たれた《宇宙震》。
 カリブソはかつての《力強き者》たちの集まった場所に戻るが、そこには謎の勢力のロボットが居た。そのロボットは告げる。「もうお前は《宇宙城》には戻れない。」


第15サイクル「宇宙城 Die kosmischen Burgen」 0900-0999
翻訳450-500巻 西暦3587年

900.jpg

 かつて7人の《力強き者》に仕えたロボット《ライレ》。彼の「超空間を見通す《眼》」を奪ったローヴァー人は、《コスモクラート》に運命を狂わされ、報復の旅に出た。
 《物質の泉》の彼岸から、この宇宙の進化に介入する《コスモクラート》。《秩序》の勢力を名乗る「超越知性体」の上位存在は何をしようとしているのか。
 《物質の泉》の門を開くため、かつての《力強き者》たちの居城、7つの《宇宙城》の鍵を求め、ローダンが、カリブソが、ローヴァーが動き出す。
 銀河系では止らない《宇宙震》の影響により、暗黒星雲プロヴコン・ファウストで太古のプログラムにより目覚めた人工生命体オービターが人類を《セト・アポフィス》の先兵と断定し、銀河系から駆逐しようとする。
 かつて、《深淵の騎士》アルマダンが設置したプログラムを解けるのは本人しかいないのだが?
 「深淵の騎士団」とはなんなのか。120万年前に仕掛けられた《ハルプーン遺伝子》を継ぐテラナー、《深淵の騎士》の素質を示すイェン・サリク。
 そしてローダンも《深淵の騎士》の素養を認められる。
 アトランは銀河系種族の代表として、《ライレ》とともに《物質の泉》の対岸に消える。

 LOOWERは翻訳だとルーワーになっているが、なぜ英語読みにするのだろうか?

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第294回 げんしけん 二代目の四(13)

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木尾 士目「げんしけん 二代目の四(13)」

二代目に入って男の娘と腐女子がやたら目立ってきた 「げんしけん」(現代視覚文化研究会)

今巻は修羅場篇でしたね。斑目と咲の鼻毛の話は次巻に持ち越しか。

お、明日はアフタヌーンの発売日ジャン。

キーボード打ち過ぎで指先が痛い・・・

げんしけん 二代目の四



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第293回 ソードアート・オンライン 最終回

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アニメ「ソードアート・オンライン」最終回「世界の種子」
sao25end.jpg

 まあまあの終わり方だった。画面を覆うコメントがかなりうざいくらい面白かったが、こういう楽しみ方もありだな。(右下には「鼠のアルゴ」さんが・・・)
 オフ会で、誰がどのキャラだったろうと悩んだ。リアル・サクヤとか居たらしい・
 「ザ・シード」の説明もきっちりやったから良しとしよう。

 スゴーさんは先週、張り切りすぎて今回は迫力無かったが、下半身から湯気を上げていたのでまあ、満足である。
 部下の一人が逮捕されたとあるが、ナメクジは2体いたはず。これは第4部「アリシゼーション」の伏線である。
 sao2502.jpg

 ラストでキリトは誰かの名前を呟くのだが、誰の名前だったのだろう。カヤバかな?
 まあアニメ2期は期待しないが、メディアの売り上げ次第だな。EX2をOVAで作らないかな。

 妖精さん
↑面白かったので転載させていただきました。

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第292回 大宇宙を継ぐ者(1)

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「大宇宙を継ぐ者」宇宙英雄ペリーローダン・シリーズ

 「境界線上のホライゾンⅢ」のダイジェストで、ダイジェスト癖がついたのか、数十年集め続けた情報を「Yahoo知恵ノート」に投稿を始めた。
 http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n136430

 いや、そんなことするより未読の翻訳版を読めよと言われそうだが、2600話までの大まかな内容を知っているだけになかなか読むのが追いつかない。
 とりあえず、ブログネタにもなるので紹介しよう。2012年12月現在で翻訳版は439巻(原書878巻)まで出ています。

 元ネタの多くは西塔玲司さんの「rlmdi」からの引用です。面白いので全部読むことをお勧めします。
 <引用文>
 「大統一場理論」。かつて光の振動媒体、電磁力遠隔作用の媒体として想定されたエーテル。
 そして、ニュートンは重力遠隔作用の存在基盤を宇宙にあまねく広がる神の精霊(プシュケ)に求めた……宇宙の論理的秩序構造(物理法則)の源を世界の『裏側』に求める伝統は遠くギリシアの古代にさかのぼる。
 以来、人々はこうした世界論理の構造を心の内なる論理的秩序構造と同じものとして捉え、考えてきた。
 すなわち、人がこの世の有様を認識できるのは、人の魂(プシュケ)も世界霊魂も同じ創造者に発し、同じ秩序を分かちもつから、と。
 それこそは、古来、科学の正統性を証明し支えてきた世界認識の根本原理なのである。
 ここに、こうした世界観そのものを『小道具』に用いた文字どおりのメタフィジカルSFを紹介しよう。

 この作品の中で、宇宙の法則性を支える構造はプシオン "Psion" (『魂』を意識してこう読んでおく。
 "Psi" を重力より高次の第五の力としてとらえ、量子に擬して表現したもの)の回路網と呼ばれる。
 そのかなめはこの宇宙を二重螺旋(DNAのように!)を描いて取り巻いたいくつもの巨大なプシオン場ユニット(コスモヌクレオチド!!)。
 そこに蓄えられた無限の情報(秩序の法則)はメッセンジャー・プシオン場にのって回路網を走りぬけ、この四次元時空連続体に物理情報を与える。
 こうして、各ヌクレオチドはそれぞれ銀河団サイズの宙域を制御し維持ているのだ。
 単純な法則の必然の組合せから生命が生まれ、知性が生じ、やが宇宙構造を認識しつつ超知性体に進化する。
 かれらは自分の勢力版図をポジティヴに(宇宙プシオン回路網と協調し共鳴するかたちで居住種族の生活と意識をみちびいて)拡大しようとする。
 そうすることで、超知性体はやがて支配宙域と共にプシオン的な特異点に進化し、無限のエネルギーを吐きだす『物質の泉』を形成する――この循環がおよそ考えられる宇宙の寿命というものを引きのばし存続させていくのだ。
 そして、この役割を果たした超存在は次の段階で泉の彼岸に座を占めるコスモクラート(秩序維持者)となり、こうしたプシオン=宇宙維持システムを指揮することになるといわれている。

 第1サイクル「第三勢力 Die Dritte Macht」 0001-0049
 翻訳1-25巻  西暦1971 - 1984年

大宇宙を継ぐ者

 1971年。人類初の月面着陸計画。USスペースフォースのローダン大佐は月面に不時着している《アルコン帝国》の宇宙船を発見する。
 超技術を元に《第三勢力》を興し、地球各地に現れ始めたミュータントの力を借りて、地球を統一したローダンは、アルコンの宇宙船が目的としていた《不死者》のシュプールを追い、超越知性体「Es(それ)」から64年ごとに浴びる「細胞シャワー」によって《相対的不死》を与えられる。
 そのバイタリティで銀河系に進出するテラナー(地球人)。しかし、銀河列強の前に、まだテラナーは非力だった。
 《アルコン星間帝国》のロボット摂政の目を逃れるため、「地球替え玉作戦」を敢行。
 テラ(地球)の存在は一時、忘れ去られる。

 第2サイクル「アトランとアルコン Atlan und Arkon」 0050-0099
 翻訳25-50巻 西暦2040 - 2045年

地球死す

 テラ雌伏の時。1万年を生き、人類史に大きな影響を与えたアルコン人、アトランが目覚める。
 現在の退廃したアルコン人と違い、活力あふれる時代に生きたアトランも「細胞活性装置」を与えられた《不死者》であった。
 アルコンのロボット摂政はテラがまだ存在することを知り、コンタクトを求めてくる。
 銀河系の各所で起こる異時間平面からの侵略者ドルーフ。
 時間平面間の移行を可能とするレンズ・フィールド・ジェネレーターの開発によって、太陽系帝国の精鋭はドルーフ宇宙へ侵攻する。
 しかし、ローダンたちに迫るロボット摂政の裏切り。それを救ったのはアトランだった。摂政の製造時に仕掛けられた秘密スイッチXによって、アトランはアルコン皇帝として認められる。
 そして、ドルーフの反攻によって大艦隊が太陽系に襲来する。
 故郷を守るためにローダンは、50年余りに渡って秘し続けたテラの銀河ポジションを銀河諸種族の前に明かさざるを得なくなった。

 第3サイクル「ポスビ Die Posbis」 0100-0149
 翻訳50-75巻 西暦2102 - 2114年

超種族アコン

 ドルーフから奪った技術により、今までのジャンプ型超光速飛行ではなく目視飛行できるリニア型超光速エンジンの開発。
 その試験飛行でローダンたちは青いバリアで星系を包んだ「《アコン帝国》を発見する。それはアルコン人の祖先達の星系だった。
 ローダンとアルコン人の妻トーラの間にできた息子、トマス・カーディフの反乱。
 アンチ・ミュータントにより《ミュータント部隊》の力を封するバアロル教団の暗躍。
 銀河に侵攻するポジトロン生体ロボット「ポスビ」のフラグメント船。
 あらゆる生命に憎悪を抱く「ポスビ」により、ふたたび太陽系帝国に危機が迫る。
 銀河系外にある「200の太陽の星系」で憎悪プログラミングを解き、「ポスビ」を人類の友と出来るのか。

 第4サイクル「第二帝国Das zweite Imperium」 0150-0199
 翻訳75-100巻 西暦2326 - 2329年

USOのスペシャリスト

 アルコンと太陽系帝国は連合帝国となり、皇帝アトランと大執政官ローダンが統括していた。
 テラナーは数多の星間国家を造り、各執政官が統治する。
 超越知性体「Es(それ)」が惑星ワンダラーごと消えた。「細胞シャワー」で相対性不死を得てきたローダンたちは銀河系中に隠された25個の「細胞活性装置」を探さないと死が訪れる。
 惑星を食い尽くす「ホルンシュレッケ」の謎。「Es(それ)」はこのために姿を消したのか?
 「ホルンシュレッケ」を追って未踏査だった銀河系のイーストサイドでブルー人の「第二帝国」の発見。
 「ホルンシュレッケ」の分泌物から造る無敵のモルケックス装甲を持つブルー人艦隊に苦戦するローダンたち。
 そして大執政官選挙でローダンの座を狙うプロフォス帝国のイラチオ・ホンドロの暗躍。
 ローダンの二人目の妻、モリー・アブロとの出会い。
 ブルー族の大侵攻によるアルコン3惑星系の崩壊と連合帝国の分離。

 第5サイクル「島の王 Die Meister der Insel」 0200-0299
 翻訳100-150巻 西暦2400 - 2406年

アンドロメダへの道

 銀河中心部で発見された正六角形に配置された恒星のエネルギーを使う、太古の恒星転送機は何処に続いているのか。
 200万光年離れた隣のアンドロメダ銀河に通じる《宇宙駅》システムは誰が作ったのか。
 1万年前のアルコン人とメタン呼吸生物マークスの戦争。そして5万年前のハルト人と古代レムール人の戦争は何をもたらしたのか。
 明かされるテラナーの出自。古代レムール人から別れたアンドロメダ移住組のテフローダー、銀河系に隠れ場所を求めたアコン人とそこから別れたアルコン人たち。そして地球に残され文明を一旦、失ったテラナー。すべての謎が1本に繋がる。
 そしてアンドロメダ銀河を支配する七人の「島の王」とは?


 第6サイクル「M-87 M 87」 0300-0399
 翻訳150-200巻 西暦2435 - 2437年

恐怖のプラットフォーム

アンドロメダ戦争後、ローダンたちは疲弊した国力の回復に努めていた。
 自由商人ロワ・ダントンらが活躍した時代。
 突如出現した水平直径200kmの半球型巨大プラットフォーム「オールドマン」の目的はなにか。
 大マゼラン星雲、小マゼラン星雲への進出。
 かつてテラナーが行った時間実験による「時間警察」の介入は、ローダンたちを3200万光年離れたM-87銀河へ導く。
 テラナーの友人、ハルト人とよく似た時間警察、けだものと呼ばれる存在ウレブはハルト人の起源なのか。ここでも5万年前のレムール-ハルト戦争の秘密が明かされる。
 「オールドマン」は誰が作ったのか。アンドロメダ戦争との因縁が紐解かれていく。
 M-87銀河の支配者オケフェノケー人の指示による、「時間警察」艦隊の太陽系帝国侵攻を退けるが、「オールドマン」は破壊され、ローダンの息子、ロワ・ダントンことマイケル・ローダンは行方不明となる。
 
 第7サイクル「カピン Die Cappins」 0400-0499 
 翻訳200-250巻  西暦3430 - 3438年

薄明の人類

2度の銀河間戦争より1000年。
 多くの植民星系が、国力の低下した太陽系帝国から離反して独立した星間国家となった。
 3大星間帝国による太陽系帝国への侵攻を避けるため、ローダンは時間バリアATGフィールにより、太陽系ごと5分間の未来へと退避する。
 この時、太陽に「死の衛星」が発見された。
 20万年前に太陽系で禁断の遺伝子実験を行っていた「カピン」。
「死の衛星」を無力化させるため、「ゼロ時間デフォルメーター」によって20万年前に遡り、死の衛星の建造を阻止せんと試みるペリー・ローダン。

 過去界で、ローダンはカピンの一氏族ガンヤス人の指導者オヴァロンと出会う。
 オヴァロンの援助で超長距離用ダッカル駆動を搭載した巨艦《マルコ・ポーロ》を建造したローダンはカピン種族の支配するグルエルフィン銀河へ向かう。
 「死の衛星」の無効化で現実時間でもカピン種族の銀河系侵攻が始まろうとしていた。

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第291回 謎解きはディナーのあとで 3

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東川篤哉「謎解きはディナーの後で3」
謎解きはディナーのあとで 3

 前巻から間が空いたが3巻が出版されてうれしい。
 帯を見たら映画化と書いてあったので調べたら、いつの間にかTVドラマ化されていたのか。
 同じ配役で映画化されるほど、視聴率が良かったのだろうか?

 今巻を読んだが、最終話が書きおろしの「さよならはディナーの後で」。3巻で終わりのようだ。
 人気が出たからと言って、だらだらとシリーズを続けるより潔いね。

 次の作品を待っています。

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第290回 進撃の巨人第9巻

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諌山創「進撃の巨人」第9巻以下続巻
進撃の巨人

 「進撃の巨人」がアニメ化放映されるようだが、原作連載中なのになんでアニメ化なんかするのだろうか?
 どう考えても、まだ物語は中盤にも差し掛かっていないように思えるのだが、アニメは中途半端な終わり方をするんだろうな。
 人気があるからといって、なんでもアニメにすれば売れるだろうという制作サイドは甘い!と言うしかない。

 で、第9巻の方だが、ますます深まる謎。壁の内側で出現した巨人。毛むくじゃらの知性がありそうな巨人。やはり人為的な実験が行われているようだ。
 今巻では主役の活躍が無かったが、次巻ではもうちょっと謎の解明に近づいてほしいものだ。

 どう見てもスパイダーマンを意識しているな。
 

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第289回 丸太町ルヴォワール

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円居 挽 「丸太町ルヴォワール」
丸太町ルヴォワール

 ルヴォワール・シリーズの第1作でありデビュー作です。2010年版『ミステリが読みたい!』にて新人賞国内部門の2位の作品。

 謎の女、朽紅(くちべに)のルージュと出会った城坂論語(しろさか ろんご)は祖父殺しの嫌疑を掛けられる。
 それから3年。
 平安の頃から貴族社会で行われてきた私闘制度「双竜会(そうりゅうえ)」。
 御贖(みあがない)として被告席に立たされる論語。
 青龍師として弁護役に立つ瓶賀流(みかが みつる)。検事役の黄龍師には龍樹(たつき)一族の大和(やまと)が立つ。

 「越天の蛇」「赤い鴉」の二つ名を持つ瓶賀流。その右腕たる越天学園の群生類集ぐんしょうるいじゅう)と言われた御堂達也。
 特級龍師「紅龍弁天」龍樹落花の策を破れるのか。龍に挑む蛇。彼らに勝ち目はあるのか。 

 二転三転四分五裂七転八倒する紅龍・發王・白澤の論戦。果たしてルージュと名乗った女は誰なのか?

 こういう読者を騙すために書かれた小説は好きですね~。
 途中で”あれ?これ一人称小説なの? 三人称なの?”と思う場面が続きましたが、まあ良しとしましょう。

 第3作まで講談社BOXで出ていますが、文庫化にあたり大幅改稿したということなので、次の文庫が出るのを待ちます。

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第288回 十二国記 0 魔性の子 

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小野不由美 十二国記0「魔性の子」
魔性の子

 昔、友人から借りてみたNHKアニメ「十二国記」。一度、読みたいなと思いながら手を出さずにいたが、新潮文庫で完全版が出版され始めたんで買い求めた。
 完全版ということで、講談社版には入っていなかった「魔性の子」が序章(シリーズ0)として含まれた。

 まだこの段階では「十二国記」の設定がはっきり決まっていなかったのか、断片だけが記されている。

 10歳の頃、神隠しに在った少年、高里要。突然、行方不明となり一年後に戻って来たが、それ以来彼の周りでは不思議な人死にが出る。
 彼を迫害するもの、不愉快にさせたものは彼の意志に関わらず不幸が訪れる。
 教生として母校にやって来た広瀬は高里に興味を持つが・・・。
 異質なものを受け入れないのは、生物として当たり前の行動なのか。

 これ一冊だけならホラー小説ですね。
 この巻だけで蓬山、角を失った麒、戴極国の麒麟・泰麒、胎果、延王、十二の国の十二の王、高里を守護する魔物・傲濫(ゴウラン)と饕餮(トウテツ)。泰麒の母親代わりとなる女怪・白汕子(ハクサンシ)など、次のシリーズに繋がるキーワードが現れます。

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第287回 ADAMAS

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皆川 亮二 「ADAMAS」第8巻
ADAMAS(8).jpg

 皆川 亮二さんの漫画が好きで、「SPRIGGAN」「ARMS」「D-LIVE!」「PEACE MAKER」なども集めてます。

 「ADAMAS」は宝石使い(ジュエル・マスター)、宝石の属性によってさまざまな能力を使役する能力者たちの物語。
 皆川さんの作品では小吹き出しのセリフが面白いので気に入ってます。
 現在連載中の集英社のウルトラジャンプの「PEACE MAKER」と講談社のイブニングの「ADAMAS」から目が離せません。

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第286回 ソードアート・オンライン 第24回

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アニメ「ソードアート・オンライン」第24話 「鍍金(めっき)の勇者」

 夕方、ワインを飲んだら眠くなって19時に起きれるよう目覚ましかけて仮眠をとったら、目覚めたのは夜中の2時半であった。
 起きたついでなので第24話を見る。

 いや~子安さんの演技が凄かった。コメントも子安さんすげーー ばかりでしたね。
 子安史に残るネ申回でした。
 このアフレコの収録の後、須郷役の子安さんとアスナ役の戸松遥さんは、別のアニメでの父娘役でアフレコしていたそうです(笑)
すごう

 ヒッターは原作組ですが、アニメ版を否定するものではありません。
 時間枠という制限の中で、削らざるを得なかったところもあるし、「織田信奈の野望」みたいに原作レイプまで行きませんでしたから(いまだに根に持っている)良しとしましょう。

 次回最終回。第2期に引くエンディングでないように祈る。

アスナ

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第285回 珈琲店タレーランの事件簿

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岡崎琢磨「珈琲店タレーランの事件簿」また合えたなら、あなたの淹れた珈琲を
珈琲店タレーラン

 良いコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、そして恋のように甘い。

                    シャルル・モーリス・ド・タレーラン・ベリゴール(仏)

 第10回「このミステリーがすごい」で最終選考に残った作品を補強して隠し玉出版。
 まあミステリー物としては「ビブリア古書堂の事件手帳」の喫茶店版というか、コーヒーの知識は増えますね。
 実際、ああそうだったのかと思うトリビアがあり、面白かったです。
 
 ただ、一人称で書かれた物語ですが、最終章とエピローグで混乱しました。ここはいまひとつの展開でしたね。

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第284回 岳飛伝(3)

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北方謙三「岳飛伝(3)嘶鳴(しめい)の章」
岳飛伝 三 嘶鳴の章


 梁山泊軍と金軍の全面対決。金軍二十万に対し梁山泊軍は八万で互角に戦う。
 史進が老齢の域に差し掛かってしまって悲しいな。もう初期メンバーは残りわずかだもんな。(ノД`)シクシク

 兀朮(ウジュ)と金軍は「海東青鶻」の旗の下に、梁山泊軍は”志”の下に致死軍まで投入して総力戦だ。 
 兀朮に迫った蘇琪をを討つ胡土児。これは運命だったのだろうか。
 双方、傷つきながらも金軍を開封府まで押し返した梁山泊は、金国との講和の道を探る。
 かつて金国と交渉に行き殺された醜軍馬・宣賛の子、宣凱が交渉に赴く。

 なんとか国家としての体制を整えた南宋は、強力な岳飛と張俊という二つの軍閥を抱え、脆弱な禁軍を臨安府に置きながら北進の準備を進める。
 だが戦闘となると金軍にも梁山泊にも勝てる将軍が居ない。岳飛は飼い馴らせない虎だ。

 王清は韓世忠の造船所で梁紅玉のために笛を吹く。 

 狼牙・秦容は梁山泊の軍を離れ南への旅に出る。湄公河(メコン川)流域からさらに南へ進み、甘庶の畑作りを目指す。

 西域からの荷を運んでいた王貴は「飛」の旗を上げた軍に襲われ重傷を負う。気がついたのは岳飛軍の養生所で王貴は岳飛に出会う。
 交易部隊を襲ったのは張俊の軍の一部だった。梁山泊は張家軍の本営に大損害を与えた。

 褚律は楊令暗殺の真相に近づく。

 多くの兵が金国の講和と老齢のため梁山泊軍を離れ、後顧の憂いを無くした金軍は30万の軍勢で南下する。
 迎え撃つ岳飛は・・・。

 梁山泊はこのまま人口に膾炙していくのか。もう、物語は「水滸後伝」に差し掛かっているのか。
 この先の展開が楽しみです。 

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第283回 境界線上のホライゾンⅢ(20)

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川上稔「境界線上のホライゾン Ⅲ(下)」 Horizon on the Middle of Nowhere
Episode Ⅲ-Part 3 適当ダイジェスト⑪

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「第九十三章 帰れぬ空の行き手」「第九十四章 生き場所の探し人」「最終章 集まり場所の煽り手達」
最終章

 北条・氏直の知覚に巨大艦「安土」の姿があった。琵琶湖の巨大なステルス空間で建造されたものだろう。テスト航海で《竜脈炉》を発射したのだろうか。拡大補正した視覚に中央艦首に立つ幾つかの人影が映る。一番後ろに立つ「P.A.Oda」侍女型の自動人形は艦長型自動人形だろう。その前に立つ十と一人は。“―――羽柴と《十本槍》ですか。”
 男も女も異族もいる。誰も彼も若い。ひときわ小柄なのは、女? 「M.H.R.R」女子制服を着た少女は閉じた扇のような機械の翼を背負い、猿の面を付けていた。
 広域通神で聞こえてきたのは。
 “「P.A.Oda」「M.H.R.R」所属、「M.H.R.R」《副会長》羽柴・藤吉郎・秀吉。「P.A.Oda」旗艦「安土」の試験航海を兼ねて、「三方ケ原の戦い」の援助と「文禄の役」の前倒し歴史再現に参上しました。”

 武蔵アリアダスト教導院前の階段で“馬鹿なっ”と叫んだのは里見・義康だった。羽柴の朝鮮出兵を前倒しで行うつもりか。義康が振り返ると炎上し、応撃している房総半島が見える。
 いつの間にか全裸になった馬鹿が、飛び出して行こうとする義康を止める。
 “おいおいヨッシー、今から行ってどうすんだよ。間に合ってオメエが生きて帰ってこれるなら行って来いよ。そうじゃねえなら行くな。”
 羽柴の狙いは朝鮮出兵で「里見」を潰すだけではない。関東を押さえに来ているのだ。「安土」の他にも戦力は来ているだろう。自分が“義”で「里見」に向かっても途中で撃墜され終わることになる。私はどうすればいいのだ。そう思った時、背後の空から轟音が起こった。「安土」が「武蔵」を追って加速を開始したのだ。
 義康の視界の先に校舎の屋上に立つ銀の髪を風に流し、右腕に剣砲を下げた女が見えた。
 “アリアダスト・ホライゾン・・・”

 ホライゾンの眼前で幾つもの《重力障壁》が砲撃に砕かれていく。向こうは最新鋭の戦艦。こちらは十年前に改修したが、中古の貿易用輸送船だ。まず駆けつけてきたのは白と黒の魔女、そして、ミトツダイラが来て立花夫妻が来て、全裸の馬鹿が女走りでやって来た。「安土」が射程に入ると同時に、ホライゾンは幾枚もの表示枠(サインフレーム)を展開し「大罪武装(ロイズモイ・オプロ)」《悲嘆の怠惰(リピ・カタスリプシ)》を正面から「安土」にぶち込んだ。
 狙いは「安土」中央艦の艦橋部。黒い掻き毟りが悲鳴を上げながら斜め打ち下ろしの角度で飛ぶ。だが、「安土」の艦首部が白の息吹を広く破裂させた。「武蔵」がやった急速ブレーキングを「安土」がいきなりやったのだ。黒の砲撃がずれていくが辛うじて届いた。艦首甲板部に居る12の人影に対し、叩き込まれた黒の一撃が掻き消えた。
 ホライゾンは眉をひそめ首を傾げる。「安土」の甲板上の羽柴が上に上げた腕を下ろしていく。何かしたのだ。
 ホライゾンが成程と頷いて、手に持つ剣砲を見て、
“本気で使えない武器になってまいりましたねぇ。鳴物入りだった気がするのですが。”
 隣で立花・嫁ががっくりと膝をついた立花・夫に大丈夫ですかと声を掛けている。
 「安土」の甲板上でまた羽柴が動いた。懐からマイクを出したのだ。
 「今晩は。――羽柴・秀吉です。ここでは前田・利家の麾下という扱いです。次に「安土」が追いつくまでに決めてください。降伏するか。―――降伏しない場合は撃沈して「三方ケ原の戦い」を終了します。“
HIDEYOSI.jpg
 
 全裸の馬鹿が一歩、進み出る。“ああ?オメエ、何様だ?なにをそんなに偉そうに言いやがる!”
 秀吉が寒くないですか? と引くのに、
 “なんでオメエ、・・・俺達に降伏迫ってるんだ? 俺達が何か悪いことしたか?”
 メアリの手を引いて上がってきた点蔵は、“確かにそうで御座る。「三方ケ原の戦い」は「松平」の降伏で終わるものでは御座らぬ。”と言う。
 さらにホライゾンは問う。“何故です?《竜脈炉》などという大量破壊武装を用いながら降伏を?”
 問うた先、遠ざかっていく秀吉の声が小さくなっていくが、広域共通通神帯を使用して震える声が、こう言った。“それが、・・・私の、役目です。矛盾していようが、卑怯だろうが、恐怖だろうが、私が「極東」を支配します。そのためには、逆らう意思も何もかも奪い去る。そのつもりです。”
 “それって、恐怖政治?” すげえ・・・と皆が羽柴の能力に感嘆した。
 秀吉がちょっと肩をすぼめて、“えへへ”と小さく笑い、“い、いえ、そうじゃなくて、恐怖政治と言われましても、その・・・戦国の世も、三十年戦争も、早く終わるなら《竜脈炉》でも用い、逆らうとどうなるか知ってもらいます。”
 “戦争が長引くほど出る犠牲より、最低限の犠牲で済ませた。そう言います。そして全てをまとめ、信長様と共に「末世」を救います。”

 点蔵はそれは理想論だと考える。逆らう意思をすべて消し去ることは出来ない。だが、先ほど江戸湾を消滅させたが陸地側には直撃していない。示威行為であり、その方が最終的な犠牲が少ないと考えたのだろう。
 “それも戦争経済のひとつ。指導者としての一つの覚悟の在り方で御座るな。” メアリが頷く。
 こちらと違う方法で羽柴も未来を見据えている。
 秀吉は続ける。“貴方達は、その後の世界に必要だと思います。だから、生かそうと思い、ます。でも、今は、無駄な存在です。私達が「極東」をまとめ、「末世」を解決しますので、降伏してください。”

 正純は息を止める。どうする。決断を迫られている。打算や交渉の手順、妥協点の探り合い、交渉相手の選別。どうでもいいことばかり頭に浮かんでくる。“小さいなあぁ、おい“と、《教皇総長》に言われそうだ。自分を動かす大きな決断はどちらのものだ? 馬鹿とホライゾンに声を掛けようとしたら馬鹿が動いた。
 “おい、サル子。「末世」どうやって解決すんの? オメエ、「末世」解決したら、どうすんだよ。”
 秀吉はその問いかけに、わずかな間を置き、口元に笑みを作り小さく呟いた。
 “言えません。”

 “そっか。”馬鹿は「松平」の姫を見て頷きを躱しあった。笑みを作り、こう言った。
 “じゃあ、今は駄目だ。俺達は、オメエの敵だ。”

 広域通神で届く少年の声を《人狼女王》は表示枠(シーニャカドル)で聞いていた。
 “決めたんだ。俺、しっかりしねえとな、って。そして・・”
 《人狼女王》は微笑む。“そして?”
 “恥をかかせないようにオメエのやり方に対して、ちゃんと応えてやる。”
 “まあ”と《人狼女王》は笑みを濃くする。そして、頬に手を当てて、
 “その言葉、私が一番に聞いたと、そう、得意になっていいですわね?”

 秀吉は彼と彼女に頭を下げ、こう言った。
 “お相手、よ、宜しく、あの、お願いします。「極東」を支配し、「末世」を解決する。そのための争いなら、勝つのは、その、私です。何故なら、私が、先ですから。先に、支配する歴史ですから。”
 背後の皆に一歩下るように近づき、だから、
 “貴方達は、今は、その、まだ無駄だと、そう教えます。”

 「安土」との距離は離れていくが、その間に割って入ってくるものがある。「清・武田」と「長篠の戦い」を終えた「P.A.Oda」の艦隊だ。多くは傷ついているが、その数は空の一部の色を変えるほどだ。
 「長浜」「墨俣」「白鷺・改」の艦影も見える。
 その重厚な布陣の意味をネシンバラが答える。「三方ケ原の戦い」だ。

 秀吉の声が届いてきた。
 “犠牲の意味を知っていただきます。その、そのために。・・・ええと、「三方ケ原の戦い」の終了方法を、こうしたい、と思います。”
 “成瀬・・・、正義さんの、突撃と、死亡をもって、「三方ケ原の戦い」の終了とします。”
 それが嫌ならば、
 “降伏、・・・お願いします。”

 マルガ・ナルゼは皆が一斉に視線を向けたのを見返す。マルゴットは羽柴勢の方を見ているが、強くこちらの手指を握っている。
 “でも、頼まれちゃうと断れないのよね・・・”
 逃げ切れないのは判っている。《総長連合》関係者に送られてくる「武蔵」の状況を見ると、ほぼ、燃料が尽きかけている。それなのに、
“自分の頭に浮かんでくるのは同人誌の逃避行ネタばかりだ。”
“オメエそれ口に出して言えるのすげえな!”
 ナルゼはネシンバラに近づき、片腕を首に回して表示枠に向かって“はい、チーズ。送付先はシェイクスピアね。”
 “なにやってんだよ!、僕の人生の危険度上げるなよっ”
 騒ぐネシンバラを他所にマルゴットに声を掛ける。
 “一緒に行く?《白嬢》、明日直るの。《黒嬢》の後ろに乗せてくれる?”
 死ぬ気はない、生きに行くのだ。突撃して羽柴を討ち、進攻を止める。前向きでいい考えだ。
 だがホライゾンとトーリが止める。誰かが犠牲になるのを認めるのは2人の、皆の、「武蔵」の方針の外れるのだ。
 だから、マルゼは言う。
 “生きに行くのよ。死にに行くんじゃない。殺されに行くんでもね。だから私に命令してよ。羽柴を狩ってこいって。”

 “そうだな。―――生きに行く。そういうことだ。” 声が上から響いた。背に飛翔器を背負った武神が「安土」の方を見ながら言った。
 犬顔の頭部装甲の色は緑。“義”ではない。“忠”の白い文字を腰に書いた武神が、屋上の武蔵アリアダスト教導院の校旗を折り、飛翔器の隙間に刺す。
 “里見・義頼。―――成瀬・正義の臨時襲名として、行かせてもらおう。”

 その行為に最初に反応したのは「武蔵野」艦橋に居る鈴だった。思い至ることがある、「IZUMO」で、義頼はこう言った。いずれ、関東のことを「武蔵」側と話し合う時は“里見”が話し合う、と。自分以外の“里見”が。その時、もう覚悟は出来ていたのだ。

 “どういうことだ?” 義康は現状が理解できなかった。手元の表示枠に莫大な文字列が流れていく。“八房”の所有権と引継情報だ。義頼は義康をアリアダストに留学生扱いで預けることにしてあると告げる。「武蔵」と共に世界を回り、見聞を広めろと。そして、里見《総長》として最後の命を下す。
“「里見」総員は降伏を望むものは降伏を、抵抗を望むものは関東、もしくは全国で活動を行え。”
 全裸の馬鹿が“オメエ、何考えてやがる! 勝手に襲名とか、勝手に死んで解決とかするんじゃねえ!”と叫ぶ。
 だが、“忠”に乗る義頼は答えた。「文禄の役」の責任は私達にある、と。義康の手元の表示枠に“八房”の戦闘記録と運用の詳細が全て見えている。無論、姉が死んだ理由もだ。それは姉が残したメモのようなもの。
 「里見」が防衛のため武神戦力を揃え、力を得るのに前《総長兼生徒会長》は「P.A.Oda」と取引をした。しかし、“八房”の初陣で北条を通して侵攻する「P.A.Oda」を壊滅させ勝利した。その引責自害をしようとしたのだ。だが、自害では「里見」の恥となる。「P.A.Oda」に対しケジメをつけるため、主君の命により“忠”の男は主君を討ったのだ。
 跡を継いだ義頼は「P.A.Oda」から危険視され、羽柴侵攻の名目にされる「里見」本国の放棄も前提に「武蔵」と合流する必要があった。“里見“の継承者を預けなければならなかったのだ。そして、「文禄の役」は里見教導院の問題だと、里見《総長》はトーリとホライゾンに告げ、飛翔器の翼を広げた。

 “だれか、この馬鹿を止めろっ” トーリの言葉に、点蔵、ミトツダイラ、二代、ウルキアガ、ハッサンやネンジまでも武神に向かう。
 義康が“嫌・・・、待って!!“と懇願するのに”忠“の背中に朱い武神が降ってきた。「地摺朱雀」が”忠“を止めようとする。
 そのわずかな時間の間の中で、直政は義頼の言葉を聞いた。“我々が使う武神や“八房”の飛翔器、駆動機、OSは「武田」側での戦闘の際、先代達が集めた情報や図面が元になっている。恐らく、四聖、朱雀の飛翔器だ。“
 “なに?”思った瞬間、“八房“の権限移譲情報に触れた「地摺朱雀」の全身各部に朱雀の紋章付き表示枠が一気に展開した。共鳴によるOS起動だ。
 そして“有難う”と告げ、“忠”が飛んだ。

 義頼は飛翔の瞬間、“行かないで・・・”と言う義康の言葉を聞いた。泣いていた。叫んで手をこちらに伸ばしていた。だから決断できた。もう義康に与えてきた誤解は解けたのだ。
 約束を果たしに行こう。
 “安心しろ、私は死ににいくのではない―――。私はこれからようやく、何も諦めず、生きにいくのだ。”
 “忠”が爆炎の咲く空に道を作っていく。
 “聞こえるか、「武蔵」《総長》。かつて君は言った。たしかにこう言ったのだ。その姫のことを―――。死ぬしかない人間じゃない。殺されるしか他にない人間じゃなくぃ、と。”
 「三河」での放送を聞いていた時、理解したことがある。あの少年は仲間を得ようとしたのではない。姫を助けに行ける可能性があるかを確かめたかったのだ。死ぬべき運命がなければ、私達は生きていてもいい人間だったのだ。
 “敢えて言う。今後の戦闘において、君は笑え!そして私と彼女のような連中を救ってくれ・・・。”
3下

 対空砲火の密度が上がった。“忠”の各部が砕かれていくが速度は落ちない。前方に全長2kmの戦艦「長浜」がその身を盾に羽柴を護ろうとする。“忠”は加速しながら背の大刀を抜き、その賢鉱石(オロイメタロ)の刃に彫り込まれた「忠」の術式が面となって「長浜」を殴打した。100m強のハンマーが砕くように「長浜」を輪切りにする。高速の衝撃波によって既に装甲は大半が失われたが、“忠”は「安土」の甲板を目指す。火縄型三連主砲が火を噴き、“忠”も右半身が消えた。《重力障壁》を左膝で砕き、秀吉を目指す。“忠”と合一した義頼は最後に残った頭部装甲の牙で食らいつくように突撃した。

 空に爆砕の花が一つ開いた。
 秀吉の左腕、肩から上腕にかけて獣の牙が突き刺さっている。秀吉はその義椀を外し、目の前にあるものを見た。それは“忠”の残骸の中に立っている武蔵アリアダスト教導院の校旗。
 秀吉はその結果に深く頭を下げた。その上で彼女は、
 “里見《総長》が条件をクリアしました。「三方ケ原の戦い」を終了します。」
 北の方にいた「武蔵」はその姿を小さくしている。
 “・・・また、あの、どこかで・・・・”

 正純は呆然という言葉を感じた。皆、屋上から降りて教導院前の橋にいた。泣いている義康を浅間と喜美に支えさせる。鈴の報告では敵艦は感知できなくなったということだ。
 今度は「江戸」方面を羽柴麾下に占領された。一気に問題が増えた。羽柴の侵攻、「武蔵」の破損、燃料問題。正純は記録を打ちこんでいるネシンバラに評価を問う。
 橋上にいる皆がネシンバラを見る。
 “敗戦だね。それ以外に言いようがない。”
 トーリはどうしたろう、悲しむなよと声を掛けようとすると、全裸は振り向いてゆっくり一息ついて言った。“・・・笑えって、そう言ってサル子を討ちに行ったんだぜ、アイツは”。大丈夫のようだ。
 さて、これからどうしたものかと言おうとした時、鈴の声が表示枠から聞こえた。
“前方に、ス、テ、ル、ス。 なに、か、いる”
そこには“霧“があった。

 それは“隠れ里”だった。「武蔵」を“霧”が覆っていく。“霧”の底から無数の影が浮上してきた。航空艦の集合都市。どれも古い形式の100m足らずの輸送艦群だった。そして、その向こうから巨大なものが近づいてくる。正面に「IZUMO」の紋章を付けた巨大な浮きドック。「武蔵」専用“有明”の姿だった。
 里見《総長》、「IZUMO」本社、「六護式仏蘭西」からの情報で、「江戸」「里見」の住人を保護し、義経公の計らいで奥州勢に匿われていたと責任者の三科・翔一が告げた。

 トーリに手を引かれ、ホライゾンに支えられて橋上に来た向井・鈴は熱を感じた。おかしなことに、何もない。皆、座り込んだり、立ったまま視線を交わし合い、言葉を幾つか送りあっているだけだ。
 燻っている。動きたくて、だけど何かを堪えている。憤って、やる気を秘めている人がいる。だから。
 “大丈、夫”
 言うと皆がこちらに顔を向けた。そしてトーリが“なあ、ベルさん。ひょっとして心配させたか?”
 鈴は首を振り、“してたけど、してない、よ”と答える。
 ナルゼが立ち上がり“仕方ないわね、「三方ケ原の戦い」のアフターケアをしないとね。”と言う。鈴には彼女の熱がどこにも収まっていないのが判る。
 “え?まさか検便・・・”と腰を引いた全裸の横で、ホライゾンが茶碗と箸を無言で構えたが、それを無視してナルゼは魔術陣(マギノフィグーア)とペンを取り出す。
 「三方ケ原の戦い」で敗れた「松平」当主は、軽挙な戦闘で失ったものの大きさに気付き、己の憤りの顔を絵に残して反省した。
 “全員まとめて描いてあげるわ。生き抜いていった連中に、生かされた。そんな自覚を得た想いと顔を描いてあげる。”
 ネイト・ミトツダイラが唸るように、しかし、吠えぬように空の月へと言葉を送る。
 “私達は、いずれ必ず、その恩に報いましょう・・・”
 息を吸い、頷いたナルゼがペンを構えこう言った。
 “皆、いい顔をしてるわ。”
 だから
 ”次に歴史を動かすのは、私達の方よ。”
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下巻は調子に乗ってだいぶ増えてしまった。だんだんダイジェストが下手になっていったようだ。
だいたい3~5章ずつまとめるのがやりやすい。ギャグシーンはなるべく書きたいし、説明がないと解らないシーンが多いからだ。省略したくないセリフとか多いので文章が増えてしまう。

 引き続き第四部のダイジェストにかかりたいが、この作業は結構しんどいので、書き溜めてから発表しよう。他の本を読む時間が取れない。掲載は来年から始めるか。

 第四部は「奥州シベリア未踏地域」東側の伊達家、西側の最上家、「上越露西亜(スヴィエートルーシ)」の上杉家、「瑞典(スウェーデン)」を巻き込み「二境紋」の謎に迫ります。

 大きく兵装改造される「武蔵・改」。
《蜻蛉切》を失った本多・二代は?
意外な人物の意外な素性。
第三の四聖武神。「山川道澤」の“川”を司る「青竜」登場。
今回の敗戦責任を生徒会執行部に問う大論戦。
対「武蔵」戦闘部隊、羽柴の《十本槍》が徐々に姿を見せる。
羽柴側についた真田十勇士の暗躍。
浅井家を一人で滅ぼしたバーサーカー、お市の方と立花夫妻の激闘。
かつて交わされた「約束」とはなんなのか。
どこにもない教導院はどこにあるのか。
 
お楽しみに!(いや~、第四部もぶ厚いんだよな)

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第282回 風雲児たち 幕末編 第21巻

Posted by ヒッター7777 on   0 comments   0 trackback

みなもと太郎「風雲児たち 幕末編」(21)

風雲児たち 幕末編 21

 第74回の続き。

 いよいよ、「桜田門外の変」安政7年3月3日(1860年3月24日)の事件。
 ここまで詳しく書かれたものは読んだことが無かった。

 幕末編も残り10年分だ。坂本竜馬も、もっと出してくれないかな~

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第281回 ソードアート・オンライン(10)

Posted by ヒッター7777 on   0 comments   0 trackback

川原 礫「ソードアート・オンライン」(既刊11冊)
 
 第11巻 「ソードアート・オンライン11 アリシゼーション・ターニング」
ソードアート・オンライン11

 いつの間にか発売日が12月8日になっていた。作者さえも知らされてなかったって(笑)
 まあ、ヒッターが住んでいるとこは田舎なので、発売日の翌日にしか入手できないのだが、今回は日曜日が間に入ったので、本来の発売日の10日に入手。
 いつもなら11日にしか買えない物なので良しとする。
 このブログへのアクセスが日曜日はいつもの2倍あったのは、こいつのせいだな。
 分析によるとアクセスキーワードが「ソードアートオンライン」「ターニング」「ネタバレ」が大半を占めていた。

 さて、第229回での予想は嬉しい方にはずれました。おんなじじゃ面白くないもんね。
 前のように章立てで比較してみましょう。読んでない人はネタバレですので注意。

 <第三幕>「アリシゼーション・ターニング」第5章 右目の封印 人界歴三八十年五月
 Web版 第五章 

 <第二幕>の3分の2使って話を膨らませたため、すんなりと続く感じがする。
 当然、先輩の上級修剣士の話が捕捉されている。アズリカ先生ともども、物語後半にも活躍してもらおう。
 ユージオが1人で練習場に行った時、文庫版ではライオスとウンベールだけだったが、Web版ではラッディーノもいれて3人だった。
 ここで文庫版は重要な示唆を入れています。キリトが言っているのは心意(インカ―ネイト)に繋がる示唆ですね。

 ロニエとティーゼの貞操は無事だった。今回は間に合って良かった。
 ユージオの右目のシステム・アラートにも”コード871”が付いたようだ。たしかアリスが進入禁止領域に入った時もそうだったな。
 右目の封印を破るのは、今回、眼球の破裂までやったな。これはアリスが最初にやるはずだったのに。
 状況はWeb版と大きく変更されていて、ここでキリトは《心意》を解放します。敵も強くなってたしね。

 整合騎士アリス・シンセシス・フィフティはシンセシス・サーティ(統合体第30号)に変更。人数削減のようだ。
 Web版は妹の名はシルカだったが、セルカに変わっているのに気がついた。シリカと混同を避けたのだろうか。

 転章Ⅲ (文庫オリジナル)2026年7月6日
 Web版 第六章はカット

 まあ、六章カットはいいか。この巻で全体の三分の一も進んでないのでラスボスだすのは早いね。
 ここはシノンを絡めて後ほど出したほうが効果的かも。
 で、文庫オリジナルの転章Ⅲでは、リアルワールドの話を何処かに入れてくるはずと思ってたので、問題なし。
 いきなり「RATH」襲撃だとびっくりする。
 はて、STL試作1号機は六本木支部に1台しかないの? 2台ないと困らないか?
 ヒューマノイド型ロボット登場。これは終盤に繋がる設定ですね。


 第6章 囚人と騎士 人界歴三八十年五月
 web版 第七章(の十分の一くらい)

 この第7章は長かったし、重要なパートが幾つもあったので、序盤の牢獄シーンとかエルドリエが霞んでしまって、前回は忘れていました(笑)
 Web版ではアリスと共に第五章で登場したエルドリエ・シンセシス・トゥエニシックスはシンセシス・サーティワンに変更。ここに回されたようだ。
 26から31に回されたのはアリスが50から30に回されたのと、今年の優勝者で新参者の設定になったためか。すると、デュソルバートの弟子だった設定は無くなるのだろう。
 武器は《星霜鞭》から《霜鱗鞭》に名前が変わった。 

 予想でヒッターが勝手につけたカーディナル編の三分の一くらいまでしか進みませんでしたね。

 <第四幕>はアンダーワールドの黒歴史、カーディナル受肉からスタートかな。

 次は来年の4月か。
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第280回 境界線上のホライゾンⅢ(19)

Posted by ヒッター7777 on   0 comments   0 trackback

川上稔「境界線上のホライゾン Ⅲ(下)」 Horizon on the Middle of Nowhere
Episode Ⅲ-Part 3 適当ダイジェスト⑩


「第九十章 懐古の空の傭兵」「第九十一章 分岐点の交渉者達」「第九十二章 別れ場所の宣告者」
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 「墨俣」の操艦を指示しながら前田・利家は懐かしさを感じていた。羽柴が名を挙げる歴史再現の時、手伝ったからだ。敵地で「墨俣」を造ることになったのは斎藤さんが対空結界を作っていたからで、極東式の航空艦を居城として持つのはステイタスだった。丸太と布張りでとりあえず浮く物を使った。確かに一日で作った航空筏のようなものだったが、織田家では誰も笑う者はいなかった。これは敵の防空結界を超える人数と資材があれば、奇襲用の艦隊を即日現地調達できるということだからだ。
 利家は砲撃の指令を出す。むかしは砲などなく個人用の対空砲や術式を使ったものだ。
“では、行こうか。”

 里見・義康は「墨俣」の攻撃を見ているしかなかった。「武蔵」が高速航行中では“義”を出すことが出来ない。教導院へ向かおうとした時、後ろから巫女と踊り子が来た。綺麗なな巨乳と邪悪な巨乳だ。
 二人も教導院に向かっていると話をしていると、三河湾の向こうから莫大な光が天を貫いた。
 30kmほど先の「清・武田」、源・義経の重機馬部隊の砲撃だ。あそこまで行けば「三方ケ原の戦い」が始まり、歴史再現に関わらないものは排除される。その時、「墨俣」がどう出るかだ。

 利家は手元に表示枠(レルネン・フィグーア)を出して正面を見る。三河湾の対岸に「清・武田」の主力がいる。先ほど対空砲撃を見せつけたのは「P.A.Oda」に対する警告だ。武田滅亡に繋がる「長篠の戦い」に対する警告でもある。「清・武田」も甘んじて滅びる気はないらしい。
 利家は表示枠に向かって告げる。“こちらは「P.A.Oda」「M.H.R.R」所属、《会計》前田・利家・ヴァレンシュタイン。「武蔵」を追撃中。攻撃を止められたし。”

 義経は歴史再現の邪魔だと突っぱねるが、利家も引き下がらない。「武蔵」は複雑な状況の「M.H.R.R」の歴史再現に干渉し、「M.H.R.R」領内を航行した。「マクデブルク」の歴史再現の後始末だと、「清・武田」領内の通過許可を求める。その言い分に同時通神されていた本田・正純が噛みついた。

 《人狼女王(レーネ・デ・ガルウ)は月光降る丘上で「狩猟館(パンション・ベルサイユ)」のMouri-01の送ってくる情報を自分の表示枠(シーニャカドル)》で見ている。
 「M.H.R.R」領内や瀬戸内海での「M.H.R.R」旧派の艦船展開図。「P.A.Oda」領内の航空戦力分布推測図。大分、「清・武田」側に偏っている。そして、「聖譜連盟」「K.P.A.Itaria」から届いた一枚の書状。
 “「武蔵」が危険ですわね。”
 やはりそう思うか、と問うのは巴・御前。“義経の馬鹿も危険だが・・”と東を見る。
 《人狼女王》はMouri-01にルイ・エクシヴと毛利・輝元の証書を要請し、巴・御前に連絡を取って欲しい場所があると頼む。それは巴・御前達の敵だった場所だ、と。
 手短な計画書を送り、東の空を見つめる。“間に合えばいいのですが・・・”

 「奥多摩」の教導院の橋前で正純は交渉に入った。義経から回ってきた通神では前田・利家は自分達の正当性を主張している。そして「墨俣」は砲撃を続けたままだ。これは戦闘が継続されているということだ。“マクデブルクでの歴史再現を乱した処罰の、必要不可欠な戦場の移動“という名目で関東に入っても追撃してくるだろう。場合によっては”「武蔵」が逃げ切るために他国を巻き込んだ“と理由を追加するかもしれない。だから、歴史再現を盾にされてはいけない。それを持ち出されると「正譜連盟」まで敵にまわる。だから。
 “口を挟ませて貰おう!”

 幽霊船の速度で飛ぶ高速打撃艦「墨俣」の前部甲板上に立つ利家は「英国」に続いて二度目の体面になる相手と論戦に入る。
 「武蔵」の《副会長》は「M.H.R.R」領内の航行を曳航と発射であると押し通すつもりだ。そして、一つ誤解を解いておきたいと言う。利家は興味が無いと突っぱねたが、正純は“一昨日の「M.H.R.R」旧派の威力偵察は信長公の暗殺前の時代。羽柴と松平は敵対していない状態での出来事。よって、アリアダスト教導院は「M.H.R.R」に対し敵対の意図は無い。“と言葉を作る。

 前田の歴史再現発言を逆手に取ったかと義経は腕を組んだが、“それは読まれやすいぞ、正純。“と呟く。

 正純は橋上から正面を見る。正面に見えるのは“後悔通り”だ。自分は臆病なのか。焦っているのか。視界の中に影が来た。巨乳が二人、無いのが一人。左手からアデーレとミトツダイラもやってくる。これで自分を入れて薄いのが四人で大きいのが二人。約分して二分の一と考え、落ち着け、逃避するなと気を取り直す。
 左舷後方から砲撃。「P.A.Oda」所属「長浜」が追いついてきた。「三方ケ原」に入る前にだ。
 前田・利家から通神が入る。“「武蔵」には敵対の意志有りとしか考えられない。「M.H.R.R」改派への行動的援助。領内航行。逃走。これに対し「M.H.R.R」旧派は「聖連」の査察を申請する。”
 “結果によっては「マクデブルクの略奪」のやり直しもあり得る。”
 これはブラフだ、と正純は考えるが、「清・武田」の通神網(ネットワーク)」を通して記録されている。ブラフだと突っぱねれば記録を公表された時に、改派(プロテスタント)を見捨てたことになる。
 だから、と利家は続ける。“敵対の意志が無いと言う証明なら、「武蔵」の武装解除、「M.H.R.R」旧派(プロテスタント)からの「聖連」査察団の常駐をさせてもらう。”
 正純は一つの結論に達した。そうか、「M.H.R.R」旧派と羽柴は「聖連」の代表、《教皇総長》を手にしたのか。

 毛利・輝元は「六護式仏蘭西」旗艦「狩猟館」の甲板上に敷いた畳の上で、膝に眠っているルイ・エクシヴの頭を乗せたまま《人狼女王》と通神を開いていた。「M.H.R.R」旧派が《教皇総長》に手を出したなど不可能な話だ。だが「K.P.A.Itaria」と「P.A.Oda」の戦いでインノケンティウス《教皇総長》は行方不明。枢機卿の多くも所在不明で選挙もできない。この場合、旧派の代表、守護者は誰になるのか?
 “申し訳ありません。”と《人狼女王が謝る。輝元が何故、謝られるのだろうと話を整理してみると思い当たった。旧派の守護者は《神聖ローマ皇帝》になるのだ。そしてそれはルドルフ二世《皇帝総長》である。しかし、「マクデブルクの略奪」の際、ルドルフ二世は行方をくらまし、弟のマティアスが《総長》を襲名した。そして、新たな《教皇総長》を指名した。インノケンティウスの義妹、オリンピアだ。

 “成程のう“と呟く義経。羽柴は《教皇総長》を傀儡とし、「聖連」の行う解釈は全て羽柴の利となる。「武蔵」だけでなく、こちらにも火の粉はかかってくる。前田・利家はそれを知って「武蔵」の《副会長》を釣り上げた。これでは「武蔵」が何を言っても無駄だ。
 “つまらん。ならばこちらが動くか。前田の策に嵌りに行く。そして、―――身軽になりに行く。

 正純は言葉を作ろうとする。このままでは「武蔵」の力と自由を羽柴に押さえられてしまう。それではいけない。
 皆の視線の中、正純は小さな言葉を作った。
 “解ったことがある。――――――――交渉決裂だ!
 周囲の皆が首をかしげる。初めから失敗していたのだ。敵はこちらを潰すつもりなのだ。真正面から戦うべきだったのだ。それは羽柴と完全に敵対するということだ。覚悟を決めた。
 皆の顔を見て言う。“「墨俣」と「長浜」を退かせることは可能か?”
 ネシンバラが“やれないことは無い。“と答える。
 “後悔通り”を歩いてくるのはトーリとホライゾンだ。ネシンバラは策を話す。“「長浜」にはアリアダスト君の「大罪武装」を、「墨俣」には浅間君の矢が効く。あとは「武蔵」を少々、ぶつける覚悟がいる。”
 だが、女装の馬鹿がそれを止めた。
 “セージュン、オメエ、なに切羽詰ってんだよ。”

 図星を突かれた。味方でも厄介な相手だ。“この状況を見ろ、打開が必要だ。”
 馬鹿が鬘を外すしてそのまま頭に被せてくる。顔が後頭部側の金色の髪で隠れる。サイズが小さめでなかなか外れない。
 そのまま馬鹿はアリクイの走狗(マウス)“ツキノワ”を通して義経と話す。“こいつを見ろ、こいつはセージュンじゃねえ。ニセモノだ。変装を暴いてやった。俺んとこの《副会長》はいつもにやにやしてんだよ。こんなキツイ状況って時こそ、すごいいい空気満ちてくる顔でな。”
 “なあ、義経。”馬鹿は義経にこう言った。”俺たちごと、全部撃てよ。“

 義経は馬鹿の言葉を確かに聞いた。
 “「三方ケ原の戦い」ってやつは、俺たちがかなりボロボロにやられんだろ? それがフツーなんだよ。セージュンがそれを回避しようとしたのも解るんだが。でもよ、それを回避できないのがフツーなんだよ。”
 “だから義経、俺達を撃とうぜ! 俺達はまあなんとかすっからr気にするな。”
 利家は慌てた。“待て。僕達を巻き込むつもりか!それは敵対行為そのものだぞ?”

 “あ?何言ってんの。羽柴と松平はマブダチだろ?今。”馬鹿は頭を掻き上げて台詞を繋げる。
 “「三方ケ原の戦い」で一緒に撃たれてくれるよな?”

 “待て。何故、僕たちが「三方ケ原の戦い」に巻き込まれなければならない。”

 “おーい、シロ。こいつ、雇っちまおうぜ。友情、金で買ってさ。なるたけ、こいつらを盾にするんだよ。いい作戦じゃね?
 “待て、貴様!何を言っている!”商人の言葉に利家は何度も頷いた。商人の顔がフレームに入ってくる。“いいか馬鹿、よく聞け。友情を金で買うなどとんでもないことだ。あんなもの、金を払う価値もない。”
 “よし、「M.H.R.R」《会計》。友情はサービスの一環だ。いいぞ、サービスは。後腐れもないし騙しても足がつきにくい。――じゃあ、サービスで先に死ね貴様らしかも無料で、だ”

 利家はどこかでなにかが変になったと考える。だが、優先順位はこちらが上だ。彼らの言は無視しようと考えた時、「武蔵」の馬鹿が“そろそろ「清・武田」領に入るが、義経に許可取ってんの?”と声を掛けてきた。
 “しまった!”。利家は冷たい息を詰めた。義経は許可を出していないと言う。許可を取ろうとした時、「武蔵」の《副会長》が口を出してきたのだ。

 正純は自分の為したことの意味を知った。初歩的とも言える重要な飛び込むが功を奏した。ふと頭を揺らす馬鹿の手がこちらの頭を上げさせ、“笑ってっか?”と問い掛けてきた。
 “―――偽物だろう?私は。”それ以上の手は打っていない。。正純は改めて肩を落とした。

 利家は航路図を見ていた。「清・武田」領まであと一分の距離だ。このままだと「墨俣」は領空侵犯で攻撃を受ける。だが「武蔵」から離れて「三方ケ原の戦い」をやらせれば、談合で済ませるだろう。
 ならば。利家は表示枠の義経と馬鹿を見て“「清・武田」に対し、敢えて告げる。「聖連」の指示の元、本艦と僚艦への妨害行為は敵対と見なし、その教導院支配地を「聖連」は暫定支配地とします・」

 佐藤兄弟が憤るのを聞き、義経は“ナメおって”と呟く。「清・武田」は大国だが、「聖連」諸国とと「K.P.A.Itaria」を敵に回して持つとは思えない。問題なのは滅ぼされた後のことだ。
 関東を「P.A.Oda」から守っていた「清・武田」が、「武蔵」を護ることで「P.A.Oda」を関東に呼び込むことになる。逆に護らなければ関東の「聖連」支配を望まない関東諸国や、未来の支配者である「武蔵」が関東に来るのを嫌っている奥州勢は喜ぶだろう。
 “面白い”。「武蔵」勢も面白いが、この羽柴勢もなかなかだ。肝が据わっている。
 “前田、貴様の挑発。―――少々、乗ってやろう。」
 “「聖連」の指示による「武蔵」の追撃。許してもらえますか?”
 問いかけに義経は口だけの笑みでこう答えた。
 “誰が許すか馬鹿者。―――「聖連」や「P.A.Oda」の威なぞ、知ったことか”

 ホライゾンが正純に問う。
 “一体、どういうことです? チーンコ乗せたらキャラがデレた。そんな恐ろしいことがあり得るのか?”
 正純は金髪を掻き分けて答える。「武蔵」を通したら「清・武田」は「聖連」に暫定支配される。だが、「武蔵」にそれなりの負担をさせれば切り抜ける方法はある。
 同時に表示枠から義経の声が響く。
 “前田・利家。「清・武田」領通過の条件として、傭兵となれ。「三方ケ原の戦い」の実行権を与える。雇用期限は、「武蔵」が「三河」を失っているので、次の本拠地に到着するまで。「聖連」はその完遂状況を見て「武蔵」が歴史再現をする意思があるか判断しろ。”

 つまり、「武蔵」が「江戸」に着くまで「三方ケ原の戦い」が続くということだ。ネシンバラは歴史再現を逆手にとって前田・利家に傭兵を依頼したと判断した。「墨俣」だけで「武蔵」は落とせない。前田・利家が失敗すれば「聖連」は文句を付けられない。

 「武蔵」が「清・武田」の機馬軍団脇を通過していく。利家も律儀にこの間は砲撃をしない。
 義経は東へ向かう「武蔵」を見送りをせず、西を見ながら表示枠の利家に語る。おそらく「P.A.Oda」はこういう反応も予測していたはずだ。「三方ケ原の戦い」が義経=武田・信玄の手を離れた以上、次は何が待っているか。西方に見える「P.A.Oda」のオスマン側の艦隊全てを動員した総力戦。信玄の死後に始まる「武田」の滅びの始まり。
 「長篠の戦い」が始まる。

 表示枠に浮かぶ三者通神で利家と正純に告げる。“前田、この相対、お前たちの負けだ。「長篠の戦」が終われば歴史再現は大きく進む。この「武田」の領土は後に「松平」の支配下になる。正純よ、東に行って力をつけて来い。わしは誰にも従わぬままに、お前達に時代をつけよう、「武蔵」”
 そして正純の傍らの馬鹿を見て、“もっと、わしのように自由になってみろ。帝王としてのひとつの教えじゃ、全裸。”表示枠が消える。
 同時に「武蔵」内部から震動が走る。艦内通神で被害と破壊工作員7名の報告が上がる。真田教導院の7人が破壊活動をしながら逃走を始めたのだ。

 義経は佐藤兄弟に武田・勝頼を襲名させて「長篠の戦い」の指揮をとらせる。勝頼の最後である“自害”は二人で互いに半殺しで手を打っておけと言い、東に構えた大型浮上都市《弁慶》を見上げる。
 “昔通り、好きにするさ”

 「武蔵」の表層部と内部を破壊工作している7人の真田十勇士。猿飛・佐助と霧隠・才蔵は「奥多摩」の艦尾に向かっていた。彼らの目的は《武蔵王》ヨシナオの暗殺。白衣の少女と二人で歩いていたヨシナオを見つけた二人は背後から襲いかかったが、下方からカウンターで蹴りが飛んできた。咄嗟に躱したが、何処かで見たようで違和感のある攻撃だ。忍者として一度見た相手の剣筋や体の動きは把握している。
 刺客の端で相手を確認した。音も立てず近くの屋根に跳躍したのは“水戸の襲名者か!”

 ヨシナオは三科・大と共に走りながら安堵した。駆けつけてくれたか。“見直すべき所がおおくありそうだな。”

“破壊活動に気を取られて、要人の保護を怠るところでした”と銀の髪が話す。
 佐助と才蔵の周りに、筧・十蔵、穴山・小助、三好・伊佐、三好・清海、海野・六郎が集まる。
 《人狼女王》の娘が“お別れの挨拶ですの?”と言うと、彼女の周りにも「武蔵」の《第一特務》とメアリ、立花夫妻、《第二特務》の半竜、カレー鍋を持った印度人が立つ。最後のはよく解らないが隠し玉なのだろうか。カレーには隠し味が大事だ。
 佐助が“世話になった”と言い、才蔵が“御達者で“と言うと同時に《第一特務》が《王賜剣(エクスカリバー)》を投射してくる。これからは敵同士だ。甲板から飛び出した真下は関東の西側、真田の領地だ。

 「武蔵」は駿河湾をやや北に切り込みながら東へ進む。歴史再現中だから暫定国境上を進まなくていい。このまま「関東IZUMO」の専用ドックに逃げ込めば「三方ケ原の戦い」は一段落する。それまでに「墨俣」を撃沈する。
 「武蔵」は重力航行を開始した。外壁部の加速器から流体光を放つ。そろそろ燃料が心配だが決着を付けねばならない。
 幽霊船の特性を持つ「墨俣」は付いてくるが、「長浜」は遅れだした。いきなり「武蔵」に色がついた。前方に厚めの海を出現させたのだ。「墨俣」は膨大な飛沫に巻き込まれ、致命的な隙を作った。
 浅間は一瞬の隙を逃がさない。バインダースカートで身体を固定し、教導院に上がる橋の途中の踊り場から矢を放つ。対霊御禊術式を幾重にも掛け、追尾なし、強化、加速重視の矢の一撃が幽霊船に直撃した。空に霊達が光霧となって昇華する。
 直後、海を消して最大加速をかけた「武蔵」は一気に身を前に押し出した。

 「長浜」は追いつけず、幽霊船を失った「墨俣」も追撃が出来ない。“行ったか”と伏せた「弁慶」の上で義経はつぶやく。
 すでに「長篠の戦い」は始まった。「武田」の重機馬軍団と「P.A.Oda」の航空艦隊の砲撃戦だ。大小の防御術式が光り、応酬の砲撃が夜空を貫き合う。
 白い大型の機馬「静」のタンク上で巫女型走狗(マウス)“静”が広げる表示枠に映るのは北・氏直。
 「北条・印度諸国連合」はムラサイ教譜であり、暫定支配側のムガール朝は「P.A.Oda」の傘下だ。その氏直が「三河」の沖から相模方面の海を示した地図に航路予想図を示す。
 それを見た義経は頭を掻いた。そして歯を見せて笑みを作り、“里見の《総長》が「武蔵」に残ったのはこれを察知したからか。全く持って、世界が動き出す瞬間というのはまちどうしい。よくやった。”
 氏直は褒め言葉に礼を言う。義経は“すでにわしらは敗北している、と?
 “いえ、歴史再現で負けるのと、そうでなくて負けるのでは意味が違います。”
 義経は頭の後ろで手を組み、 “こっちはやるだけたるしかなかろう”と「弁慶」を起動させる。

 北条・氏直は居城・小田原の校舎で各地の物見櫓から送られてくる視覚情報を統合していた。自動人形である彼女の“見て”いるものは「P.A.Oda」航空艦隊、三重編成の“三段撃ちの構え”だった。箱根の山頂部の風魔忍者部の観測では義経の部隊は退き撃ちで対処しているようだ。距離を開けられよう前進する航空艦にカウンターで大型対空砲をぶち込む。だが「清・武田」が不利だ・
 「武蔵」が北条の北を抜けて東へ行き、西で「武田」が滅びるなら、両者に「北条」は護られたことになる。
箱根の山影の向こうに巨大な気配が立ち上がった。「清・武田」の打撃用対空武装、移動要塞「弁慶」が起立した。

 足裏に《重力障壁》を展開し、全高3km、横幅2kmの巨体が立ち上がり、広場のような肩上で義経がほぼ同高度となった「P.A.Oda」艦隊に手を挙げる。義経の手元に僧兵型走狗(マウス)“弁慶”が現れ、目標を全長2kmの打撃艦「清州」に合わせる。義経の命で「弁慶」の左腕フロントフォークが高速に動いた。
制御は「清・武田」特有の七部一仙道、千里行術の応用である。人を一晩で一千里走らせる術式が、膨大な量で展開し、巨大な装甲人形の腕を突っ走らせた。長さ2kmの腕の速度は一瞬で音速を超え、圧倒的な量の大気を押しのけて真空をつくった。その空間に大小の艦艇が吸い込まれてくる。そして「弁慶」の右手が《重力障壁》のナックルガードを付け、直径2kmの弧を描いて「清州」を破砕した。

 不意に周囲が暗くなった。周りの艦群が見えなくなる。暗雲が取り巻いて「弁慶」の身体が揺らいだ。
 義経は周囲の気配を感じ、身構えながら「武蔵」との通神を開く。
 “聞け、「武蔵」の馬鹿共。北へ行き「上越露西亜(スヴィエートルーシ)」を味方に付けろ”そして、“正純、「公主隠し」について無関係かもしれんが、ひとつ教えられることがある。かつて、この星に人々が降り立ち、人々を導くために「教導院」を作った。現在の教導院ではないそれは「天津乞神礼教導院」。北は古くを残した土地。きっと、過去の足跡はそこにある。行け!”
 ノイズを残して通神が遮断された。

 義経は暗闇の中、前方に力を感じた。これは「K.P.A.Itaria」の「厳島」を砕いた敵だ。義経は期待の笑みを持って、「弁慶」に攻撃をさせる。が、《重力障壁》ごと「弁慶」の右腕が上下に両断破壊された。そして重装甲の「弁慶」の巨体が爆砕する。義経は砕かれた「静」ごと闇の中へ落ちていった。

 正純はノイズと共に消えた通神枠を見ていた。西の方角から何か金属が砕ける音が聞こえた。“義経公・・・”と呟きを漏らした時、ミトツダイラが「江戸」が見えたと飛び込んでくる。
 皆の歓声が響く中、浅間は正純に問いかける。“何故、義経公は北へ向かえと、一番に言ったんですか?”やはり、そう思うか。「江戸」は東だ。何故?と言葉を続けようとした時、正面に太陽が咲いた・
 《竜脈炉》だ。

 その爆光は直径10km。消滅した空間に引き込まれるように「武蔵」は弧を描いて抉るように北に転進する。今度は衝撃波が北へ向いた「武蔵」に追いついてきた。上下に揺さぶられながら追突を避けるよう、牽引帯が外されて前部五艦と後部三艦が交差するように入り組む軌道をとる。
 なんとか凌いだ「武蔵」の乗員は三つのことを理解した。
 ひとつは江戸湾が消滅したこと。
 ひとつは「墨俣」「長浜」が追走し、「三方ケ原の戦い」が継続していること。
 最後は、艦尾側の空、江戸湾の上空に姿を現した巨大な艦影。「武蔵」のような準バハムート級全長7km弱の三胴型六艦連動式の艦体は、赤と黒に染められ舳先には「P.A.Oda」の紋章と艦名があった。

 巨大戦艦「安土」は外殻と内殻の隙間から流体光を漏らし加速を開始する。北へ向かう「武蔵」を追うために。

 次回、「境界線上のホライゾンⅢ(下)」適当ダイジェスト。最終回。

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第279回 アリシゼーション・ターニング

Posted by ヒッター7777 on   0 comments   0 trackback

川原礫「ソードアートオンライン11 アリシゼーーション・ターニング」

 どうもヒッターの予想ははずされたようだ。なぜか10日(月)発売予定の小説が、8日(土)に発売されたらしい。
 作者も知らなかったようだ(笑)
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 情報によると。
 Web版の第6章は今回は見送られたようだ。
 〇〇のロボットが早くも登場だと?
 アリスはWeb版より短気。
 小物だったライオスたちが案外強くなってた。
 ロニエとティーゼのあのシーンは無くなった。やはりラノベで集団轟艦はやれないだろうが、ユージオの怒りに火を点けるには足りない気がする。どういう表現だろう?
 捕まって牢に入れられて、《星霜鞭》の整合騎士と戦うとこまでだろうか?
 カーディナルは登場するのかな?

 大幅に変わっているようだ。
 これは20巻で終わらないかもしれん。
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第278回 猫物語(黒)

Posted by ヒッター7777 on   0 comments   0 trackback

アニメ 「猫物語(黒)」

 これで「紅白歌合戦」の視聴率が下がるだろう。
 「猫物語(黒)」 大晦日放映!!

 http://www.nekomonogatarikuro-anime.com/

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第277回 境界線上のホライゾンⅢ(18)

Posted by ヒッター7777 on   0 comments   0 trackback

川上稔「境界線上のホライゾン Ⅲ(下)」 Horizon on the Middle of Nowhere
Episode Ⅲ-Part 3 適当ダイジェスト⑨


「第八十七章 追い込み場所の突撃者」「第八十八章 コーナーの待ち人」「第八十九章 行き先の後輩」
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 南南東に移動する「武蔵」に西から砲撃をかけるのは「M.H.R.R」の羽柴所属、旗艦「白鷺・改」。全長3km弱の打撃型戦闘艦だ。もともと高速機動が売り物だが、高高度用に改修されている。向井・鈴はステルス空間から漏れてくる加速風発射パターンから模造図を構築していく。その「白鷺・改」がステルスを解除し、通神を求めてきた。
 「武蔵野」艦橋に居るのは自動人形たちと鈴しかいない。自動人形は人がいる場合は指示を求めるので鈴は慌てた。“わ、わかん、ないっ”

 「白鷺・改」の天守閣艦橋の中央に立つのは「P.A.Oda」の女子制服を忍者仕様で着ている滝川・一益。彼女と「白鷺・改」の任務は対毛利の情報収集だが、「武蔵」が逃げようとしたら索敵全開で大阪湾まで追跡する。一益がとりあえず「武蔵」の返神を待っていると、通神器の神象板に文字が現れた。
 通神担当の忍者が告げる。“わかんない”そうです。情報によると今の返神は艦長代理の鈴っていう娘です。前髪枠です。
 艦橋中央に隠し撮りされたジャージ姿の少女が映し出された。皆がそれを見て“ほう”と息を吐く。
 一益は首をかしげ、話をしたいんだがもうちょっと強く撃ってみるかと、もう一度、通神を送らせる。

 「武蔵野」艦橋に通神が届く。“言葉通じる?”。鈴がどういう意味だろうと“武蔵野”に尋ねると、“言うこと聞けよ?”という意味では? と答える。

 「白鷺・改」の艦橋に返神が届く。“ごめんなさい すず”。さらに首をかしげる一益と、艦橋中央に集まってひそひそ審議を始める忍者たち。いまので胸がキュンとしたようだ。
 話が通じないようなので最終通告を送る。“「武蔵」の「M.H.R.R」領内航行行為禁止違反により捕捉制止する。”

 鈴は“航行”ではなく“発射”だと思うが解釈の相違らしい。とりあえず逃げる判断をする。「白鷺・改」は対毛利侵攻の再現に大きく関わるので、大阪湾まで逃げれば管轄外で追ってこないだろう。相手は高速艦だが最高速度は「武蔵」の方が上だ。だが、「武蔵」は各国の暫定国境上しか航行許可が許されていない。松永・久秀の領土まで4カ所の航路証明マーカーを打たないと、領土侵犯で攻撃される大義名分を与えることになる。問題は加速状態を保ったままだと、関東まで燃料が持たないので惰性航行しか出来ないことだ。

 「武蔵」は俯角15度で降下しながら逃げ出すのを、「白鷺・改」は背後に貼りついたまま監視追跡にかかる。後方から前田・利家が向かってきている。「M.H.R.R」旧派の艦隊の先行が海上に警戒網を敷く予定だ。「P.A.Oda」本国からも羽柴の要請で主力艦が出ると報告が上がる。わからないのは紀伊半島を抑える松永・久秀がどう動くかだ。

 「武蔵」は大阪湾に向かって北から南南西に進路を取り、最初の沿岸部のマーカーを南に抜けて南東へ針路をとる。2つ目のマーカーは進路上、3つ目は堺沖から紀伊半島へ向かう南への緩いコーナー。最後のマーカーは紀伊半島内部へ向かって東に切れ込む急コーナーだ。
 「武蔵」は海上のブイ型マーカーに航路証明のマーカーを射出し、南南東の第3マーカーに向かう。暗い夜空の先に大阪から紀伊半島にかけての影が見える。速度を落とさない「武蔵」に「白鷺・改」が追随してくる。
 紀伊半島の海岸沿いのマーカーに航路証明を落とし、最後のマーカーに向かう。そこで東に航路を取るため、西側から通過しなければならない。急カーブのため速度を落とすので、ここで「白鷺・改」を引き離したい。だが、前方に不意に霧が生じた。「M.H.R.R」旧派の戦艦群が先回りしていたのだ。十八艦がステルスを解除し、一斉砲撃をかける。

 西から響く砲声を聞きながら信玄餅を食っていた源・九郎・義経は重騎馬軍団を展開させる。対空用防御術式を書き込んだ母衣を着こみ、大型二輪機馬に跨った八大隊、二万七千人が一斉にライトを点ける。さらに全長100mの重機馬群二十四機、全てが背に旗を立てる。
 義経は白い大型の機馬に乗り、巫女型走狗(マウス)の「静」に声を掛けて西の空を見る。砲声が近づいてくる。

 砲撃は《重力障壁》で防げるが、その分速度が落ちる。重力加速をしたいが、次のコーナーを回るのが困難になる。鈴は前方の十八艦が配列を変えて上下左右に展開し、壁を作るのを感知した。ついに「P.A.Oda」陣営が「武蔵」を捉えたのだ。

 「P.A.Oda」の高速艦隊を指揮するのは魚類型魔人族、片腕を失った九鬼・嘉隆。今、取っている戦術は村上水軍が自分に行った戦術だ。
 傍らの表示枠(インシャ・コープ)に女忍者の姿が映る。滝川・一益から引き継ぎ要請だ。「武蔵」がどう行動するか興味があるようだ。自分はあの時、この壁を下に抜けようと判断した。だが「武蔵」は装甲を失っても直進してくるかもしれない。

 「武蔵」が動いた。やはり下方を抜けようとしていると考えた九鬼は上方から雪崩落としを掛けた。「武蔵」の巨体が抜けるには相当に下降する必要がある。
 突然、降下突進中の「武蔵」の艦首部に浮上用の海が発生した。降下して速度が乗った瞬間、艦首側に制動を掛ける。急激な前側ブレーキに艦尾側が持ち上がり、そこに重力加速がかかった。つんのめった状態の巨艦が浮上用の海を解除した瞬間に「武蔵」は縦になった状態で降下中の九鬼艦隊の上方を飛び越えた。
艦尾側から順番に重力航行を掛け、九鬼たちが振り返った時には海面を割るように、遠くへ去っていた。

 これはネイト・ミトツダイラの案だった。浅間・智の矢をしならせて弾いた実演映像を送ってきた。矢はクルクルと回り御広敷・銀二の尻に刺さった。一発勝負で実践機動したため、自動人形たちはかなりの演算処理をしなければならなかったが、鈴とネイトの称賛で報われる。
 だが、新たな艦影が探知された。左舷3kmに追走してくるのは霊体で出来た幽霊艦隊。前田・利家の《癒使(イスラフィル)》、独逸傭兵団(ランツクネヒト)だった。

 帆を立てた外洋船型の五隻の幽霊船は、ぼろぼろに千切れた服を着た船幽霊を乗せている。中央の指揮艦に前田・利家と光の翼を展開している《おまつ》がいた。
 紀伊半島の暫定国境に飛び込むマーカーへ「武蔵」は南進から東進へ90°ターンしなければならない。そのインコーナーを抑えれば、こちらの勝ちだ。ポイントをマーク出来なければ航路失効でこちらに大義名分が出来る。

 「武蔵」と五隻の幽霊船は空中で位置の取り合いをしている、幽霊船の特徴は相手がどれだけスピードを出そうと、くっついて離れないことだ。「武蔵」の左舷一番艦「浅草」に幽霊船が体当たりして南東に押し出そうとする。質量差があっても高速航行している「武蔵」はこの挙動で揺れてしまう。
 ネシンバラは「武蔵」からの砲撃を指示するが、小型の幽霊船の機動で成果が薄い。だが「武蔵」も各艦上下機動で的を与えない。だが利家は戦法を変えてきた。
 左舷前部に幽霊船が一隻突入し爆発する。加速器を狙ってきたのだ。一時、左舷加速も12%が低下するが「英国」での反省により「浅草」は咄嗟に衝突部位をパージしていた。次は左舷三番艦「青梅」が狙われる。自爆覚悟で相打ちを狙うのは後続艦隊のための捨て石のつもりか。

 「青梅」に突進した幽霊船が砕かれるのを利家は見た。光と共に消えていく幽霊船の向こうの「青梅」の艦体は無傷だ。“なぜだ?”船幽霊たちの挙動がおかしかった。皆、万歳をしていた? そして利家は「青梅」の甲板上に敵を見た。バインダースカートで己の位置を固定し、巨大な弓を手にした巫女だ。“忘れていた。あれはクリティカル巫女だ!”

 “だれがクリティカル巫女ですかっ”と言いながら遠ざかっていく三隻の幽霊船を見ながら浅間・智は安堵する。内燃拝気を補給するトーリが戻ったので良かったが、対霊砲撃一発で空になった。
 トーリの流体分配で充填するには時間がかかる。「浅草」の修理にも使っているのだと思った時、ふたたび幽霊船が近づいてきた。

 安全な「武蔵」後方から近付いた幽霊船が、ふたたび砕かれた。やはり昇華型の消え方だ。だが「青梅」上の巫女の砲撃ではない。利家は「青梅」の甲板縁から黄色い粉を撒いている二人を見た。一人は尻に矢の刺さったデブで、もう一人はターバンを巻いている。二人はカレー粉を撒きながら“カレーは神の国の食べ物ですからネー、邪霊も一発浄化ですネー”と言っている。
 “嘘だあー!”利家は叫んだ。“カレーなど、スパイスの集合体だ。いったい、何を調合した!”カレーを撒かれたら戦艦が砕かれるなどあってはならない事実だ。こいつらは危険だ。

 そろそろ最後のマーカーに近づいてきた。正純は前方に蜘蛛の姿を見る。「シギサン」。松永・弾正・久秀の居城だ。その平蜘蛛から無数の砲撃が飛んできた。

 利家は「武蔵」の右舷側に幽霊船を寄せた。紀伊半島側から砲撃が来たヵらだ。「シギサン」が放った砲弾が「武蔵」の左舷側全域の《に重力障壁》に火花を散らす。「シギサン」は弾幕を張ったまま最後のマーカーポイントの前に出ようとしている。

 ネシンバラは厄介かつ有り難いことになったと考える。松永公もウワサ通り天邪鬼な人だと口の端を吊り上げる。本多・正純との約束通り、自領土の国境線上での戦闘を行い「P.A.Oda」としての仕事をしているようで、「シギサン」を抜ければ暫定国境上は自由ということだ。ならば意地でも通らなければならない。

 利家は「武蔵」が加速するのを見た。コーナーへの突入速度が速すぎる。マーカーポイントのチェックを放棄する気か。幽霊船は「武蔵」の速度に合わせたままアウト側で付いて行くが視界が徐々に東から北へ回っていくのに気付いた。旋回を敢行するつもりか!

 「シギサン」中央艦の円盤状の屋上に敷いた畳の上で松永・久秀は茶碗で酒を飲んでいる。「シギサン」は砲撃を止めていない。それに対し「武蔵」は」左舷側の《重力障壁》を莫大な量で展開し、大気防護の緩衝を緩めた。それで左舷の速度を落としながら右舷側を加速する。右舷の加速器で流体光が爆発して艦の軋みが聞こえてくる。面白い。よし、と膝を叩いて叫ぶ。“「シギサン」機動。南へずれて「武蔵」をアウトコーナーへ押し出せ!“

 急旋回する「武蔵」の左舷前方にマーカーポイントがあるが、「シギサン」が邪魔だ。下部に設置されているマーカー射出機を人力で外して狙い撃つしかない。逆さまになって直径2m程のマーカー発行器を外しているのは足をネンジによって外壁に貼りつかせ、腰をイトケンに支えさせて巨大なプラスドライバーを持ったペルソナ君だ。だが艦の軋みで歪んだのか引き出せない。
 それを邪魔するように南から幽霊船が一隻体当たりを掛けてきた。その幽霊船が二つに割れ破壊される。半竜のウルキアガの旧派尋問セットその452.対幽霊船撃沈装備“成仏鉄棒(パロ・バチズモ)”、全長 10m超の鉄棒によって幽霊船は昇華された。
艦の内側からノリキの声が聞こえた。緩衝材を挟んで押し出すという。身構えて術式を放つ、“三発殴って、―――航路を開け!”
 
 松永・久秀は赤の光が交差するのを見た。“やりおったかよぅ、馬鹿共がよぅ”。「武蔵」がこれから行く航路は「三河」から脱出した際に用いた航路だ。それを逆に戻っていく。通り過ぎる艦の上で女装の馬鹿がワカメ入り丼を頭に乗せて訳の分からないことを叫んでいる。教導院の前の橋で酒井が片手をあげている。むかし、スレイマンの紹介でやって来た小僧は、これから《教皇》に喧嘩を売りに行くと言った馬鹿な野郎だ。
 幾つもの勢力を渡り歩き、馬鹿がどれだけ世の中を変えるのか、俺には解っちまう。その最大の馬鹿は“うつけ者”信長だった。
 「武蔵」が加速する音が聞こえる。「P.A.Oda」の追手がかかるのだ。急いだほうが良いだろう。そして久秀は前方を見据える。九鬼・嘉隆の編成した追撃艦隊、三百隻が現れた。

 正純とネシンバラは通神で打ち合わせをしている。後方で「シギサン」が防御用展開を始めた。歴史再現をするつもりだ。松永公はは信長の配下になった時、一度裏切っている。そして、二度目の謀反で平蜘蛛と共に爆死する。「P.A.Oda」の後続と相対するのは明らかに謀反だ。
 正純は苛立ちのような感覚を覚える。“松永公、くれぐれも間違ったことをしないでくれ”

 松永・久秀は紀伊半島の入り口で九鬼の追撃艦隊と向き合っていた。松永・弾正は多くのことをしてきた。主君を討ち、将軍を殺して戦国の乱世を呼び、東大寺を大仏ごと焼き払った。それまでの価値観を悉く壊してきた。そして、領民には善政を布いている。同じような人物を九鬼・嘉隆は知っている。
 織田・信長は松永・久秀以上の破壊者だ。だが、久秀は信長さえ壊すような馬鹿を見つけたらしい。信長がそれを破壊するのも良し。破壊者としての久秀はそれが見たいのだ
 九鬼の眼前で「シギサン」が付属の八艦を展開する。

 正純の表示枠(サインフレーム)に久秀の姿が映る。正純にとって久秀はやはり相容れぬ平行線の敵だった。久秀は自分が支えた「P.A.Oda」に対し、最強の敵を与えてそれを「P.A.Oda」が潰せるかどうかで自分の正しさを証明しようとしている。ただそれだけのために、彼はここで己を通す。
 不意に久秀が言葉を告げる。“「P.A.Oda」の「創世計画」について一つだけ教えよう。それは世界を終わらせて、しかし、終わらせないものだ。” 

 円形の大型艦「シギサン」と八隻の随伴艦は、三百隻の艦隊相手によく戦ったが戦力差はどうしようもない。二十隻以上は落としたがその先は数えるのを止めた。随伴艦はどれも沈黙した。残るは自分の中央艦のみ。久秀は自沈の操作をする。そして全裸の馬鹿と姫の下で新しい世界を創っていく連中のことを考える。最大の壊し屋と最大の作り手が激突したらどうなるか。どちらも認めた俺のひとり勝ちかなぁ。言葉と共に「シギサン」は破壊された。

 “中途半端に失せおって”。表示枠を見ながら義経は呟く。《静》のシートに身を置き直した時、佐藤兄弟が「武蔵」の進行ルートに被さってくる艦影を探知した。「P.A.Oda」領内からサガルマータ・天山回廊の西を回る形で航空戦艦三隻が「武蔵」に向かっている。信長直轄の主力航空艦「清州」、高速艦「墨俣」、軽打撃艦「長浜」。その後ろに百隻ほど追ってきている。義経は砲撃準備の命を下す。

 「武蔵」は紀伊半島半ばあたりで北方向から追撃を受けていた。三か月前の「三河」消滅地点は今は湾となっていて、そこを抜けて30km東が「三方ケ原」だ。その「武蔵」の追走をかけたのは羽柴所属に高速艦「墨俣」。かつて新米だった秀吉が有力大名の領土内で造った一夜城。側部砲門を幾つか削って代わりに加速器を付けてある。鈴がその姿を知覚すると、簡素な作りの船だ。その「墨俣」に前田・利家の幽霊船が接続した。すぐに幽霊船の特性で「墨俣」の速度が上がる。最高速が「武蔵」に等しい幽霊船を加速器にしたため、周囲を突っ走りながら砲撃を開始した。
 すぐに紀伊半島の出口が見えてくる。そこは「三河」の陸港だ。そして新名古屋城跡城を通過した時、「武蔵」の加速が乱れた。地脈への破壊の影響力だ。「武蔵」の速度低下に乗じ、「墨俣」が一気に距離を詰めてきた。
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 次回、「三方ケ原の戦い」。義経=信玄の運命は?
 お楽しみに

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第276回 宇宙戦艦ヤマト 2199(4)

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アニメ「宇宙戦艦ヤマト 2199」第三章 果てしなき航海

 第三章を観る。

 第7話「太陽圏に別れを告げて」残り343日(旧第10話に相当)
 コスモクリーナーってコスモリヴァースシステムに変わったのか。
 保安部の伊東真也。市丸 ギンかと思いました(笑)
 一年前以前の記憶がない森雪。サーシャ・イスカンダルによく似ている彼女は、波動エンジンの設計図を届けに来たユリーシャ・イスカンダルなのか?
 なぜヤマト艦内にあんなに酒やビールがあるのだろうか。あのウシ乳娘の名前なんだっけ?
 山本玲ちゃんの赤い瞳は火星人(マーシアン)だったからか。萩尾望都さんの「スターレッド」を思い出しました。
 シャワー上がりのサービスシーン有り。
 ラストの意味深なシーンはなんだったのだろう。 

 第8話「星に願いを」残り339日(旧第9話、第11話、第12話に相当)
 デスラー総統、ゼントラーディかと思いました。プロトカルチャーと言い出すかと。
 デスラー総統カッコよすぎるが中間管理職の部下が無能すぎる(笑)
 (デスラー紀元136年って)
 旧3話をまとめた密度濃い作品でした。

 第9話「時計仕掛けの虜囚」残り325日(オリジナルストーリー)
 第4話で鹵獲されたガミロイドからの情報抽出。ヤマト、セキュリティ甘すぎ。攻性障壁を設けておけよ。
 なかなかのSFファンしか知らないワードが散りばめられていました。やはり同年代の監督の作品です。
 これはボトムアップ型のAIなのか。元ネタがわかる人はどれだけいるのだろう。

 第10話「大宇宙の墓場」残り323日(旧第13話、第15話に相当)
 ガミラスの政治・軍事形態に疑問を持ちますが、我々の実社会もこんなもんかもしれませんね。
 ワープって1ナノ秒なのか。
 ええ話やったー。捕虜となったガミラス娘はどうなるのか。
 次回も山本玲のお風呂シーンが!

 全体として沖田艦長は旧作より人間味の場面が増したように思います。

 来年1月公開の第四章「銀河辺境の攻防」が楽しみです。

 第11話「いつか見た世界」旧13話に相当
、第12話「その果てにあるもの」オリジナル エピソード
、第13話「異次元の狼」旧17話に相当
 第14話「魔女はささやく」オリジナル エピソード

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第275回 聖☆おにいさん

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中村光「聖☆おにいさん」第8巻 以下続巻
聖☆おにいさん

 昨年、無事にご出産されたそうで再開されてよかった。育児しながら連載は大変だろうな。

 アニメ映画化決定ということだが、好きな作品なのでアニメ化はして欲しくない。
 これはアニメ化しないほうが面白い漫画だ。(「荒川アンダー ザ ブリッジ」は面白かったが)

 最初は友人に勧められて読んだのだが、直ぐにハマってしまった。キリスト教圏には輸出できない漫画である。

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第274回 境界線上のホライゾンⅢ(17)

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川上稔「境界線上のホライゾン Ⅲ(下)」 Horizon on the Middle of Nowhere
Episode Ⅲ-Part 3 適当ダイジェスト⑧


「第八十五章 謁見空の月女神」
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 佐々・成政は東側の戦闘音が聞こえなくなったことから柴田・勝家が退いたと判断した。追撃してくる二人の魔女を躱しながら、大聖堂の向こう側の輸送船に向かう。
 三隻は既に浮いているが、極東勢を乗せた艦と《マクデブルクの半球》を積み込んだ艦は動いていない。《総長兼生徒会長》の合流を待っているのだろう。成政は《百合花》の術式で加速し大聖堂の屋根にジャンプする。魔女たちの攻撃はあと一歩、遅い。
 だが成政の視界に巨大なものが入ってきた。回避できない速度で「武蔵」から輸送船が突っ込んでくる。超巨大な狙撃だ。さっきの魔女達の砲撃は真上に視線を向けさせないためかと考えた時、カウンターで輸送船が直撃した。
 長さ100mの輸送船が三分の一に縮まる。大聖堂の屋根に金の翼と黒の翼が降り立った。身構えを崩してはいない。二人の視線の先には垂直に突き立った輸送船の上の成政を捉えていた。
 輸送艦をぶち抜いたのだろうが、右の拳が砕け、肩も妙な具合にへこみ、肩下あたりから骨が見えている。蒸気を纏ったまま割れたサングラスを鼻上に持ち上げ空を見る。
 空に何人か人を乗せた武神が見えてきた。「地摺朱雀」と“義”だ。輸送船への着艦軌道に入るのを見て成政は輸送船の艦尾を蹴って退いていく。「羽柴」の戦艦落としには続きがあったのだ。

 正純は夜空から落ちてくるものを見ていた。黒塗りのドラゴン級ガレー船だ。“義”も「地摺朱雀」も着艦直後で対応できない、落下軌道に向けて「武蔵」から来た外交艦と東側で上昇を掛けていた《半球》を乗せた輸送艦が割り込みを掛ける。
 壁となった2艦がガレー船と激突し、ひしゃげた。上空では「武蔵」が外部装甲の灯火を一斉に消す。敵艦突撃を受けないためだ。しかし、《マクデブルクの半球》は失われた。
ゲーリケ達の乗った輸送艦は西に向かい、「六護式仏蘭西」航空艦隊に合流するようだ。マクデブルクは水没し、「M.H.R.R」「P.A.Oda」の包囲軍も南方向に撤退している。戦闘は終結した。
肉を打つ音がしてアデーレが振り返ると喜美が「M.H.R.R」の制服を着た女子生徒の頬を叩いていた。
“誰です?”と聞くと女装の馬鹿が“俺だよ、俺”と言うので周囲で作業していた男子学生ともども、アデーレは敗北を感じ、膝を屈した。
 喜美が皆を心配させて言うことは無いのかと問うのに、トーリは“ありがとう、戻ってこられたよ”と答える。すまないと言わない所がトーリらしい。むかし、喜美と御菓子の家に行ったような気がすると喜美に言うと、“御菓子はもらった?”と返される。喜美はあの家のことを覚えていたようだ。
 
 下で成政と向き合っていたマルゴットとナルゼ、「武蔵野」にいる鈴から疑問が報告される。最後に降ってきた戦艦だけステルス仕様だったのだ。いきなり落ちてきて、鈴にも感知されなかったのは、先に落とした3隻が目暗ましになったからだ。だから、4隻目が本命のはずだ、だが何故撤退を始めてから落としたのか。気がつけば「M.H.R.R」艦隊は南東へ大きく距離を取っている。マルゴットとナルゼの耳に次第に大きくなってくる音が聞こえた。「鼓動」だ。

 《竜脈炉》。爆発予測時間は1分後。爆発すれば半径5キロ圏内が消滅する。
「武蔵」は緊急上昇をかけたいが、輸送船がまだ到着しない。オリオトライは諦めたのか丼の蕎麦を食べ続ける。浅間は“「三河」をドカンしたものがボカンしたら皆ボンしてアレレな感じ”になると騒ぐし、ハイディは“輸送艦、盾になってくれないかな。死んだら本にしてあげる。タイトルは「盾になったウスノロども」、印税は全部、私。”と御願いする。
 里見・義頼の“八房”が輸送艦に追いついてきたが、《パレ・カルディナル》の姿が見えない。「六護式仏蘭西」艦隊の方へ去ったのかとアデーレが思ったが、「六護式仏蘭西」側もまだ退避が済んでいない。爆発の被害の範囲内だ。なんとかしなければと考えた時、《竜脈炉》を積んだ戦艦が動いた。

 《パレ・カルディナル》と合一したアンヌはぼやけた意識の中で自分のしていることを自覚していた。西にいる「六護式仏蘭西」艦隊を巻き込ませるわけにはいかない。彼らには未来がある。次の時代を任せたのだ。自分のやって来たことを無駄にはさせない。寒気が来ている。あと30秒持つかわからない。ずっとベッドで寝ていた小娘が、どれだけ空を見上げていたか、その意味を教えてあげるわ。
 《パレ・カルディナル》が6枚の飛翔翼を開き、空へと自分の身体を発射する。

 里見・義康の通神にアンヌの声が響く。“皆、覚えておいて。これが私の尽きる瞬間の在り方だと。皆を護って、最後まで私は私を使い尽くして、―――そして勝つの”
 “なぜだ、あれほど兄王たちに会うことを待っていたのに、残された者のことを何故考えない!と顔を手で覆う義康に里見・義頼は語る。”勘違いするな、彼女は残すのではなく、お前たちを送り、そして行くのだ。“
 北西の空に向けて銀の一線が空を昇っていく。視覚に補正を掛けたリュイヌが西の方角の「六護式仏蘭西」方面をアンヌに見せる。視線を眼下に下ろせば「武蔵」と「六護式仏蘭西」航空艦隊が見えた。超望遠、増光度された視覚には「三銃士」Mouriシリーズ、そして《人狼女王》がいた。来てくれたのだ。「武蔵」の上に居るのは娘だろうか。胸以外はよく似ている。
 リュイヌが到達点に着いたと告げる。アンヌはリュイヌに礼を言った時、夜空に太陽が生まれた。
 爆風で丸く暗雲を吹き飛ばした後に見えたものは月だった。
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 南東の空を行く艦上で柴田・勝家は呟く。“とんでもねえ女だぜ。お前ら、覚えておけ。あの女は俺たちと同じ時代、自分の最後まで「六護式仏蘭西」を護ったんだ。”

 爆風が木々を揺らす中、上着をはためかせた輝元が隣のルイ・エクシヴに声を掛ける。周りから見えるぞと彼の頭に上着を掛けて隠す。
 ルイ・エクシヴは顔が隠されたことで、もはや憚ることなく・・・・
 
「第八十六章 行く道の待ち受け相手」
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 艦首を空に垂直に向けたまま発射準備にかかる「武蔵」に輸送船が到着した。だがトーリは空を見上げたまま動かない。喜美が手を握っているから大丈夫だろうが浅間・智はその姿を見つめていた。
 トーリが“楽しかったのかな”と浅間に問うのに、反射的に“違います”と答えていた。これは自分の役目だ。楽しかったと言えばそれは故人が去ったことを認めたことになり、トーリは悲しむだろう。 神道の巫女としての自分に聞いてきたのは、アンヌがどうなったかを疑問したからだ。
 “彼女はいつものように皆を護ってくれたのです。”トーリはそれを聞いて、“そっか、ありがとうって言わなきゃな。借りはいつか返すから”。振り返るトーリの顔にはとりあえずという形でいつもの笑みがあった。

 「多摩」の港上には三年梅組の皆の顔があった。女装の馬鹿を先頭に輸送船から降りるとホライゾンがトーリを手招きする。右の平手を振りかぶるので、のけぞって制止するトーリに、ほほう、それではと「大罪武装」を取り出そうとする。あわてて話題を変えるためにホライゾンにとって重要なことがあるとネシンバラに話を振る。
 仕方ないなあと言いながらネシンバラが解説する。これから「武蔵」は「P.A.Oda」領を通過して「清・武田」と合流、「三方ケ原の戦い」の歴史再現を行わなければならない。ここで「松平」当主は恐怖でウ〇コを漏らす。これを自分が代理してやると馬鹿が言う。
 いや、それでしたらこれで充分とホライゾンは背後の格納空間から「BIGBEN回収箱」を取り出す。修学旅行用のケンベーンで代用の解釈が出来るという。これに動きを止めたのは馬鹿だけでなく、輸送船組の女衆だ。オリオトライの指示で9時までに(あと2分)提出しなければならない。
 幸い、アデーレの話で浅間が騒いだので結果は残してある。そそくさとホライゾンを片隅に連れて行って白い包み紙を箱に入れる。直政が名前を書き忘れたと言うのに、アデーレも書き忘れたと言い出す。直政はアデーレの顔をじっと見て、犬のやつを使わなかっただろうなと問い詰める。小学部の時それをやって、人類の範疇以外の反応が出て危うく学校全体が消毒されかかったようだ。

 「武蔵」再発射の時が来た。雲を抜けた八艦は浅い弾道軌道で「M.H.R.R」領を南南西に進路を取る。マクデブルクから輸送船は「武蔵野」のバウに設置され、「武蔵」を「M.H.R.R」外まで曳航・先導していることになっている。現在、「羽柴」領の東欧と「M.H.R.R」の暫定国境上を飛んでいるが、このまま瀬戸内海に出る予定だ。その後、松永・久秀の領地、紀伊半島へ向かう。
 「P.A.Oda」本体は北側のオスマン朝トルコで、久秀は南側のオスマンに滅ぼされたサファヴィー朝トルコの残党や諸部族をまとめている。その暫定国境を西から東に抜ければ「三河」だ。
 正純は今後の行動を考えながら、ネシンバラに「マクデブルクの戦い」の結果分析を問う。
 「六護式仏蘭西」にとってはアンヌ・ドートリッシュの意思が明確になり、士気の向上につながった。「M.H.R.R」改派は被害を想定内に収めたはずだ。ただし、《竜脈炉》以外はだ。あれがあと何発、「羽柴」や「P.A.Oda」が持っているのか。作り方は簡単だ。しかし、それは各教導院の持つ流体槽の容量による。「P.A.Oda」は比叡山焼き討ちでムラサイ本拠の流体槽を奪取した疑いがある。
 久々に副会長と書記の会話が出来たと正純が思っていると、今度はネシンバラが問いかける。今回の戦いは敗戦だったか?と。
 記録を取ろうと手を止めているネシンバラに、正純は歴史再現としては敗戦だが実質は勝利と言えるだろう。アンヌ・ドートリッシュが必要以上の破壊から皆を救ったのだと答える。そして、松永公との戦闘はネシンバラに任せると言って教導院の方へ戻ろうとする。ネシンバラは奥多摩IZUMOに槍本多が《蜻蛉切》の修理に行ったと告げる。

 瀬戸内海上空に出てマクデブルクの輸送船は「武蔵」から離れていく。その時、正純は西側の空の雲が揺らめくのを見た。背後のネシンバラが大声で一次ステルスの外部影響だと叫ぶ。
 艦内通神で「武蔵野」の探知確認が届く。あれは「M.H.R.R」羽柴所属の姫路城「白鷺・改」、打撃型戦闘艦だ。


 次回、「武蔵」を追撃する「P.A.Oda」軍。果たして逃げ切れるのか?
 松永・久秀は敵となるのか味方となるのか?
 「三方ケ原の戦い」はどうなる? 残り9章です。
 お楽しみに!


 Episode Ⅲ-Part 3 適当ダイジェスト⑨につづく。

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第273回 うみねこのなく頃に散(4)

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竜騎士07「うみねこのなく頃に散 Episode8 Twilight of the golden witch」
 うみねこ8

 最終話。1986年に起こった六軒島の真実を追い求める縁寿。戦人は縁寿を最後のゲーム盤に呼び、優しい魔法をかけようとする。
 最後の右代宮一族となった妹へ、未来への希望を与え、全てを”猫箱”に封じるために。

 戦人&ベアトリーチェに最後の勝負を挑む”奇跡”の魔女ベルンカステル、物語を観劇する大魔女フェザリーヌ。
 一方、1998年では六軒島の真実が記された”一なる真実の書”を、世間に公開しようと偽書作家・八城十八が動き出す。

 今回はゲームマスターは戦人とベルンカステルの二人になり、それぞれゲーム盤で戦いを行います。
 戦人のゲーム盤のハロウィン・パーティの問題でヒッターはリアル4日ほど悩みました。ノートを取りながらやってたので。
 モンティホール・ジレンマを知ったのはここです。
 さらにベルンのゲーム盤で新たに使用される紫文字システム。紫文字は”赤き真実”と同等の効果を持つが、犯人だけはこの文字を使って”嘘”を付けるというシステム。これは難問でしたw。ヒッターはここでリアル3日ほど費やしました。

 復活した”探偵”古戸ヱリカ&未来からの侵攻軍団と、右代宮一族&ベアトリーチェと眷属軍団&異端審問官チーム&シエスタ姉妹近衛兵による黄金郷攻防戦は、最終話に相応しい戦いでしたね~。
 徹底的に邪悪に徹する奇跡の魔女ベルンカステルと、否応なしに参戦させられる絶対の魔女ラムダデルタ。実力の拮抗する二人の戦いは宇宙創造規模の激闘となる。
 この二人をあっさり抑え込むチートな能力を持つ観劇の大魔女フェザリーヌ。

 クライマックス。マリアージュ・ソルシエールの最後の魔女、魔法抵抗力”エンドレス・ナイン”の力を持つエンジェ・ベアトリーチェの持つ称号は”黄金”、”無限”そして”反魂”でした。

 エンディングは縁寿が二つの真実のどちらを選ぶかで、2種類用意されています。
 これが右代宮戦人とベアトリーチェの運命だったのか。エンディングの曲でヒッターの目から何か液体が零れ落ちました。

 そして、最後まで読者のだれにも予測できなかった八城十八の正体とは・・・?
 涙腺のゆるいヒッターは途中で何度も泣けるシーンがあり、その後の最終エンディングで今までにないくらい、ボロボロと涙を流しました・・・。
 思えば出題編から使われていたキーワード”ハロウィン”が、最終話で効いてくるとは・・・、物語はラストを決めて書き始めるんですね (´つω・`)シュン 
(改めてEp1から見直すと重要なヒントがきちんと鏤められていますな・・・)

 結局、やはり魔女たちはハッピーエンディングは与えてくれなかったが、・・・(´д`、)ウウウ しかしこれはええ話や・・・。
 発見されなかった「Land of the golden witch」も読んでみたかったw(かなり凄い話だったらしい・原作者談)

 「最後のお茶会」でベルンカステルとラムダデルタは、また「”なにか”のなく頃に」と言って去っていきます。
 
 真相はあなたの胸の中に・・・
 この物語を、最愛の魔女ベアトリーチェに捧ぐ

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第272回 パーツのぱ

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藤堂あきと「パーツのぱ」第7巻 以下続巻
パーツのぱ 7

 毎週読んでしまう不思議な魅力。本当に日常的なパーツショップのお話。
 
 パーツショップなんて数件しかない田舎にとっては面白い内容で、これくらい値下げ合戦してくれないかなと思ってしまいます。

 天戸さんが好きです。

 

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