まるでダメな男の日記

このブログでは趣味のゲームや読書感想など非生産的な駄文を書き連ねていく予定です。

第1374回 見知らぬ海へ

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隆慶一郎 「見知らぬ海へ」

 隆慶一郎の作品で最後に文庫化されたものだ。

 天正七年(1579年)9月19日。
 ひとりの若者が城を抜け出し、濃霧の中、沖合で釣りをしていた。
 この日、向井一族の守る、駿河と東遠州を望む持舟城は徳川軍の猛攻を受け燃え落ちた。

 釣りをしていたため一族を失いながらも生き延びてしまった向井正綱は、23歳にして武田水軍の一角を担う向井水軍の長となる。
 「魚釣り侍」と揶揄され、残った一族は母と姉とふたりの甥だけ。
 郎党で生き延びたのは海坊主と異名をとる野尻久兵衛と100名の水夫たち。そして5艘の関船であった。

 北条は武田との同盟を反故にし、織田・徳川と結んで包囲網を敷いている。
 武田勝頼は北条水軍に手を焼き、清水湊の武田水軍のの出陣を命ずるがすぐには誰も動こうとしなかった。
 清水湊の海賊戦力は 
 旧・今川水軍の海賊奉行小浜景隆 40丁櫓安宅船(戦艦)1隻、関船(巡洋艦)15隻
 旧・北条水軍船大将 間宮兄弟 関船15隻
 向井水軍大将 向井正綱 関船5隻
 伊丹大隅守 関船5隻
 岡部忠兵衛の遺児が率いる関船5隻

 対する北条水軍は
 50丁櫓の安宅船(戦艦)10隻、関船(巡洋艦)50余隻、小早(駆逐艦)10余隻。

 とても勝ち目がないと判断した武田水軍の海賊たちは動かなかったが、ひとり、向井正綱は50人のいくさ人を雇い、たった5艘の関船で夜襲をかけた。
 
 駿河沖海戦を経て一族の仇である徳川家にスカウトされた若き海賊奉行・向井正綱。
 北条包囲網、関白・秀吉の朝鮮進出、ウィリアム・アダムスの邂逅までが書かれています。
 隆慶一郎氏が存命ならば、この続きはきっと書かれていたでしょうね。すごく残念です。

 原哲夫さんの「いくさの子」に大きく影響を与えているのは間違いないと確信しますねえ。
 海坊主・野尻久兵衛というキャラは「花の慶次」の岩兵衛の元ネタのようです。
               見知らぬ海へ

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第1179回 鬼麿斬人剣

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隆慶一郎 「鬼麿斬人剣」

 獏さんの「大帝の剣」からの連想でよく思い出すのがこの小説である。

 巨漢、長大な剣、忍者との死闘と揃っているしなあ。

 BOOKデータより(1987年)
 山中に捨てられ、長じて名刀工・源清麿に師事した巨躯の野人・鬼麿は、亡き師が心ならずも遺した数打ちの駄刀を諸国に捜し、切り捨てる旅に出た。
 様(ためし)剣術独特の構えから繰り出されるその長刀は、人も刀も石をも鉄も瞬時に切り裂く。
 中山道、野麦街道、丹波路、山陰道と、師の足跡を追い、女を惹きつけ、伊賀者に追われつつ、異色のヒーローが繰り広げる斬人剣八番勝負。

 ちょうど書かれた時期が同じなんだよなあ。
 KADOKAWAのごたごたで中断した「大帝の剣」より、1冊で完結したこちらの方が面白かった記憶がある。
 なぜか先日、夢に出てきたのはネタにしてくれというメッセージだったのか(笑)
 こりゃ買ってある「花と火の帝」を読まなきゃならんな。
                      鬼麿斬人剣

第869回 一夢庵風流記

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隆慶一郎 「一夢庵風流記」
     一夢庵風流記
    
 アニメ「信長協奏曲」第2話で前田犬千代が出てきたので連想で思い出した。

 有名になったのは、やはり原哲夫さんの漫画「花の慶次 -雲のかなたにー」である。
 原作となった「一夢庵風流記」に惚れ込んだ原哲夫さんが、病床の隆慶一郎さんに漫画化の許可をもらいに行ったが、生きている間には許可を貰えなかった。
 遺言で漫画化の許可を得て「一夢庵風流記」を原案として描かれたのが「花の慶次 -雲のかなたにー」である。

 前田(慶次郎)利益は、織田信長に仕えた滝川一益の一族の出である。
 養父の前田利久(前田家の長兄)が弟の娘婿にするため養子に迎えた、夫を失った慶次の母が利久に再嫁したの諸説があるが、どちらにしても血の繋がらない親子であった。
 長兄の利久が病弱であったため、前田家の家督は四男の利家(幼名・犬千代)が継ぐ。
 義理の叔父となる前田又左衞門利家は、前田慶次郎利益より六歳年下であった。
 後に不仲となる二人。秀吉の小田原征伐の後、養父の利久の死を契機に慶次郎は前田家を出奔する。

 稀代の風流人であった慶次郎は京都で多数の文人と交流したという記録が残っている。
 この間に上杉景勝とその執政・直江兼続の知遇を得て、後に仕官することになる。
 
 前田慶次郎に関する逸話は多く残っており、列記すればきりがないので割愛。 
 法名の穀蔵院飄戸斎(こくぞういんひょっとこさい)は気に入っている。

 漫画の「花の慶次」では、秀吉の命で朝鮮侵攻の先見に行くところが琉球行きに変更されたが、やはり国際問題になるのを編集部が恐れたのだろうか?

第850回 柳生一族

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隆 慶一郎「柳生非情剣」「柳生刺客状」
  柳生
 新装版が出ていたので買ってきた。
 隆慶一郎さんの作品は「花の慶次」の原作である「一夢庵風流記」や「影武者 徳川家康」、「鬼麿斬人剣」くらいしか読んでいなかったのでこの機会に読んでおこう。

  「柳生非情剣」
 ・慶安御前試合(柳生連也斎 厳包)
 ・柳枝の剣(柳生左門 友矩)
 ・ぼうふらの剣(柳生又十郎 宗冬)
 ・柳生の鬼(柳生十兵衛 三厳)
 ・跛行の剣(柳生新次郎 利厳)
 ・逆風の太刀(柳生五郎右衛門 宗章)
  柳生氏

 剣に生きる男たちの凄まじい生涯。それぞれに苦労をしていますな。
 近親憎悪が激しすぎるのでは・・・

 この作品に多く現れる柳生新陰流と能楽の金春流の関わり。
 山田風太郎の柳生十兵衛三部作「柳生忍法帖」、「魔界転生」、「柳生十兵衛、死す」。
 この第3部で書かれる能楽の秘術があるように、柳生家と金春家には秘技を相交わす交流があったようだ。

 「柳生刺客状」
 ・柳生刺客状
 表題作。この作品は「影武者 徳川家康」の流れを汲む短編。
 徳川秀忠と柳生宗矩vs世良田次郎三郎(徳川家康の影武者)のサイドストーリーはなかなか痛快ですね。

 ああ、「境界線上のホライゾン」のシロジロ・ベルトーニは、豪商・茶屋四郎次郎からとったのか(笑)

 ・張りの吉原
  「吉原御免状」、「かくれさと苦界行」の後日談らしいので、今回は読まないでおく。

 ・狼の眼
  実在の人物、秋山要助の漂泊の人生。刃傷沙汰を起こし、自分を売った男を追って彷徨ううちに落ちぶれていくが、十年ぶりに行った試合で目が覚める。
  そのとき、要助は狼の眼をしていた。
  後に扶桑念流という一派を立てた男の覚醒の瞬間。

 ・銚子湊慕情
  未完の長編の冒頭部。読まなかった。

 ・死出の雪
  浄瑠璃「崇伝寺馬場の仇討ち」を題材に独自の視点で描いた短編。
  元ネタを知らないのだが面白かった。やはり悪いのはすべて女である。

 もう2冊買ってあるのだが、いつ読めるのだろうか。