まるでダメな男の日記

このブログでは趣味のゲームや読書感想など非生産的な駄文を書き連ねていく予定です。

第1735回 うたかたエマノン

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梶尾真治 「うたかたエマノン」

 文庫化されるのを待っていました。
 今回は初の長編です。

 生物が誕生してから30億年間の記憶を持つ少女。
 1987年、夏。カリブ海に浮かぶフランス領アンティル諸島のマルティニーク島で、画家ポール・ゴーギャンとジャン・ジャック・モリスは旅の少女と出会う。
 2年後、ジャンは彼女と再会した。
 フランス語にもクレオール語にも堪能な彼女はマルティニーク島に来たのは数度目らしい。
 なんと40年前にも来たとい少女は、その時の記憶を探していると言う。
 エマノンと名乗る存在に起こった記憶の欠落。

 新聞記者ラフカディオ・ハーンにブー(細巻き葉巻)の味を教えられたエマノンは、これが手放せなくなるというエピソードがいいですね~。ここの鶴田謙二さんのイラストが素敵です。
 40年前にエマノンとそっくりな女性に会ったというマム・ロペール。
 だが、エマノンにはその時の記憶が欠落している。
 当時のエマノンは、なにかの生き物を籠に入れてベレー山に登っていったらしい。
 はたしてベレー山で何が起こったのか。
           うたかたエマノン

 カラー口絵のエマノンは単行本の表紙ですね。
 エマノンの咥えタバコとジーンズ姿のルーツはこの時代から始まったんですな。

 さて、このあとは未収録短編が4本あるようですね。
 もう1~2作たまったら新刊が出るかな。

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第1233回 怨讐星域Ⅲ

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梶尾真治 「怨讐星域Ⅲ 約束の地」 Vendetta Planet Part3 Promised Land
 
 ついに惑星「約束の地」の衛星軌道に到達した恒星間移民船〈ノアズ・アーク〉。
 しかし、95%を海に覆われた惑星のわずかな陸地には、知的生命体の活動痕跡が認められた。
 地球出発時には可能性としてはあったが、誰もが深く対応を考えていなかった事態に第1次移民計画は大幅な遅れを出した。

 殖民地〈ニューエデン〉では狂信的な指導者により少年たちまで軍事訓練に駆り出され、仇敵が降下してきた場合の対策が検討される。
 しかし、双方が予測もしていなかった大災害が事態を加速する。

 原稿用紙換算2千枚という大作でした。
 梶尾真治さんの小説ですからアンハッピーエンドにはならないだろうと予想していましたが、これはまた微妙なところへ着地しましたねえ(笑)
 多くの人たちの人生の一部が描かれ、次の世代へと受け継がれていきました。
 やはり地道な「縁の下の力持ち」的活動と老人の知恵は大切にしなきゃならないですね。
 しかし、陸地が5%しかないし、早々に引越さなきゃね。
                     怨讐星域Ⅲ

第1222回 怨讐星域Ⅱ

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梶尾真治 「怨讐星域Ⅱ ニューエデン」 Vendetta Planet Part2 New Eden

 太陽のフレア膨張に地球が飲み込まれてから数十年。2つの人類社会は第2世代が成年に達っしていた。
 恒星間移民船〈ノアズ・アーク〉で脱出した人々の社会では、本当にこの行動が正しかったのかと悩み、自殺者が増えていく。
 転移装置で新天地「約束の地」へジャンプした人々は、過酷な生活環境でほかのグループに対し不信感を抱いていた。

 そして、さらに数十年後。「約束の地」では融合した二つのコロニーの人々が、日々、文明度を回復する努力を行っていた。
 “町”と“エデン”の融和により〈ニューエデン〉と名付けられた都市で、世代は第4から第5世代へ移っていく。しかし、既に移住時代の苦労を実感している者は少なくなっていた。
 だが、すべての人間が文明復興に向かって努力する社会には、まだ貧富の差は生じていない。

 (ほうほう、ギターとドラムが現地の材料で復元されて、カブト虫という歌手たちの「昨日」という曲が老人たちから採譜されたのか!)

 人々が“ジャンプ”してきた日を記念日として毎年「降誕祭」が開かれる。イベントを行う学生たちの今年の題材は日本の民話「サルカニ合戦」をモチーフとしたものだった。(おいおい「三銃士」が混ざっているぞ(笑))
 しかし、この演劇は大人たちによって地球を見捨て、〈ノアズ・アーク〉で逃げ出した者たちへの復讐譚へと変更されていく。
 脚本を担当したアンリーは敵役の元アメリカ大統領の人選に苦慮していた。悪の権化というイメージに合う人間が街の中には見つからない。
 ふとした情報で探しだした人物は記憶を失い、奇妙な言葉を話す〈ニューエデン〉に未登録の男であった。
 彼こそは「転移装置」の発明者であり、100年以上前に転送実験第1号となったイアン・アダムスだった。

 さらに数十年後のイアンの孫の世代。イアンの指導で造られた観測所はついに〈ノアズ・アーク〉の接近を捉え、迎撃の準備を始めようとしていた。


 世代型恒星間移民船〈ノアズ・アーク〉も既に発進から数世代が経ち、様々な困難と戦っていた。
 船長室と制御室のあるブロックで事故が起き、危うく中間地点で反転して減速が不可能になりかかったこと。低重力による住民の筋力低下問題。3万人を乗せて出発したが、すでに船内人口は1万9千人まで落ち込んでいた。
 目的地「約束の地」の軌道到達まで、約10年と予測されている。ここで最大の問題となったのは着陸をどうするかである。
 移乗時に使用したシャトルは、現地に滑走路がなければ着陸できないので早々に分解され放棄されている。新たな垂直離着式シャトルの設計と船体の資材転用による製作。
 そして肉体的に衰えた高齢者などは、惑星重力に順応できないだろうという残酷な展望。せいぜい1万人ちょっとしか大地を踏みしめることはできず、新たなフロンティアを開拓するという難問を背負うことになる。
 そんな時、 「転移装置」のジャンプ事故なのか、〈ノアズ・アーク〉船内に出現した日本人少女。
 地球脱出後に発明された装置で多くの人間が「約束の地」へ先乗りしたことを、一人の男は知った。


 いや~、家系図を作ったら面白いだろうな。
 誰が誰の子孫なのか、連綿と受け継がれていく名字でわかりますね。
 人類は邪魔になる生物を絶滅させてでも生きていく、残忍な種族なんですね。
 いよいよ最終巻では両者の邂逅となるようです。
                怨讐星域Ⅱ

第1213回 怨讐星域Ⅰ

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梶尾真治 「怨讐星域Ⅰ ノアズ・アーク」 vendetta Planet Part1 Noah's Ark
 
                恩讐星域1
 
 2005年からSFマガジンに掲載された作品が一挙全3巻刊行。

 近未来、地球全土で起こる異常気象、天変地異。
 科学者たちは太陽のフレア膨張が数年以内に起こるという予測を立てたが、それは公表されなかった。
 木星軌道まで広がるフレアは地球を飲み込み、全てを焼き尽くすだろう。不用意に情報が漏れれば大パニックになる。

 だが、数年に渡り増大した軍事予算で世代型恒星間移民船〈ノアズ・アーク〉を建造したアメリカ大統領は、暗殺を装い表舞台から去った。
 そして選民された3万人を乗せた〈ノアズ・アーク〉は172光年離れた新天地〈約束の地〉を目指した。

 船に乗せてもらえなかった政府高官のリークにより、世界中の人々は真実を知ったが、怒りをぶつける相手はもういない。
 大統領の娘ナタリーと恋仲だった青年イアンは、数年前に真実を知らされていたがどうすることもできなかった。恋人との仲を引き裂かれた天才エンジニアのイアンは大学の仲間達と共に、幼い頃からの夢であったSFに登場する「転移装置」のモデルを作り上げた。
 理論を広く公開し、世界各国で独自の改良をした大規模な「転移装置」が建造されていく。目標は人類が生存可能と予測される〈ノアズ・アーク〉が向かった星、〈約束の地〉だった。

 しかし、各国の技術格差により「転移装置」は様々な不具合が生じていた。転送先で融合してしまう者、裏返しになってしまう者。
 行き先がどんな所かもわからない、命懸けの転送に運命を委ねるよりも、地球に残って最後を過ごそうという人々も多かった。
 人類の7割がジャンプを決行し、そして最後の転送作業が終り、地球に残った人々は残りの時間をなるべく有意義に過ごそうと考えた。
 そして「ハッピーエンド」という名の錠剤が公共機関から配布されていた。

 「転移装置」によりジャンプした人々が、生きて無事に〈約束の地〉へたどり着けた確率は卵子に到達できた精子の数に等しかった。
 世界各国から言葉も風習も違う人々が、ひとり、またひとりと寄り集まり、集落(コロニー)を形成していく。
 先行実験で送り込んだもの以外、文明機器など何も持ち込めなかった異世界でのサバイバルが始まる。
 彼らをまとめあげていたものはただ一つ。やがてこの〈約束の地〉へやってくる、〈ノアズ・アーク〉で逃げ出した者たちへの怨讐であった。

 未知惑星の生物との生存競争はニーヴン&バーンズ&パーネルの「アヴァロンの闇」「アヴァロンの戦塵」を思い出しますなあ。
 これは後でネタにしよう。
 新天地〈約束の地〉は世界の縮図ですな。ゴキブリ持ち込んじゃあかんよ(笑)


 まだ1巻しか買ってきていないのだが、面白いから残りも買ってこよう。
 

第820回 ゆきずりエマノン

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梶尾真治 「ゆきずりエマノン」

 ゆきずりエマノン
 3月に徳間文庫版が出たのだが買っていない。
 なぜなら新書判が買い置きの山に埋まっているからだ(笑)
 帯に9年ぶりの新作と書いてあるが、発行は2011年5月31日とある。
 3年間寝かせてあったのだな~

 ・おもいでレガシー
 人に近づくとその人の記憶が入ってくる。成長するにつれて強くなる能力に水野香澄はとうとう拒人症状を発し引き篭るようになった。
 人とほとんど接触しないという、墓地のの手入れをする仕事に生きがいを見つける内に、隣接する老人ホームから、車椅子に座った老人の視線を感じる。
 危篤になった浦川老人が香澄に渡した銀色のボトル。流れ込んでくる浦川老人の記憶の中で、エマノンという少女からボトルを預かる約束をした少年の頃の約束。

 葬儀から数日後、香澄の前に現れたのは浦川老人の記憶と変わっていないエマノン。
 70年前に預けられたボトルが、浦川アツシの存命中にエマノンに渡されない場合の保険。
 数百年ごとに起こる、致死率の高い正体不明の病気に対抗する生物界の防御システム。
 その元となる植物の種子が入った銀色のボトルを、エマノンに渡すためだけに香澄に備わった能力。
 それは香澄を苦しめたが、しかし、エマノンの膨大な記憶の重圧には敵わないだろう。

 そしてエマノンは、重大な使命を果たし終えた香澄は誇りを持って普通に生きていけると言う。
 エマノンがこのボトルを取りに来たのは、その種子を蒔く時期が近づいているのだろうか。

 ・ぬばたまガーディアン
 なんだか判らない”衝動”に導かれ、山間の村落跡を訪れたエマノン。
 エマノンが次世代に移行するときの”衝動”とは違う、数十万年、数百万年サイクルで生物の進化の節目に訪れる”感覚”。
 そこには精神生命体により、まだ人類には開放されていない能力を引き出された人間たちが居た。
 彼らはなぜエマノンを呼んだのか。それは地球の生物の進化の歴史を記憶するエマノンに、これから起こることを記憶してもらうため。
 そして数千年、数十万年後に再び起こるかも知れない災禍に、人類が立ち向かう能力を持っていることを覚えていてもらうため。
 その時、自分たちが間に合うかどうか判らないからだ。そしてエマノンが目にしたものは・・・

 ・いにしえウィアム
 千五百年前、遣隋使に同行して向かいの半島に渡った時以来、何度、ここに来たのか。本能に導かれるまま博多湾から船に乗るエマノン。
 同じ船に何かに導かれるように失業者、毛谷村研一も同乗していた。ふたりの韓国・釜山(プサン)の旅が始まる。
 旅慣れた様子のエマノンは、どこの言葉も自然に覚えたと気怠げに語り、研一との約束を果たすと言う
 どうやら無銭旅行をしているらしいエマノン。支払いは全部、研一持ちである。
 翌日、釜山から蔚山(ウルサン)へ向かうふたり。
 人間に生まれ変わりなど無いと言うエマノンと、4百年前の記憶を蘇らせる研一。
 義岩(ウィアム)の地で、さらに千年以上前に交わされたエマノンとの約束とは?

 エマノンはこの約束に生物界の進化の一助を感じていたのか?

 ・あさやけエクソダス
 エマノンに不定期に突然、起こる”呼び掛け”。
 それは人間と限らず、種としての臨終を迎えるもの、新しい種へ進化するものの戸惑い。
 その”呼び掛け”の真実を知るため、孤島に渡ったエマノンの前に現れた生物とは?



 これであと未読なのは、昨年出版された「うたかたエマノン」だな。
 これは文庫化を待とう。またいつの日にかエマノンに会えるという希望を残しておかねば。