まるでダメな男の日記

このブログでは趣味のゲームや読書感想など非生産的な駄文を書き連ねていく予定です。

第1987回 満願

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米澤 穂信 「満願」

 6篇の短編を収録。
 ・夜警
 ・死人宿
 ・柘榴
 ・万灯
 ・関守
 ・満願

 どれも人間の「闇」の部分に焦点を当てた作品。
 今までのものだと「儚い羊たちの祝宴」、「追想五断章」系列の作品ですね。
 どれも非常によくまとめられ、最後に胸にストンと落ちる伏線が仕込まれています。
 特に怖かったのは「関守」ですねえ。話が何処へ進んでいくのだろうと思っていたら、あの結末です。
 普段、普通に暮らしているように見える人間が、何を考え、何をしてきたのか。
 それは家族にも、隣人にも解らない。
                   満願

 「王とサーカス」が早く文庫化されないかなあ。
 

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第1512回 折れた竜骨(下)

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米澤 穂信 「折れた竜骨」 The Broken Keel

                 折れた竜骨 下

 領主ローレント・エイルウィン殺害の犯人〈走狗(ミニオン)〉を追うアミーナ・エイルウィンとファルク・フィッツジョン、ニコラ・パゴ。
 ソロンに攻め寄せる「呪われたデーン人」の船隊。
 魔術(マジック)の横行する中世で論理(ロジック)はどこまで通用するのか?

 大量に書いた読書メモはここには載せません。(笑)
 いやいや、まさかこんなラストに導かれるとは思いませんでした。
 途中でこの人はまさかと思った人は、やっぱりまさかの人でしたね。(笑) フレイア・ラルスドッティル(Freya Lárusdóttir)さん。
 とても印象的な存在でした。
 ヒロインはデーン人風に言うとアミーナ・ローレントドッティル(ローレントの娘)(Amina Laurentdóttir)が本来の姓ということでしょうか。
 ただ解らなかったのはエドウィー・シュワーは誰に殺されたのかという点ですね。

 本来は異世界ものとして創案された作品だそうですが、ヒッターの好きな中世イギリスを舞台にしてくれたのが嬉しかったです。
 タイトルの「折れた竜骨」がやっと最後に出てきてタイトル回収でしたが、ニコラの物語は再びどこかで語られるのだろうか。
 期待しています。

第1511回 折れた竜骨(上)

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米澤 穂信 「折れた竜骨」 The Broken Keel

 12世紀。イングランドに属する北海に大小2つの島からなるソロン諸島があった。
 1190年10月、とある老守兵エドウィー・シュワーの不審な死から物語は始まる。

 領主の娘アミーナ・エイルウィン(Amina Aylwin)は、東方のトリポリ伯国から旅してきた騎士ファルク・フィッツジョン(Falk Fitzjhon)と従者の少年ニコラ・パゴ(Nicola Pago)と出会う。
 ファルクはある男を追ってソロンに来たと言う。エドウィー・シュワーの死に方は《暗殺騎士》と呼ばれる者の術の特徴がある。
 《暗殺騎士》の狙いは領主ローレントではないかとファルクは告げた。

 小ソロン島の領主の館の塔に20年間も閉じ込められている呪われたデーン人トーステン・ターカイルソン(Torsten Tarkyleson)。
 切っても突いても血が出ず、食事も水も取らず眠ることもなく動き回る髪も伸びず年も取らない戦士たち。 
 もともとソロン諸島は彼らのものだった。
 アミーナの曽祖父ロバートの代に勝ち取り、エイルウィン家の下で移民してきた農奴や奴隷が町を作ってきた。
 領主ローレントはルーン魔術師とともに追い払った「呪われたデーン人」の帰還を知り、何かあった時の後事を兄であるアダムよりもアミーナに任せると告げる。
 しかし、領主は翌朝死体で発見される。

 限られた時間帯にしか小舟で渡ることしかできない天然の要害である小ソロン島。
 領主の暗殺が可能な者も限られている
 アミーナは騎士であり魔術師でもあるファルク・フィッツジョンに殺害者の捜索を依頼する。
 もし《暗殺騎士》の凶行ならば、その手口に詳しいはずだ。 
 調査の結果、《暗殺騎士》は〈走狗(ミニオン)〉の魔術を使ったらしい。
 これにかかった人間は知らずに殺人を犯し、その記憶を忘れてしまう。

 領主ローレント・エイルウィン(Rolent Aylwin)はデーン人の襲撃を予測し、領民に武装を指示し、さらに傭兵を雇おうと面接していた。
 領主の昨夜の居場所を知っていた容疑者は8人。
 領主の娘アミーナ本人。
 家令ロスエア・フラー(Rosair Fuller):長年エイルウィン家に仕えている。 
 従騎士エイブ・ハーバード(Abe Herbertr):叙勲を待つ若者。
 弓手イテル・アブ・トマス(Iter ap Thomas);ウェールズ人。
 遍歴騎士コンラート・ノイドルファー(Konrad Neudorfer):ザクセン人。
 女戦士ハール・エンマ(Haar Emma):マジャル人。イングランド語を解さない。
 魔術師スワイド・ナズール(Suwayd Nazir):サラセン人。青銅の巨人を操る。
 吟遊詩人イーヴォルド・サムス(Ivold Samus):イングランド人。
                折れた竜骨 上

  はたしてこの中に〈走狗(ミニオン)〉はいるのか?
 そして《暗殺騎士》の正体は?
 というのが上巻のおおまかな粗筋です。

 この厚さなら上下巻に分けずに1冊にしても良かったんじゃないの?
 参考ページ
 http://www.tsogen.co.jp/ryukotsu/

 まあ、下巻を読むのが楽しみでもある。(笑)

第1467回 リカーシブル

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米澤 穂信 「リカーシブル」 Recusi-ble

 【recursive】再帰的、帰納的、回帰的、再帰、再起的
 〔数学・コンピュータ〕帰納的な, 再帰的な

                   リカーシブル

 親の事情で母親の故郷だという常井町へ引っ越してきた中学1年生のハルカ。
 この町に来てから弟のサトルの様子が変わった。

 中学教諭・三浦が調べていた資料。
 天保12年(1841年)から平成10年(1998年)まで、この町で4回起こった事件。
 そのどれもに関わっている共通事項。 
 繰り返し生まれ変わり、未来の起こること、過去に起こったことを知る「タマナヒメ」の伝説。
 「タマナヒメ」はお願いをした後に自殺し、お願いされた人間は「報橋(むくいばし)」から転落死する。

 寂れた町への高速道路誘致運動。
 三浦の事故を予見したサトル。 
 不可思議な行動を取る同級生のリンカ。
 28ヶ所の公的図書館に収蔵されているはずなのに、どこにも見つからない「常井民話考」という本。
 この本の所有者は全員不思議な死に方をしたという。

 他所から来た者には異質に感じるものがこの町にはある。
 なにかを隠している母親。
 すべての意味を理解したとき、ハルカは「タマナヒメ」の正体に気づく。


 ラストページでタイトルの意味が解りました。
 この異様な雰囲気は「ボトルネック」の時にも味わったなあ。
 ヒロインは中学生じゃなくて高校生の方が良かったんじゃないかと思うのはヒッターだけだろうか。
 弟の方は小学生でもいいけどね。
 ちょっとゾクリとするお話でした。

第1393回 さよなら妖精

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米澤穂信 「さよなら妖精」 The Seventh Hope

 太刀洗万智シリーズ第1作。

 西暦1991年(平成3年)4月23日。
 藤芝高校三年生の守屋路行と太刀洗万智は雨宿りをしている外人の少女に出会う。
 ユーゴスラヴィアから来たという少女マーヤは日本語が上手かった。
 行く当てがないというマーヤに旅館をやっている同級生・白川いずるを紹介する。
 守屋と同じ弓道部の文原竹彦を含めた4人は、文化の違う国から来たマーヤと3か月を過ごす。
 だが、ユーゴスラヴィアでは内部瓦解し、戦争がはじまった。  
 7月7日。政情不穏な故国へ帰るマーヤ。

 1年後。ユーゴ紛争はまだ収まらない。
 マーヤことマリヤ・ヨヴァノヴィチは連絡先を告げずに去って行った。
 彼女の安否を気遣う守屋路行は連絡を取れないかと、卒業し、ばらばらになった級友たちに声を掛ける。


 西暦1918年に成立したユーゴスラヴィアの正式名称は「ユーゴスラビア社会主義連邦共和国」(1991年の時点)なのだ。
 南東ヨーロッパの6つの国。スロベニア共和国、クロアチア共和国、セルビア共和国、ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国、モンテネグロ共和国、マケドニア共和国で構成されていた。
 マーヤはどの国へ向かったのだろうか?
 

 本作の語り部は守屋路行であるが、クールな女子・太刀洗万智の存在感が大きい。
 日本人にとってユーゴスラヴィアという国がどこにあるか、とっさに頭に浮かぶ人は希であろう。
 しかも、6ケ国の連邦国家である。
 日本という異文化圏で理解を深めようとしたマーヤと4人の高校生たち。

 たった2ヶ月余りの間の彼女の言動から故国を推理するのを、一旦は断った大刀洗万智。
 宗教、神という存在を抑え込んだ国、ユーゴスラヴィア。
 タイトルの英語名「 The Seventh Hope」の意味。
 マーヤの国へ行きたいと願った守屋。
 ラストは涙なくして読めませんでした。
                 さよなら妖精

 西暦2001年。新聞社を辞めフリージャーナリストとなった太刀洗万智の第2作「王とサーカス」、第3作「真実の10メートル手前」は文庫化を待つか。