まるでダメな男の日記

このブログでは趣味のゲームや読書感想など非生産的な駄文を書き連ねていく予定です。

第2172回 プロローグ

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円城 塔「プロローグ」 Prologue

 “名前はまだない”
 “なんの言語で書かれているのかわからない”
 世界一不思議な言語である「日本語」ですね。 
 『千字文』ってこれで全文なんですか。初めて読みました。

 十万人の登場人物がいる小説に、作者は十万人分の名前を考えるのだろうか?
 (いや、考えない)
 そもそもこの「私小説」は誰が書いているのか。
                 プロローグ
 ともかく密度が濃い!
 途中、夢枕爆が入ってますな。
 どうやって人工知能(AI)は小説の書き方を学ぶのか。
 《Self-Reference ENGINE》の巨大知性体に進化するのだろうか。 
 プログラム・コードで和歌や小説を書けるのか。
 そもそも和歌とは何かをどうやってコンピュータに理解させるのか。
 「赤ちゃんプログラム」というボトムアップ型プログラムは自ら物語を創り出していく。

 章を重ねるにつれて新たな漢字を取得していくという、「残像に口紅を」の逆パターンであり、いかにも円城塔さんらしい本でした。
 これは伊藤計劃さんの「ハーモニー」へのオマージュなのか。
 それでは「エピローグ」に進んでみよう。

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第1302回 ハーモニー 旧版

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伊藤計劃 「ハーモニー」 Project Itoh:harmony

  ハーモニー 旧版 ハーモニー 旧版裏

 日曜日に買い置きの本の山脈を掘り進めていたところ発見した。
 2011年の地層である。
 なんとなく「虐殺器官」の旧版と一緒に買ったような記憶があるが、あちらだけ読んで忘れていたようだ。
 「ハーモニー(新版)」との違いは巻末に評論家・佐々木敦氏のインタビューが載っていないことだけである。 

 八戸フォーラムでは上映するのかな?

 

 

 

第1141回 Boy's Surface

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円城塔「Boy's Surface」

 ・Boy's Surface
 西暦2007年。定理自動証明アルゴリズムを専門とする若き数学者アルフレッド・レフラー(当時24歳)は、ある奇妙な定理を発見した。いや、目撃したのである。
 「高次元球の生成と変換について」という素っ気ない論文を発表した年、「僕らの初恋の数学的可能性を巡る物語」が始まる。
 レフラーが目撃したフランシーヌ・フランスという女性の前に浮かぶ澄み渡った青い球体。
 彼女は当時29歳。専門は認知科学。後に反人工知能運動の首魁となる人物である。
 
 三次元レフラー球を生成する二次元基盤レフラー図形が発見されたのは2030年。レフラー球と呼ばれる現象が技術的に開発されたのは、2037年になってからである。
 思念されたレフラー基盤図形から錯覚されたレフラー球体へ。全くの視覚と非視覚のみによって稼働される認知過程型計算プロセス幻視球体。
 
 無限次元レフラー空間内で連鎖生成される真理偽装定理と、フランシーヌ型空想知能の闘いへと発展していく盲目の数学者の初恋の物語である。

 なんか書いていてわからなくなった(笑)
 視点的に半村良「妖星伝」を思い浮かべた。

 以下、説明をまとめようとしても全くまとまらない短編が続く。
 ・Goldberg Invariant

 ・Your Head Only

 ・Gernsback Intersection

 ・What is the Name of Tjis Rose?



 いつもながら円城塔さんの想像力、創造力には恐れ入る。
 ヒッターが数学好きなので、ウマが会うのだろうか?
                     Boys Surface

第997回 後藤さんのこと

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円城塔「後藤さんのこと」

            後藤さんのこと
 短編集である。

「後藤さんのこと」

 これはどうやって説明すればいいのか(笑) 赤黒緑青4色刷りの文章で構成された短編。
 後藤さん一般は、目の前に未来の後藤さんが現れたらまず”刺す”そうです(笑) 
 後藤さんは後藤さんの皮をかむったなにか別のものである。
 後藤さんは赤い帽子をかぶっているが、最大一人は白い帽子をかぶっていることがある。周りを見渡して後藤さん一般が赤い帽子をかぶっていれば、後藤さんは白い帽子をかぶっていると推測できるが、最大一人というのは誰も白い帽子をかぶっていない可能性もある。推測を間違えた後藤さんはバツとして死ぬ。
 後藤さんは粒子か波動かはっきりしないが、プリズムで7人の分後藤さんになることがわかっている。後藤さん後藤さん後藤さんを重ね合わせると後藤さんになる。
 カンブリア紀のパージェス頁岩から発見された後藤さんの化石に、絶滅した後藤さんの名残りがある。
 後藤さんは後藤さんの皮をかむっているだけなので、心穏やかに見ると普通に死んでいる。♂と♀があるらしい。
 地球から最も遠い後藤さんは56億7千万光年の彼方にいる。宇宙にどれだけの後藤さんがいるのか分からないが、光学観測される後藤さんよりはるかに多いダーク後藤さんがいるようである。
 次世代エネルギーとして注目される後藤さん発電は、1人の後藤さんで全世界の1日のエネルギー消費の200分の1を賄える。
 ある日突然、全宇宙から後藤さんが消失した。どこかの子供が「後藤さんは素っ裸だ!」と発言したのが原因と言われている。

 ありがとう、後藤さん。おやすみ、後藤さん。
 さようなら、後藤さん。(ヒッター)

「さかしま」
「考速」
「The History of the Decline and Fail of the Galactic Enpire」
「ガベージコレクション」
「墓標天球」

 を収録。

 巻末に添付されたINDEX小説。
 ポイントが小さすぎて読めません(笑)

第911回 ハーモニー

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伊藤計劃 「ハーモニー(新板)」 Project Itoh:harmony

 伊藤計劃の第二長編。
 第40回星雲賞(日本長編部門)および第30回日本SF大賞受賞。「ベストSF2009」国内篇第1位。
 死を見つめ続けた「虐殺器官」と対をなす、生きることを見つめる物語。

 21世紀初頭に起きた大災厄(ザ・メイルストロム)。それは「虐殺器官(ジェノサイダル・オーガン)」で引き起こされたものなのか。
 核戦争後の荒廃の時代の後、人類は極度な高度医療社会を築く。
 酒やタバコは禁制となり、風邪や癌が駆逐された世界。太り過ぎも痩せ過ぎも許されない生命主義社会。
 人はある年齢になると成長が止まり、《WatchMe》というソフトウェアを体内に入れて個人用医療薬生成システムにより、あらゆる病気から解放される。
 肉体の変化を抑制するシステムは、成長期にある子供には適用できない。

 人々がお互いを慈しみ合い、調和(ハーモニー)のとれたユートピアの世界。
 そんな大人の世界を15歳の女子高生、御冷ミァハは拒否した。
 霧慧トァン、零下堂キアンはミァハのカリスマ性に共感し、3人で自殺を図るが成功したのはミァハだけだった。

 13年後、世界保健機構(WHO)の上級螺旋監察官となった霧慧トァンは戦場にいた。
 元は砂漠だったサハラは遺伝子改造されたひまわり畑となり、地中の放射能を吸い出している。
 トァンは蒼き衣をまとい金色の野から現れた戦士たちから非合法な嗜好品を医療バッチの横流しで交換し、酒と葉巻で自分の肺と肝臓を痛めつける生き方をしていた。
 父親、霧慧ヌァザの開発した恒常的体内監視システム《WatchMe》に対抗するソフトウェア《DummyMe》をインストールし、偽造した生体データをサーバーに送る娘、トァン。
 個人の体を公共のリソースとすることを嫌い、戦場へ逃げ出したトァンは横流しがバレて謹慎をくらい、日本に戻ってくる。
 空港に出迎えに来た友人キアンと昼食を共にした席で、死んだミァハのことを話しているうちにキアンの様子が変わり始める。
 トァンの目の前でテーブルナイフで自らの首を掻き切ったキアン。
 同時刻、様々な方法で全世界の6582人が自殺を試みていた。

 WHOはこれを生命に対するテロ行為が行われたとして、全上級螺旋監察官を各国警察との共同捜査で主導権を取るように命じた。

 事件を追うトァンは13年前に死んだミァハの影を発見する。
 ミァハはチェチェン内乱の戦争孤児だった。トァンも見てきた暴力と死体の世界で幼年期を過ごした少女。
 そして何故か浮上した父・霧慧ヌァザの名。
 全世界に発信された”一週間以内に誰か一人以上を殺さないと死ぬ”という「宣言」。
 いったい誰が世界中の人間の脳を操作したのか?
 御冷ミァハのドッペルゲンガーに迫るトァン。

 さて、前作「虐殺器官」はSF小説でありながら、第1回月刊PLAYBOYミステリー大賞を受賞している。
 「ハーモニー」にも同じように仕掛けが施されています。
 核戦争後に復興した高度電脳社会といえば「攻殻機動隊」を筆頭に多くの作品がありますが、ここまで調和性(ハーモニクス)に特化した世界は珍しい。
 人体に有害な因子を制御できるのに、人類に有害な思想を制御してはいけないのか?
 仮想現実が標準装備され、個人情報の開示は常にオープン状態で、「プライベート」という単語は卑猥な言葉とされた社会システム。
 そこでも人間の中にある攻撃性は失われてはいない。

 若くして不治の病で闘病生活を送っていた伊藤計劃は、死というものと常に対面しながら思索を重ねていたのだろう。

                    ハーモニー〔新版〕