まるでダメな男の日記

このブログでは趣味のゲームや読書感想など非生産的な駄文を書き連ねていく予定です。

第2158回 星を創る者たち

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谷甲州「星を創る者たち」

 ・コペルニクス隧道
 月面の各都市を繋ぐため大深度トンネルの建設が始まる。
 月の表面は微細なレゴリスで覆われており、鉄道や道路の設置が困難だからだ。
 しかし、地球と違う環境での工事は、想定外の事故を起こす。
 先行トンネルに閉じ込められた山崎技術主任とクリシュナ技術員の運命は?

 ・極冠コンビナート
 火星の北半球極地における水資源回収基地の地盤改良工事。
 与圧されたドームで覆われている現場は火気厳禁だが、複数のセンサが二酸化炭素の異常な上昇を捉える。
 機材主任の立川は安全管理責任者として原因を突き止めなければならないが、現場の作業員は何か隠している。
 一次与圧ドームは0.6気圧のため、酸素分圧を高めてあった。 
 1基の与圧ドームで起こった火災はカタストロフを広げていく。 

 ・熱極基準点
 重金属を採掘し、惑星間軌道へ送り出す水星の大規模マス・ドライバ建設予定地のトラバース測量結果に現れた奇妙な誤差。
 水星の地殻変動は10億年も前に終わって冷え切って安定している。
 常駐技術員の秋山はこの誤差に不信を抱き、物理探査技師のバモオに相談を持ちかける。
 フィールドワークに出たふたりは衛星画像では捉えきれなかった断層を発見した。
 離心率0.2の水星は自転と公転の関係で1公転周期の内、近日点で太陽に表面を向け、最大の日射量を受ける点が2つある。これが熱極である。
 それに水星と密接な関係にある小惑星バルカンが、熱極上を通過するタイミングでひずみが解放されるのか。
 このあたかも計算されたような軌道にバルカンを設置した存在があったのだろうか?

 ・メデューサ複合体(コンプレックス)
 「第1166回 結晶銀河」、「第1183回 NOVA3」でも紹介した作品。
 木星系第5衛星アマルテアで堂嶋技術主任は広大なプラントに、共振による歪みを感知する。
 このあたりから仮想人格の「事務主任」が登場し始めます。
 ほおっておけば10時間以内に異常振動で「メデューサ複合体」は完全破壊される。
 拡大していく複合体は正確な設計図面もなく、突貫工事で対処するしかない。
 堂島主任が使えるのは先代の高木部長が残していった「事務主任」宮園だけだった。
 やはり現場には人間が常駐しなければ対応できませんね。

 ・灼熱のヴィーナス
 金星の赤道地帯に位置するアフロディテ大陸上空4万mに係留されていた、建設中の浮遊カイト施設で起こった事故。
 地表と上空の温度差を利用したエネルギープラントは、金星開発に必須のものだった。
 一部の浮力ブロックが落雷の影響で作業員数人を乗せたまま脱落した。カイト本体の方でも火災が発生した。
 地表は90気圧、摂氏400度の過酷な環境である。
 係留策が落下すれば地表側の施設は壊滅的な被害を受ける。
 地上側にいる汎用整備士・植田とカイト側の堂嶋所長は事故対策委員会と交渉を始めるが?

 ・ダマスカス第三工区
 土星系第2衛星エンケラドゥスのダマスカス地溝で起きた事故は、早々に保安部が乗り出してたため詳細が掴めなかった。
 現地入りした事業本部土木部長・山崎は5人の作業員が工区ごと地溝の底に閉じ込められている事を知る。
 その中には山崎が若い頃、一緒に仕事をしたクリシュナも含まれている。
 現地の保安部要員・木和田と行う救出作業は困難を極めた。
 作業に必要な機材そのものが500m下に埋まっているのだ。

 これは「コペルニクス隧道」の続編になりますね。
 事故が起こった原因はなんだったのか。
 エンケラドゥスには地球外生命体が存在したのだろうか。それともこれはエンケラドゥス自身の意思なのか。
 
 ・星を創る者たち
 「ダマスカス第三工区」の続編であり、「熱極基準点」「灼熱のヴィーナス」の登場人物もいる。
 これ、みんな同じ土建会社だったのか。(笑)
 
 ダマスカス第三工区の事故直後から始まったエンケラドゥスの火山活動。
 それは土星のE環にまで影響を及ぼした。
 人為的な環境変化だと判断されれば工事そのものが中止に追い込まれる。
 なぜか金星管区から呼ばれた堂嶋所長の求める状況説明に対し、保安部として木和田はこれを容易に認めない。
 山崎部長の立場としても遺跡の存在は簡単に話せない。
 クリシュナの調査チームがシミュレートした今後150万年のE環へ与える影響は、誰にも想像できないものだった。
 事業本部長代理・バモオはその赤外線領域で明滅する変化を「信号」と呼び、E環自体にも幾何学的模様が浮かび上がっている。
              星を創る者たち
 6600万年以前に太陽系に設置されたエンケラドゥス・メッセージ。
 太陽を赤色巨星化させるほどの技術力を持った存在は何者なのか。

 ヒッターは高校で工業化学を学び、大学で土木工学を専攻して土木建設業の従事しているので非常に面白かった。
 特殊用語が多いのだが、よく理解できる。
 しかし、一般の人にはピンと来ないのではないか?
 しかし土木SFとはアイディアの宝庫ですな。
 25年にわたって書き継がれた短編集。
 おつかれさまでした。

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第2133回 コロンビア・ゼロ

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谷甲州「新・航空宇宙軍史 コロンビア・ゼロ」

 西暦2099年6月に勃発した《外惑星動乱》。
 自治権の拡大、または独立を求めた外惑星連合は開戦直後の奇襲攻撃で航空宇宙軍に打撃を与え、有利な条件での早期停戦を行う予定だった。
 だが、人類が初めて経験する宇宙戦争は長期化、消耗戦となり、外惑星連合の敗北で終戦した。
 それから40年。国力の低下した木星系のガニメデ、カリストに代わって、土星系タイタンが台頭する。
 着々と力を蓄える外惑星連合は次の戦争への準備を行っていた。
 2140年前後は惑星直列により土星と木星が最も接近し、戦力の集中が容易となる。
 第二次《外惑星動乱》の時期は迫っていた。

 ザナドゥ基地
 イシカリ平原
 サラゴッサ・マーケット
 ジュピター・サーカス
 ギルガメッシュ要塞
 ガニメデ守備隊
 コロンビア・ゼロ

 の7篇を収録。
                     コロンビア・ゼロ

 巻末の解説を読むと「完全版」の3巻、4巻をやはり先に読んでおくべきだったかと思ったが、まあ、それはこの先の楽しみにしておこう。
 「新・航空宇宙軍史」は全3巻になるようなので、まだ先は長い。

第2062回 航空宇宙軍史 2

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谷甲州「航空宇宙軍史 完全版2 火星鉄道一九/巡洋艦サラマンダー」
 The History of Aerospace Force


 第一次外惑星動乱の開戦初期から戦争集結までを描いた連作短編。
 
 「火星鉄道一九」
 ・火星鉄道(マーシャン・レイルロード)一九
 ・ドン亀野郎ども(タートス・ギャング)
 ・水星遊撃隊(マーキュリー・スカウト)
 ・小惑星急行(アステロイド・エクスプレス)
 ・タイタン航空隊(フライング・タイタンズ)
 ・土砂降り戦隊(cat'n dods fighters)
 ・ソクラテスの孤独(ロンリー・ソクラテス)
 「巡洋艦サラマンダー」
 ・巡洋艦(クルーザー)サラマンダー
 ・サラマンダー追跡
 ・アナンケ迎撃作戦
 ・最終兵器ネメシス
                 航空宇宙軍史完全版2
 外惑星連合軍が地球と月に宣戦を布告。航空宇宙軍は防衛に当たるが、火星都市連合はまだ様子見の段階だった。
 しかし火星は重要な戦略拠点でもある。
 駐屯する航空宇宙軍部隊は総員戦闘配置に付くが、そこへ2つのステーションで交戦情報が入る。

 航空宇宙軍にとって内惑星系に重水素を供給する外惑星連合軍の宣戦布告は、推進剤の供給停止を意味する。
 つまり防衛に徹するか、短期決戦に持ち込むしかない。
 だが、勝った方も数年は立ち直れないダメージを負うだろう。

 西暦2099年7月から2100年1月の太陽系の惑星位置は、木星、土星、海王星が秋分点側にあり、水星、金星、地球、火星、天王星は春分点側を移動する。
 外惑星連合軍の侵攻の最前線は水星であり、哨戒基地が置かれる。

 水星の哨戒艇監視網をすり抜けた仮装巡洋艦バシリスク。
 航空宇宙軍の稼働戦闘艦のほとんどが追跡にかかった仮装巡洋艦サラマンダー。
 そして第一次外惑星動乱の呆気ない幕切れ。

 なかなか火種を残して終わっていますね。
 完全版3は、この後始末と動乱の裏側が書かれるようです。
 考えてみれば外惑星軍が太陽を挟んだ一番内側の水星方面側から来るのもアリなんだよね。

第1680回 航空宇宙軍史 1

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谷甲州「航空宇宙軍史 完全版1 カリスト―開戦前夜/タナトス戦闘団」
 The History of Aerospace Force


 何しろ読んだのが30年くらい前なので、完全版の刊行は嬉しい。
 話をほとんど忘れてるもんな。(笑)
         
 刊行順ではなく、ある程度時系列順に編纂するということで、《第1次外惑星動乱》の頃からですね。
          航空宇宙軍史完全版1

 ・カリスト―開戦前夜
 人類が太陽系内に足場を広げ、その膨張が天王星の衛星エリヌスの開発を最後に停滞期に入り始めた時代。
 各植民地勢力は《地球-月連合》惑星開発局と地球軍(航空宇宙軍)の軛を離れ始めようとしていた。
 自主航行権をめぐり、《外惑星連合》と《地球-月連合》の交渉は暗礁に乗り上げる。
 協商組織を標榜していた《外惑星連合》が軍事組織と変貌するのには時間はかからなかった。

 西暦2098年。木星の第4衛星カリストの低軌道を巡るアルテミス・ステーションで起こったテロ活動を担当した国境警備隊のヘルム・“ダンテ”・フェルナンデス大尉は、それがカリスト防衛軍にマークされていた航空宇宙軍のエージェントだと知る。
 ガニメデ、タイタン、カリストは極秘裡に仮装巡洋艦の建造に着手する。イオとエウロパは工業力に乏しいが歩調は合わせていた。
 しかし航空宇宙軍の新型ゾディアック級フリゲート艦建造の情報に、各植民地の足並みは乱れ始める。
 艦隊戦では艦数、性能では勝ち目がない。
 短期決戦で有利な講和条件を打ち出すためには都市制圧型陸戦隊が必要だ。
 カリスト防衛軍の山下准将のテコ入れで、ヘルム・“ダンテ”・フェルナンデス大尉⇒少佐は「タナトス戦闘団」の指揮官としてスカウトされる。

 ・タナトス戦闘団

 山下准将のクーデター計画は不発に終わった。
 ヘルム・“ダンテ”・フェルナンデス中佐は月面のセント=ジョージ市にいたが、「タナトス戦闘団」の噂は《地球-月連合》にも知れ渡っていた。
 諜報部は“ダンテ”が何を目的として月に来たのか、疑心暗鬼に駆られる。

 ついに西暦2099年。開戦の狼煙が上がる。


 うーむ、文庫2冊分だから読むのに2日かかった。
 全く内容を覚えていなかったな。(笑) 
 フェルナンデスさんはこの後も出てくるんだっけか?