まるでダメな男の日記

このブログでは趣味のゲームや読書感想など非生産的な駄文を書き連ねていく予定です。

第1909回 探偵が早すぎる 上

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井上真偽「探偵が早すぎる 上」

 ヒロインの十川一華(17)は父の死により莫大な遺産を受け継ぐ。
 その資産額は5兆に達した。
 故人となった十河瑛(48)は素封家の大陀羅勝光(98)の隠し子であったが、勝光にはほかに男女合わせて7人の子供がいた。
 大陀羅勝光は病床につき、余命は長くはないが、一華にとっては直系の祖父である。
 一華が亡くなればその財産はどうなるのか?
 亡き父の一族たち、亜騰陀、朱鳥、六強、陣光、竜精、貴人、天后は一華の命を狙う。

 ただ命を守るために引き篭っているわけにはいかない。攻撃は最大の防御だ。
 一華に付けられている使用人の橋田は、古い知り合いに連絡を取った。
 事件が起こってから登場する「探偵」ではなく、事件が起こる前に完全犯罪トリックを見抜き、犯人(未遂)を特定してしまう「探偵」。
 はたして「探偵」は一華を守りきれるのか?
                  探偵が早すぎる 上
 「最速」ということでは掟上今日子さんを上回りますね~
 橋田嬢の古い知り合いだという、外見から男性か女聖か判別できない千曲川光という人物。
 性別は男性だが心は女性、性的嗜好は同性愛という危ないプロファイラーだが、一華の使用人・橋田嬢もちょっと怪しい素性があるようです。

 7月に下巻が出るのでそれまで読まないでいようと思ったのだが、、昨日の「掟上今日子の裏表紙」からの流れで読んでしまった。
 後半の逆襲編を楽しみにしています。

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第1652回 恋と禁忌の述語論理

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井上真偽「恋と禁忌の述語論理(フレディケット)」

 第51回メフィスト賞受賞作にしてデビュー作。

 レッスン1「スターアニスと命題倫理」
 森帖 詠彦(もりじょう えいひこ)が幼馴染で同じ大学に通う藍前 ゆりとともに招かれた小パーティ。
 参加者は詠彦とゆりのほかは社会人の女性4人。その席でひとりの女性が食べたカレーに入っていたスパイス中毒で死亡した。
 警察は事故として処理をした。
 しかし、ゆりはこれは本当に事故だったのかと疑う。

 ゆりの姉で、フラワーショップ「アリストロキア」を営む藍前 あやめは《花屋探偵》の異名を取り、数々の難事件を解決して報奨金額が店の売り上げを上回る《安楽椅子探偵(アームチェア・デティクティヴ)》である。
 被害者たちの個人的事情を知っていたあやめは、得意の「花占い推理(Pulling Petals Detection)」で、この「スターアニス事件」の背後には、のこり3人の“動機”がもっとも重要だと答えた。
 3人それぞれに被害者への恨みがある。しかし、それだけで殺意に繋がるものなのか?
 実行犯は料理を作った女性であることは明白だが、ほかの二人は共犯ではないのか? はたしてこれは「事故」なのか「故意」なのか。
 《花屋探偵》は「事故」と判定した。

 詠彦の母の年の離れた妹。つまり叔母にあたる独身アラサーの硯(すずり)さんは、T大在学中に発表した論文がパリ数理科学財団の目に留まり、そのままフランス大学の研究機関からフランス国内の金融機関に就職。数年で日本人サラリーマンの平均生涯収入の数倍を稼いでリタイヤ。
 現在は北関東の田舎で自家菜園で野菜を作っている、見た目20代前半の(友達いない)女性であった。

 今回、詠彦が彼女の元を訪れたのは、《花屋探偵》の推理の検証である。「毒殺」と「事故死」を論理的に見分けることは可能なのだろうか。
 「数理論理学」とは“人間の思考を支配する法則を明らかにする”こと。
 硯さんは「数理論理学」には“動機”は関係ないと言う。
 人間の心理は『∧(かつ)』、『∨(または)』、『⇒(ならば)』、『¬(否定)」の4つの記号だけで説明できる。
 《花屋探偵》の推理の根拠を【公理】として上げ、【推論規則】に則ってすべて“真”であれば【結論】は正しい。
 ひとつでも間違っていれば、【結論】は“偽”である。

 はたして硯さんの検証結果は?
 詠彦はゆりちゃんの依頼に答えられるのだろうか。

 レッスン2「クロスノットと述語論理」
 詠彦の先輩。警察にも顔が利く行動葉現役大学生《謎中毒者(Addicted of Riddle)》中尊寺 有の「対偶推理」は、硯さんも完璧だと認めた。
 ただし、“古典論理的”にはである。
 『ヘンペルのカラス』の弱点『カラスのパラドックス』を“直観主義論理”で再検証する。

 レッスン3「トリプレッソと様相論理」
 おお、ここで登場してるんですね! 《借金探偵》上苙 丞(うえおろ じょう)と《ブラック金貸し》姚 扶琳(ヤオ フーリン)さん。
 借金額が1.6倍に増えているのと、助手がいることから「その可能性はすでに考えた」より時制は未来なんですね。

 目撃証言では双子のどちらかが行った犯罪なのだが、一人には堅実なアリバイがあり、一人は元々犯行不可能なほどの怪我をしていた。
 雪道に残った足跡は一人分。
 予知能力を持つ探偵の《網羅推理》はこの事件を“奇蹟”と呼んだが?
 証明も反証もできない「ゲーデルの第一不完全定理」に対する、可能性を扱う「様相論理」とは?。
                  恋と禁忌の述語論理

進級試験「恋と禁忌の・・・・・・?」

 いやいや、詠彦くんの周りにはどれだけ名探偵がいるんですか!
 まだ二十歳前の甥っ子を可愛がるアラサー叔母さんは、ここまでの三つの「事件」に、ある疑問を持っていました。
 すべてが明らかになるラストの進級試験。

 これは続きは書けないのだろうか。

第1616回 聖女の毒杯

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井上真偽 「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」

 第一部 婚(フゥン)
 とある地方に伝わる「カズミ様伝説」。
 不幸な婚礼を強いられた武家の娘が、婚礼の席で夫となる男や家臣を大量に毒殺したという伝説。

 今、姚 扶琳(ヤオ フーリン)の目前で、婚礼の儀式が行われていた。
 大杯に注がれたお神酒を新郎新婦と両家の人間が回し飲みした後、3人の人間と1匹の犬が死んだ。
 同じ大杯から酒を飲んだのは7人。
 容疑者は生き残った花嫁を含む4人と、倒れたものを開放した親族、酒を注いだアルバイトの中学生の少女の計7名。
 フーリンについてきた小学生探偵・八ツ星聯はこの謎に挑む。

 次々と上がる仮定推理と容疑者の乱立に、かつて破門された師匠・上苙 丞(うえおろ じょう)よろしく、否定推理を繰り広げる八ツ星少年。
 だが、決定的論証ができず、犯人は不明のままだ。

 しかし、読者だけには犯人の名が告げられます。

 第二部 葬(ヅァン)
 因縁の連鎖か。この事件の中に、かつてフーリンが所属していた黒社会の最高権力者の身内がいた。
 フーリンは否応なく、容疑者7人の中から真犯人を見つけなくてはならない。
 だが、八ツ星少年が元師匠に委細を伝えたとき、師匠は「容疑者の中に犯人はいない。これは《奇蹟》だ!」と言ったという。

 今回は「その可能性は既に考えた」という毒使いの論客を相手にしなければならない小学生探偵は、初恋の女子中学生の冤罪を晴らせるのか?

 第三部 悼(ダオ)

                   聖女の毒杯

 いやはや、二転三転する裏事情の開示によって、中盤以降にようやく全体図が見えてきました。
 犯人を途中で読者に向かって告げてしまうところにエンターティメント性が現れていますね。
 これで、このあとの展開が面白くなっています。
 次はデビュー作を読んでみるかな。

第1610回 その可能性はすでに考えた

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井上真偽 「その可能性はすでに考えた」

  続編の「聖女の毒杯」が出ていたので、第1作から購入してみました。

 金銭感覚が麻痺している探偵・上苙 丞(うえおろ じょう)。
 青く染めた髪と翡翠色の右目、ターコイズブルーの左目の虹彩異色眼(オッドアイ)。
 白手袋と紅包(ホンパオ)のような上衣を着た白皙の美青年。

 裏の金貸業を営む中国人・姚 扶琳(ヤオ フーリン)
 長身・美貌の女性だが胸部が豊満というか、全身の肉が余裕がありすぎる金貸し。

 二人の元に依頼に現れたのは、かつて小学生の頃、自分は殺人を犯したかもしれないという少女だった。
 どんな可能性のあるトリックでも否定する探偵。
 あらゆる可能性を打ち破れば、そこに残るのは《神の奇蹟》だけだ。
 「この世界に奇蹟が存在することを証明する」
 
 謎の逆密室集団殺人事件の唯一の生存者。
 謎に挑む挑戦者(チャレンジャー)たちの推理を、すべて論理的に否定することができるのか?!

 従来のミステリの手法とは真逆の論理ですね。
 可能性を論ずる方は、事実に矛盾しなければどんなトリックを用いても良い。
 可能性を否定する方は、確実に事実に即していなければならない。

 魔女ベアトリーチェの密室殺人と、魔法など存在しない、全て人間のトリックだと主張する右代宮戦人の立場を入れ替えたようなものですな。
 こういう論理バトルは大好きです。
                その可能性はすでに考えた

 第一章 吉凶莫測(ジーシォンムォッツァ):吉凶読めす
 第二章 避坑落井(ビーコンルゥオジン):一難去ってまた一難
 第三章 坐井観天(ズォジングァンティアン):井の中の蛙
 第四章 黒寡妃球腹蛛(ヘイグァフーチュウフーヂュ):クロゴケグモ
 第五章 女鬼面具(ニュグゥミィエンジュ)
 第六章 万分可笑(ワンフュンカーシャオ)