まるでダメな男の日記

このブログでは趣味のゲームや読書感想など非生産的な駄文を書き連ねていく予定です。

第1546回 深紅の碑文(4)

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上田早夕里「深紅の碑文(下)」The Ocean Chronicles Ⅱ

 前作「華竜の宮」で語られなかった空白の40年。

 第三部
 承前

 ストーリーメモは結構長くなりましたので割愛します。(笑)
 下巻の終盤では青澄さんは70歳を越えています。
 彼の〈アシスタント知性体〉マキのコピーを乗せたアキーリ号が、25光年先の惑星へ200年かかる旅に出発する場面をベッドの上から見送ります。
 青澄誠司、星野ユイ、鴻野マリエ、アルビィ・グラント、アニス司祭、ザフィールらが選んだ道は所々で交わり、そして離れていきました。
 青澄はついに第二次プルーム上昇の災害を見ることなく逝きましたが、彼の残した計画が、今後どのように展開していくのか、続きを書かれるのを待ちたいですね。

 巻末の解説では《The Ocean Chronicles》シリーズの長編は「華竜の宮」と本作で終わるようで、予定としては
 ・宇宙船アキーリ号が到達した〈惑星マイーシャ〉での〈アシスタント知性体〉たちの物語。
 ・〈大異変〉を生き延びた人類と、深海型改造種ルーシィたちの物語。
 ・時代を遡って〈魚舟〉開発の物語や登場人物たちのサブ・エピソードなどの短編。
 ・《プルームの冬》の時代の物語。

 を中短編の連作で紡いでいくようです。
 楽しみに待っています。
                  深紅の碑文 下

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第1545回 深紅の碑文(3)

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上田早夕里「深紅の碑文(下)」The Ocean Chronicles Ⅱ

 前作「華竜の宮」で語られなかった空白の40年。

 第三部
 《海上民》の武装集団「ラプカ」に武器を提供する謎の組織〈見えない十人〉。
 青澄は公安当局から「ラプカ」と接触があるのではと監視されながらも、ザフィールたちとの交渉を行う。
 青澄の目的は迫り来る《プルームの冬》に備えること。もう還暦に近い青澄には残された時間は少ない。
 今は《海上民》と《陸上民》で争っている時代ではないのだ。
 だが交渉は不満足な結果に終わり、「パンディオン」の物資輸送船団への攻撃が始まった。

 ツェン・MM・リーが良心と引き換えにしてもいいなら開けろと渡したデータディスク。
 青澄は世界を裏側からコントロールしている〈見えない十人〉とアクセスした。
 大企業の重鎮、政府の高官、学者、《海上民》のオサ、世話役クラスの海と陸の商人など、その総数は十人以上の“経済力によって公的機関が処理できない問題に当たる〈裏の世界経済評議会〉”。
 表の法律に縛られず、倫理を踏み越えても目的を達成する組織の力は、青澄にとっても魅力的な泥沼だ。因われたらその力に酔いしれるだろう。
 だが、青澄は敢えて〈見えない十人〉の一員となる。

 統合科学科を卒業した「深宇宙開発協会(DSRD)」へ就職した星川ユイの最初の配属先は広報課だった。宇宙船を作りたいという希望から外れた配属は、彼女の父の友人である渉外部長の御倉の配慮であった。
 燃料となる重水素製造工場、ロケットの部品を作っている工場への訪問、〈アシスタント知性体〉コピー・マキとの対話、一般市民への講座の仕事をこなしていくうちに、ユイは《アキーリ計画》への理解と、反対派の妨害の危険性を学んでいく。
 そして最初のロケットの打ち上げが成功した日、テロ行為によって恩人の御倉たちスッタフは死亡した。
 数ヶ月後、ネオ・ギアナのロケット組立工場へ配属されたユイは、《NORD(ネジェス統括部)》の査察団の中に友人だった鴻野マリエを見つける。
 そして査察の結果、《アキーリ計画》は凍結されてしまった。

 
 この時点で青澄さんは58歳で、若い時からの激務で身体はボロボロです。
 〈アシスタント知性体〉マキは外務省を辞めるときに機密保持のため記憶データを抹消され、青澄の少年から青年時代までの記憶しか持っていなかったので、新規に鍛えるのと同時にボディを若い女性型に交換していました。
 それからまた20年近く経ったんですね。
 
 さて、世界の裏側の勢力に食い込んだ青澄さんはどうするのでしょうか。
 アニス司祭との仲が気になります。

第1541回 深紅の碑文(2)

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上田早夕里「深紅の碑文(上)」The Ocean Chronicles Ⅱ

 前作「華竜の宮」で語られなかった空白の40年。

 第二部
 赤道沿いに並ぶ十基の海上都市群《マルガリータ・コリエ》建設が進み、青澄誠司の年齢は五十歳を越えていた。
 民間救護団体「パンディオン」理事長として次代の後継者を育てながら活動するが、いまだ《海上民》と《陸上民》の対立改善の目処が立たない。
 《海上民》のコミュニティを襲う「海上強盗団(シガテラ)」だけではなく、機械船、潜水艦まで使い《陸上民》の艦船を襲う「ラプカ」と言われる思想グループ。
 《陸上》側も軍だけではなく民間軍事会社を雇い応戦する。
 両者の緩衝役として青澄が接触を持とうとする「ラプカ」のリーダーの一人にザフィールという男がいた。

 若い頃は医者である父の背中を追い、《陸上》の大学で疎外されながら医師資格を取った《海上民》ヴィクトル・ヨーワ。
 しかし、薬品も清潔な水も不足している医療の現場に心を折られ、放浪の医師として過ごす間に彼の心は変質していく。
 医者として人命を救う立場から、冷酷に人命を奪う「ラプカ」への転向。
 彼が辿ってきた数奇な運命はどこで青澄と交わるのか。


 いやいやザフィールさん、凄まじい遍歴でしたね。
 こんな経験をしたら人生観変わりますよね。
 〈殺戮知性体〉に追っかけられるとこは怖かったです。
 彼の〈魚舟〉のガルくんはどこへ行ってしまったのでしょう。

 、「深紅の碑文(上)」には第三部が二章分ほど収録されていますが、これは下巻の方で書きましょう。
 なかなかいいところで終わっています。
 リーさんが青澄に渡したデータは一体何なのだろう?

第1540回 深紅の碑文(1)

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上田早夕里「深紅の碑文(上)」The Ocean Chronicles Ⅱ

 前作「華竜の宮」で語られなかった空白の40年。

 第一部
 第二次ホットプルーム上昇による、人類存続が絶望視されるほどの〈大異変〉が五十年以内に起ると発表されてから五年。
 前作で主役のひとりであった青澄・N・セイジは四十二歳で外務省を自己都合退職し、「パンディオン」という民間救護団体を設立。
 外洋公館の公司としてのネットワークと、兄たちの経営する青澄コンツェルンの経済力をバックに活動を開始した。
 地球全体を覆う膨大な火山灰による《プルームの冬》は太陽光を遮り、地上部では最大三千メートル、海上部でも赤道付近で一千メートルの厚さの氷で覆われるという試算もでた。
 青澄が苦労して築こうとしている海上都市群《マルガリータ・コリエ(真珠の首飾り)》も存続が危ぶまれる。
 最大の課題は電力問題だ。これがなければ食糧生産もおぼつかない。
 太陽光、水力、火力、風力、地熱、海水の温度差、潮流による発電、バイオ燃料などの方法が封じられたため、残るは人類が制御出来るかわからない核融合発電しかない。
 様々な難問が積み上がる中、青澄は「深宇宙開発協会(DSRD)」の渉外部長御倉・MM・リード、「汎アジア連合」の救済事業局総指揮者ツェン・MM・リー、「調和の教団(プレジア・アコルド」の交渉担当祭司アニス・C・ウルカと接触を持つ。 

 将来、確実に〈大異変〉に立ち向かわなくてはならない世代の子供たち。
 統合科学科に進んだ一二歳の星川ユイたちミドルクラスの少年少女たちの中に、〈大異変〉への危機管理に特化した人工児〈救世の子〉らがいた。
 大人になったらロケットを打ち上げるという夢を持つユイは、〈救世の子〉のひとり鴻野マリエと知り合う。
 エリート意識の強い〈救世の子〉の中で、一般人のユイという友を得たマリエは仲間内からも異端児として扱われていく。
 そして六年が経ち、子供たちは卒業する。
 ユイは長年の夢だった「深宇宙開発協会(DSRD)」へ就職する。

              深紅の碑文 上

 ここまでが上巻の前半部ですね。
 青澄の<アシスタント知性体>・マキのコピーも搭乗する、人類の遺伝子<生命の種>を宇宙船でほかの星へ送り出す計画。
 世界に残された資材、財源も少なく、《プルームの冬》への対応に追われる中での宇宙船建造計画は世界からバッシングを受けます。
 焦点となっているのは核融合エンジンの実用化と、その技術を応用する核融合発電所計画。
 《リ・クリティシャス》以降、封印された核技術は、一歩間違えれば《プルームの冬》とは別の意味で人類を滅ぼすかも知れない。

 後半で登場したユイとマリエはこの先どう関わっていくのか。
 第二部に進みたいと思います。 

 

第1472回 華竜の宮(下)

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上田早夕里「華竜の宮(下)」The Ocean Chronicles

               華竜の宮 下
 第二部

 アジア海域は複数の地殻プレートが錯綜し、海水を含んだ海洋プレートが大陸プレートへ沈み込んでいる。
 含水鉱物層には大量の酸素と水素が岩石に化学結合している。
 マントル層では下降対流によるコールドプルームが存在する場所だが、地球科学シミュレーションではこの近隣にマントル上昇による第2のホットプルームが現れるという計算結果が出た。
 このホットプルームが含水鉱物層に到達すると、巨大なマグマ溜まりができる。
 この《竜の宮》ができる場所はアジア大陸中央部。
 数千キロに渡るマグマの地上噴出は、膨大な火山灰による《プルームの冬》をもたらし、今度こそ地球上の生物は絶滅に瀕するだろう。

 地上民、海上民のどちらかが生き延び、人類の遺伝子を未来へ残すには、一部の人類を深海に適合した肉体に作り変えるしかない。
 光の届かない深海での知覚能力、脳の言語野の保存、両性具有、または単体生殖の機能の追加。
 そしていつの日か《プルームの冬》が終わり、深海に光が届くとき、彼女らは再び地上への道を歩み始める。
 “光”を意味するルシィの名を冠した極限環境対応計画(L計画)に残された時間は最大で50年とされた。
 必要なのはワクチン無しで病潮に遭遇しても罹患しない、人間と同じ体を持つ《獣舟》変異体の遺伝子データ。


 そして48年後。大地から燃え盛る無数の竜が解き放たれた。

 
 《The Ocean Chronicles》シリーズの第1長編。
 第32回日本SF大賞受賞、第10回センス・オブ・ジェンダー賞大賞、『SFが読みたい!2011年版』のベストSF2010投票の国内篇1位。
 加筆修正の上で2分冊文庫化されたものです。

 こういうカタストロフィものはその設定と規模を理解させ、対処に立ち回る人々の困難さをどれだけ読者に共感させられるかが肝ですね。
 人類とは滅びの間際になっても利己的な勢力は無くならず、足を引っ張り合うばかりです。

 「そして48年後」といきなり話を飛ばしましたが、じつはこの空白の40年は本書に書かれておりません。
 第2長編「深紅の碑文」がこの期間の物語となっていて、買ってきてあるので読み進めたいと思っています。