石田衣良「逆島断雄 進駐官養成高校の決闘篇2」
度重なるタツオへの暗殺事件は、進駐官養成高校内でも逆島家の復権を目指す《暁島会》と、五王家、東園寺家の《五東連合》の抗争を激化させていった。
新学期、戦場で実践経験を持つ佐竹宗八が特別編入してくる。
命を落とした浦上の代わりに東園寺カザンの護衛役を特命とする《五東連合》側なのだが、なぜか逆島タツオに慈愛の目を向ける。
彼は激戦区の僅かな生き残りの兵士であり、生き残れたのは逆島派の進駐官と兵士のおかげだとタツオとカザンに伝える。
だが、これを境にカザンは幼馴染の縁を、タツオと切ると宣言した。
秋の文化祭《東島祭》で、一年三組の出し物はクラス最強トーナメントと決まった。
《東島祭》の本戦出場十六名を決めるための予選が行われるが、対戦相手は相撲部の巨漢であった。
通常ではとても勝てない相手だが、逆島家の秘伝《止水》をこんなところで使うわけには行かない。
だが、絶体絶命の危機に、タツオの中で幼い頃より鍛え上げられた技が目覚めていく。

どうやら一千年以上も皇室に仕えてきた《近衛四家》には、それぞれ秘伝の技があるようですね。
逆島家の《止水》。東園寺家の《呑龍》。
だが、父を早くに亡くしたタツオは《止水》の第二段階すら教わっていない。
果たして《呑龍》を体得しているカザンに、タツオは勝てるのか?
「逆島断雄 進駐官養成高校の決闘篇」はこの二冊で終わりですね。
次の「逆島断雄と日乃元本土最終防衛決戦」が書籍化されるのは、いつのことやら。
IWGPの新刊も早く文庫化してください。
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石田衣良「逆島断雄 進駐官養成高校の決闘篇1」
万世一系の代々の女帝に治められ、皇紀2700年を超える日乃元皇国。
100万を超える受験生の中で256人が入学を許された、偏差値80を軽く超える東島進駐官養成高校。
全国から集まった最優秀の学生達はここで3年間を学び、日乃元皇国の将来を担う逸材として卒業していく。
元・近衛四家の一角だった逆島家は、師団長だった当主・逆島靖雄中将の軍令違反と反逆によって没落した。
逆島断雄(サカシマタツオ)はその逆島家の次男坊であった。
その家柄から皇族の子女とも親しかったタツオだが、争いを好まぬ彼を妬む者は多い。
逆島家の没落の煽りを食って、近衛四家の序列第四位に落ちた東園寺家の幼馴染である華山(カザン)はタツオに敵愾心を剥き出しにする。
そして護衛のいない名家の子弟は、打ち負かせば名を上げるのに格好の標的だった。
しかし、校内での狙撃事件、行軍遠足での襲撃、夏季総合運動会での銃撃と、次第にタツオと第二皇女・瑠子(ルコ)さまは命を狙われていることが判明する。
タツオの仲間となった天才児・菱川浄児(ジョージ)、谷照貞(テル)、鳥居國芳(クニ)の3人と、幼馴染の東園寺彩子(サイコ)のグループ。
超甲種機密事項とされる「ウルルク首都攻防戦」、「逆島靖雄の反乱」とはなんだったのか?
アメリア民主国、エウロペ連合、氾帝国ら列強が植民地を奪い合い、「自由・平等・博愛」を掲げる秘密結社《トリニティ》が紛争解決のため圧倒的軍事力・影響力を振るう世界で、15歳の少年はある“秘密”に接触する。

我々の世界とは違う歴史をたどった世界。
科学技術は精密な3D戦闘シミュレータを教材に使えるほどで、兵士は全員、ウェアラブル・コンピュータを装備し、支給された銃器は個人認証で本人以外使用できない。
この養成高校を成績上位20%で卒業するか、下位20%で卒業するかで任官地での死亡率が3倍違うという能力主義のシステム。
このSFラノベっぽい設定を石田衣良さんが書くとは思わなかったが、考えてみれば「IWGP」シリーズのように若者が理不尽な世界に手段がグレーだろうがブラックだろうか、構わず立ち向かっていく姿勢を思わせるという点で、世界をシフトさせたと思えばいいだろうか。
嬉しいのは、これがまだ物語の始まりの部分で、これからまだまだ読めるということだ。
石田衣良 「憎悪のパレード 池袋ウエストゲートパークⅪ」
久々のIWGPですね。
マコトもキングも20代後半でもヤンチャなままです。
北口スモークタワー
ギャンブラーズ・ゴールド
西池袋ノマドトラップ
憎悪のパレード
の4篇を収録。

ムカつく奴らを合法、非合法な手段で退治する彼らに、ヒッターは拍手喝采です。
この巻の後が出てないんだよなあ。
また首を長くして待つしかない。
石田衣良 「赤・黒(ルージュ・ノワール) 池袋ウエストゲートパーク外伝」
買い置きの山から掘り出す。 これだけ読んでなかったんだよな~
時給1億円の仕事。そんなうまい話には落とし穴があるのが当たり前である。
本伝7巻「Gボーイズ冬戦争」の次に発売された作品で、語り部は小峰というギャンブルにはまった映像ディレクター。相棒は氷高組のサルこと斉藤富士夫。
莫大な借金をどうやって返すのか?
カジノの場面が面白い。
「賭博黙示録カイジ」や「マルドゥック・スクランブル」、「今出川ルヴォワール」のようにギャンブルで白熱する場面が好きだ。
巻末の国際博打打ち兼業作家・森巣博さんの解説が面白い。やはりパチンコ業界と警察のやり方は許せん。

「憎悪のパレード 池袋ウエストゲートパークXI」の文庫化を待つ。
石井衣良「キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇」

去年の秋に買って、そのままだった。(笑)
タカシ、マコトの高校時代のお話である。
この青春篇は本編の設定と矛盾があり、別設定の物語と考えていいだろう。
都立豊島工業高校。生徒の三分の一がドロップアウトする不良の名門高校。
二人は十七歳の高校二年生だった。共に父親が病死した母子家庭だった。一緒に「火垂るの墓」を見る親友同士だった。
まだ池袋のチームが数十に別れ、構想していた群雄割拠時代。新宿や練馬のチームに負けないよう、池袋をまとめようとした男・タケル。
まだ世の中の表と裏の顔を知らない、暴力沙汰の嫌いな二人の運命はタカシの兄・タケルによって変わっていく。
ヒッターはこういう物語が好きですね~。面白かったです。
やはり、中学生の時に読んだ平井和正さんの「ウルフガイ」の影響なのか、中学生、高校生が大暴れするのがスカッとしますね。
本編の方は第2部が再開していますが、まだ文庫化されないだろうな。