まるでダメな男の日記

このブログでは趣味のゲームや読書感想など非生産的な駄文を書き連ねていく予定です。

第1667回 マルドゥック・アノニマス(2)

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冲方 丁「マルドゥック・アノニマス 2」 Mardock Anonymous

 謎の《ファンド・マネージャー》の指示で潰し合いを演じる非合法《強化された者(エンハンサー)》たち。
 敵の持ち物に変身(ターン)にて潜入したウフコックは、電子的干渉能力を持つ双頭犬ジェミニのため、〈イースターズ・オフィス〉への連絡の封鎖を余儀なくされた。
 《五重奏(クインテット)》のリーダー・ハンターの能力(ギフト)も、ウフコックにとっては天敵に等しいものだった。
 ウフコックと同じ《五つの理解行為(ペンティーノ)》「目的」「論点」「仮説」「検証」「示唆」を常に意識して行動する同属性。
 そして、とる行動はウフコックとは真逆の存在。「暗殺」「誘拐」「拷問」「脅迫」「監禁」の旋律を奏で、《天国への階段(マルドゥック)》を登る。

 2つの犯罪組織を潰した《クインテット》は《ファイブ・スター》を吸収し、さらに市(シティ)に巣食う5つの最悪なギャング・グループを標的とする。
 情欲の宮殿に支配者たち:性風俗と映画界を縄張りとする〈バトラーズ・イン・パレス〉
 強欲な探求者たち:合成麻薬グループ〈ゴールドラッシュ・ブラザーズ〉
 憤怒の商隊:武器密売組織〈ルート44〉
 欺瞞の帝王:腐敗警官の巣・市警17番署
 背徳の信徒たち:人間狩り狩猟家倶楽部〈スポーツマン〉

 次々と敵対勢力を共感(シンパシー)能力で取り込んでいくハンター。
 彼ら非合法《エンハンサー》を生み出した〈円卓〉の目的はなんなのか。
 〈イースターズ・オフィス〉はこの強大な敵に立ち向かえるのか。
 そして、非合法《エンハンサー》にも《クインテット》に対抗しようとする者がいた。
 メイフュー・ストーンホーク=〈ザ・シャドウ〉
 アビゲイル・バニーホワイト=〈ザ・フライング・ダガー〉
 トビアス・ソフトライム=〈ザ・サーキット〉
 彼らはどちらの側に立つのか。
 名前しか出ていない《ファイブ・シャドウズ》、《第五部隊(フィフス・プラトゥーン)》にはどんな非合法《エンハンサー》がいるのか。

                 マルドゥック・アノニマス2
 
 どう考えてもあと1冊では終わりそうもないですね。(笑)
 いや、別に3冊で終わらくても構いませんよ。
 電子的干渉能力ではルーン・“バロット”・フェニックスを上回る双頭犬ジェミニが難物ですね。
 能力者バトルが楽しみです。
 

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第1483回 マルドゥック・アノニマス(1)

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冲方 丁「マルドゥック・アノニマス 1」 Mardock Anonymous

 マルドゥック3部作の完結編がついに登場した。
 「マルドゥック・スクランブル」の事件から2年後。
 〈イースターズ・オフィス〉は“禁じられた科学技術”による《強化された者(エンハンサー)》たちを増強し、ウフコックは新しいパートナーであるロックと行動を共にしていた。
 だが、弁護士サム・ローズウッドが持ち込んだ依頼はウフコックに新たな試練を与えることになる。

 現場捜査、証人保護、法的交渉、犯人逮捕の主要業務《四分の四(カトル・カール)》を行う〈イースターズ・オフィス〉。
 所長 ドクター・イースター
 秘書の人体マニア  エイプリル・ウルフローズ
 ネズミ型万能兵器 ウフコック=ペンティーノ
 トマト由来の貪欲な電子の巨木 〈ウィスパー〉
 トレイン=〈ザ・コードブレイカー〉
 ウェイン・ロックシェパード=〈ザ・ステアー〉
 アレクシス・ブルーゴート=〈ザ・カクテルシェイカー〉
 イーサン・スティールベア=〈ザ・パウダー〉
 ダーウィン・ミラートーブ=〈ザ・シェイプシフター〉
 ウォーレン・レザードレイク=〈ザ・モールト〉

 彼らと同等以上の《エンハンサー》である敵。
 暗殺、脅迫、誘拐、拷問、そして監禁を生業とする《五重奏(クインテット)》を名乗る集団と、その影にいる〈ドクター・ホイール〉とオクトーバー社。
 さらに《五重奏(クインテット)》に敵対する複数の《エンハンサー》のチーム。

 《五重奏(クインテット)》
 ハンター:《五重奏(クインテット)》のリーダー
 3匹の強化猟犬:ナイトメア、シルフィード、双頭のジェミニ
 バジル=〈ザ・ハンギング〉
 ラスティ=〈ザ・ゴーバッド〉
 シルヴィア=〈ザ・ホットキス〉
 トレヴァー=〈ザ・ジューシーボディ〉

 《ファイブ・スター》
 ハイドラ=〈ザ・ジェリーロール〉
 エリクソン=〈ザ・サンドプリンター〉
 オーキッド=〈ザ・エコーマン〉
 バルーン=〈ザ・アシッドマン〉

 異能力者たちの戦いが始まる。

 「マルドゥック・フラグメンツ」収録の「Preface of マルドゥック・アノニマス」でガス室の場面とルーン・“バロット”・フェニックスの登場が描かれていたがようやく本編が読めたな。
 まだ1巻目だが、「フラグメンツ」ではダンテの「神曲」になぞらえて「ヴェロシティ」が地獄編、「スクランブル」が煉獄編、「アノニマス」が天国編になると語られていた。
 この作品も全3巻ぐらいになりそうだから、次巻を楽しみにしよう。
                マルドゥック・アノニマス 1

第1259回 天地明察(下)

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冲方丁「天地明察(下)」

                  天地明察(下)

 渋川春海こと二代目・安井算哲二十九歳、妻帯す。妻・こと十九歳。
 碁打ち衆四家の内、安井家と本因坊家の前代未聞の争碁、上覧二十番勝負が始まろうとする中、春海は水戸光圀(四十歳)と会った翌日、大老・酒井忠清に新たな下命をされることになる。
 それは会津藩主・保科正之からの招致であった。

 この辺は「光圀伝」で出てきましたね。ここからが面白い。
 視力の弱った保科正之と碁を打つ春海。正之の初手は?

 永らくこの国で使用されてきた「宣明暦」。一年の長さは三六五.二四四六日とされてきた。
 しかし、実際の観測はそれよりわずかに長い。
 ときに「授時暦」というものがある。元の皇帝フビライが宋と金を打倒したとき使われていた「大明暦」を改訂したもので、一年を三六五.二四二五日としている。
 西洋でいうグレゴリオ暦に近い数字だが、これを超える精度のものをいまだ誰も作ったことがない。
 そもそも「授時暦」の術理の解析から始めなければならなかった。
 この歴法を支配したものは宗教、文化、政治、経済的効果を手中にできる。
 この時より春海の人生を賭けた苦闘が始まる。


 まあ、この後の内容は書きませんが、この暦法改訂の後でも旧暦と言われる太陰太陽暦が日本の暦だったのですね。
 現在、日本で使われているのは明治五年十月一日より施行のグレゴリオ暦です。
 暦法、カレンダーの起源については高校生の頃、アイザック・アシモフの著書のエッセイで面白く読みましたが、実際観測されている一年は平均太陽年(回帰年)の 三六五.二四二一八九五七二日で、四〇〇年間で閏年を修正しているんですね。

 修正ユリウス暦では
 ・西暦年が4で割り切れる年は閏年
・ただし、西暦年が100で割り切れる年は平年
・ただし、西暦年を900で割った余りが200または600になる年は閏年
 このユリウスは、ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)のことで、July(7月)の語源にもなっている。

 グレゴリオ暦では最後が
・ただし、西暦年を400で割り切れる年は閏年
 である。

 冲方丁氏の時代物を2作続けて読んだが、マルドゥック三部作も終わらせてほしい!
 

第1258回 天地明察(上)

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冲方丁「天地明察(上)」

 序盤から算額絵馬と“関”の名前が出てきましたね~
 「和算に恋した少女」(第1154回)ではもう老境に入っていたので、若い時の関孝和の登場に期待しました。

 「釣(高さ)九寸、股(底辺)十二寸の勾股弦(直角三角形)の内部に、直径の等しい円を二つ入れる。円の直径を問う。」
  明察1

 時は四代将軍・徳川家綱の治世。
 徳川家に仕える碁打ち衆四家、本因坊、安井、林、井上の一つ。安井算哲の名を継いだ渋川春海が本書の主人公である。
 春海が碁打ちという職を越えて老中・酒井“雅楽頭(うたのかみ)”忠清から下命されたのは、日本各地での北極星の観測であった。測地の術の一つ、「北極出地」。それは北極星の鷹さを計ることで緯度を計測し、地図の根拠となる数値を求めるものであった。
 だが春海は同じ二十三歳だという、まだ会ったことのない天才算術家・関孝和への出題を行いたかった。
 出立の前に完成した設問は関孝和名指しで磯村塾に張り出された。
 しかし、関の出した解答とは?

 磯村塾のえんさんがなかなか好いですねえ。必ず箒を持って立ってるんですね(笑)
 まだこの時点では「光圀伝」で書かれたとこまで進んでおりません。
 日本の「割算」って、知恵と徳とをもたらす木に成る“含霊”なる果実を、人類の始祖である夫婦が二つに分けて食べたことから始まったんですか!
 すごいぞアダムとイヴ!!

 観測隊を率いる二人の老人により、春海は現在使われている暦(宣明暦)が日数にして二日ほど遅れていることを知る。
 唐国から伝わってからすでに八百年。誤差は溜りに溜まっていた。何度か改訂の機会があったにもかかわらず、朝廷がそれを拒否していたのである。
 観測隊一行は江戸から南へ向かい、四国、九州から琉球、朝鮮半島、北京、南京にまで観測は及んだ。
 隊長である建部は病により離脱し、「渾天儀」を作り、胸に天を抱く夢を春海に託す。

 旅は一年を過ぎ、北陸から東北を廻り江戸へ帰還したのは四百八十七日後だった。
 渋川春海二十五歳。この年、円周率はそれまで使われていた三.一六より三.一四が近いという術理を解明した『算俎』が出版された。


 気に入ったのは春海の柏手を打つ場面ですね。
 左手は火足(ひたり)、すなわち陽にして霊。
 右手は水極(みぎ)、すなわち陰にして身。
 拍手とは、陰陽の調和、太陽と月の交錯。霊と身の一体化を意味し、火と水が交わり火水(かみ)となる。

 このまま下巻に進む。

                   天地明察(上)

第1245回 光圀伝(下)

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冲方丁「光圀伝(下)」

                  光圀伝(下)
 光國30歳。
 儒学では30歳を「而立(じりつ)」というが、自分はまだ若輩で未熟だから、歳を訊かれたら29歳余りと告げよう、と元旦詩にある。 30歳になりたくないのは何時の世でも同じなのね(笑)
 この年、江戸を大火が襲う。「明暦の大火」。江戸城の天守閣まで燃えた火災は、多くの人命と共に膨大な書物も燃やし尽くした。
 幕府が林羅山に編集させていた「史書」も完成を見ず、膨大な資料と共に灰になった。
 叔父の尾張徳川義直の悲願であった、中国の司馬遷が記した「史記」に当たる「日本史」を編纂したいという夢。光國が受け継いだその全ての資料さえも炎の中に消えた。
 ここから水戸光國の「大日本史」編纂の事業が始まる。
 「史記」のように紀伝体(本紀、世家、列伝)のような記述をする史書は日本初であるが、なにせ、資料集めから再開せざるを得なかった。

 その光國に訪れる数々の訃報。悲しみを乗り越えて第二代水戸藩主の座に就く光國。
 水戸の藩主は江戸常駐で参勤交代の出費を免れる代わりに国元は家老に任せっ放しである。
 36歳。最初の就藩で喪の開けた光國は国元へ急いだ。
 御三家と言っても土地柄の貧しい水戸藩の改革は一朝一夕では行えない。
 光國が最初に行ったのは、父・頼房も手を付けられなかった寺社問題だった。

 この寺社問題は中国北周の寺社廃絶などで大掃除をしたように、税も払わず御布施を集めるだけの坊主がはびこっていたら国そのものが傾いていく大問題なんですね~
 ギリシャの公務員優遇みたいなものかしら。

 さらに光國は悪道を知るには悪道に通ずる者を師とすると、北条の風魔衆の末裔、博徒の親分と親交を持ち、水戸藩の裏の部分での防衛を任せる。
 生涯の師と仰いだ朱瞬水との出会い。(光國って日本人で最初に拉麺(ラーミェン)と餃子(チャオズ)を食べた人ですか?)
 後の家老・藤井紋太夫、反骨の士・佐々介三郎、儒学者・安積覚などの手を借り、膨大な人脈の元、諸大名、公家、皇家を問わず日本中の資料の収集にあたるのだが、それは思わぬ副産物を生みだしてしまう。

 水戸光國が、名前を光圀に改めるのは57歳の時。國は惑いに通じると八方の圀に置き換えたのである。
 (不惑なら40歳の時にやれよ(笑))


 いや~、面白かった。
 勧善懲悪の「水戸黄門漫遊記」ではなく、濁(不義)から始まり清(義)を求めて足掻いた一生。
 その望んだ天下は、手に入れてもまだまだ果てしなき先があった。その境地に達することができる者は希である。

 ヒッターのお気に入りは左近の局(さこんのつぼね)さんです。ぜひ、一生、側に侍らせて膝枕してもらいたいですな。

 作中でも登場した改暦事業。
 買ってある「天地明察」を読まねば。