まるでダメな男の日記

このブログでは趣味のゲームや読書感想など非生産的な駄文を書き連ねていく予定です。

第2229回 去年を待ちながら[新訳版]

Posted by ヒッター7777 on   0 comments   0 trackback

フィリップ・K・ディック「去年を待ちながら[新訳版]」 Now Wait for Last Year

 太古、ムスティエ時代と呼ばれる頃。
 アルファケンタウリ帝国のリリスターたちは小艦隊を太陽系に派遣し、火星と地球に植民した。
 しかし両惑星の植民者により戦争が勃発し、火星植民地は滅び、地球のリリスターたちも退行したが、やがて文明を復活させた。
 それが現在の地球人類である。
 やがて宇宙開発に手を染めた人類は、再びアルファケンタウリの同族とコンタクトをとるようになる。
 しかし、リリスターは六本足の外骨格生命体リーグと紛争中であった。

 西暦2055年、地球人類はふたつの強大な星間帝国の戦いに巻き込まれていた。
 形勢はリリスター側が不利な状況だった。
 臓器移植医のエリック・スイートセントは、国連事務総長ジーノ・モリナーリの専属医の要請を受ける。
 死を控えたモリナーリを生かし続けるには付きっきりで看る必要がある。
 そしてエリックには妻のキャシーと、一緒に暮らしたくない過去の理由があった。
 
 モリナーリの元から一度戻ったエリックは、キャシーが非合法のドラッグ「JJ-180」を使用した嫌疑を掛けられたことを知る。
 それは地球外でしか手に入らない薬物。敵であるリーグが作ったものとされているものであった。
                去年を待ちながら
 時間旅行を可能とするドラッグ。
 未来を見た人間はどういう行動をするのか。
 もし、不利な未来を見たならば、現在でそれを阻止しようとし、見たはずの未来は訪れなくなる。
 それはドラッグによる幻想を見たのと同じではないのか。
 リーグと和解しようとする地球側と、それを牽制するりりスターとの駆け引き。
 巻き込まれたエリックがとった行動は?

 フィリップ・K・ディックといえば映画「ブレード・ランナー」の原作となった「アンドロイドは電気羊の夢をみるか(Do Androids Dream of Electric Sheep)」を真っ先に思いつく。
 第2次世界大戦で枢軸側が勝利した「高い城の男(The Man in the High Castle )」も1960年代に書かれたものだ。
 かれこれ60年以上も前に、現代でも通用するテーマのSFを書いてたんですね。
 ヒッターはアイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインラインが好きでしたが、ディックはほとんど読んでいなかった。
 ディック作品の新訳版が次々と出版されているのは、「ブレードランナー2049」の影響だろうな。
 もう1冊「銀河の壺なおし[新訳版]」も買ってあるのだが、なんかこれ1冊でお腹いっぱいになった。(笑)

スポンサーサイト

第2208回 無常の月

Posted by ヒッター7777 on   0 comments   0 trackback

ラリイ ・ニーヴン 「無常の月 ザ・ベスト・オブ・ラリイ・ニーヴン」
  Inconstant Moon and Other Story


 懐かしいなあ。
ニーヴンの《ノウン・スペース》シリーズは夢中になって読んだものだ。
 旧短編集の再販ではなく新編集作です。
  
 帝国の遺物 A Relic of the Empire
 《ノウン・スペース》シリーズ
 異星生物学者(ゼノバイオロジスト)のリチャード・マン・シュルツマン博士が研究していた15億年前に滅んだ種族スレイヴァー。
 スレイヴァー帝国として銀河の一部分に栄えた証拠は《停滞(ステイシス)ボックス》からいくつも発見されている。
 奴隷とされていたトゥヌクティブ族は生物工学に長けており、様々な生物を創り出した。
 そのひとつ、《ステージ樹(ツリー)》の秘密とは?

 パペッティア人の星系の座標をめぐって、リチャード・マンと海賊キャプテン・キッドの頭脳戦が始まる。

 中性子星 Neutron Star
 《ノウン・スペース》シリーズ
 “絶対壊れない”が売り物であるパペッティア人のゼネラル・プロダクツ社の宇宙船。
 借金に追われるパイロット、ベーオウルフ・シェイファーに高報酬で依頼されたのは、ゼネラル・プロダクツ社製の宇宙船内で起きた死亡事件の調査だった。
 可視光線以外は最小の素粒子、高エネルギー放射線、高速、高密度の隕石も通さない船殻に守られたふたりの地球人はなぜ事故に遭ったのか。
 パペッティア人が想像もしなかった宇宙船の弱点とは?

 ベーオウルフ・シェイファーはパペッティア人の母星の秘密の一端を掴む。

 太陽系辺境空域 The Borderland of Sol
 《ノウン・スペース》シリーズ
 人類がハイパー・ドライブを使い出して400年。
 太陽系から旅立つ宇宙船の消失事件が複数発生した。
 その中にはゼネラル・プロダクツ社所属の宇宙船もあった。
 異星局特別外交部の役人シグムンド・アウスファラーは、ベーオウルフ・シェイファーと《幸運も遺伝子》を持つカルロス・ウーと共に調査に出る。

 無常の月 Inconstant Moon
 表題作の映画化予定作品。
 ある夜、常になく明るく輝いた月。月は太陽の光を反射している。
 ならば太陽に異常が起こりつつあるのだ。
 カリフォルニア大学生スタンは恋人のレスリーと共に最期の時を迎えようとする。
 地球の昼側の世界はどうなっているのか?
 異常が起こり始めたのはカリフォルニアで午後11時半で、ここは丁度、太陽表面異変の真裏だったらしい。
 空にオーロラがか輝き始め、ノヴァ・ウェザーが始まる中、ふたりは最期の夜をどう過ごすのか。

 ホール・マン The Hole Man
 最初の有人火星探査船が衛星周回軌道で地上マッピングを始めた際に、発見された異星人の基地。
 重力波を発している施設はもぬけの殻で、調査が進むにつれて異星人が行った地球人類の記録が発見される。
 地球人が生活可能な基地は60万年前に一度スイッチオフして、調査船の接近を探知してスイッチが入ったらしい。
 
 これに使われている量子ブラックホールの話はホーガンの「未来からのホットライン」のほうが面白かったな。
 短編でアイディアが活かしきれていない。

 終末も悪くない Not Long Before The End
 かつて〈剣士〉と〈魔術師〉が戦っていた時代。大抵は〈剣士〉の方が負け、人類の平均知能は上昇した。
 しかし、〈魔術師〉は10年も同じ土地に住んでいると力が弱まってくるらしい。
 とある〈魔術師〉は3度の引越しの際にある実験をし、〈真理〉に到達した。

 今、200歳を閲する〈魔術師〉の前に、強力な魔力を秘めた剣、グリランドリーを持つ〈剣士〉が登場する。

 これは魔力の元は大地にあるが、使っていると枯渇するというパターンですね。
 〈ウォーロック〉シリーズ第1作。1969年の作品でした。

 馬を生け捕れ! Get a Horse!
 文庫初収録の〈タイムハンター・スヴェッツ〉シリーズの一篇。
 PA〈原子力紀元(ポスト・アトミック)〉1100年。それは原爆の発明を紀元0年として1100年後。
 時間研究所の所員スヴェッツは1000年前に絶滅した“馬”の遺伝子を得るためにタイムマシンで送り出された。
 正確な時代設定ができないマシンで、AA〈原子力紀元前(アンテ・アトミック)〉750年に跳ぶのは初めてのケースである。
 
 猛毒の“自然水”を飲む“馬”と共にいる少女を「異種族愛好症」と断ずるスヴェッツのコメディSF。
 “馬”に角は無いよ、スヴェッツくん。(笑)
       無常の月
 「リングワールドの子供たち」は、まだ文庫化されないのだろうか。

第2175回 アルテミス 下

Posted by ヒッター7777 on   0 comments   0 trackback

アンディ・ウィアー「アルテミス 下」ALTEMIS A Novel

 殺し屋の追撃を振り切り、逆に罠に嵌めたジャズ・バシャラ。
 だが、それはジャズが10代の不良少女だった頃からのお目付け役、アルテミス保安部治安官ルーディ・ボアラとの対面を意味していた。
 まだ事情をはっきりと話せないジャズを、何故か擁護して釈放を要求するアルテミス統治官フィデリス・グギ。
 ジャズが手に入れた「ZAFO」という光ケーブルに秘められた技術。
 それは地球の世界経済に多大な影響を与えるものであり、人口と経済が飽和状態になったアルテミスの将来に関わる代物だった。

 ジャズの敵は南米ブラジル最大の犯罪シンジケート。
 それは月面都市アルテミスの敵でもある。
 ジャズは今までの人生でやらなかった事を始めなければならなかった。
 それは信頼できる仲間を作ること。
 タイムリミットは迫っている。
                    アルテミス 下
 渦巻く陰謀と、明かされていく真実。
 次々と現れる難題を解決しながら、真空の月面で行われる生命を賭けたミッション。
 面白かったです。
 一歩間違えれば大量殺人テロリストですね。(笑)
 ジャスミンが1千回使える洗浄型コンドームをいつテストするかと待っていましたが、使う機会は先のようです。

 大きく変わり始める月面都市アルテミス。
 「アルテミス」の続編は治安官ルーディがメインになるのかな。
 映画化も期待しています。

第2171回 アルテミス 上

Posted by ヒッター7777 on   0 comments   0 trackback

アンディ・ウィアー「アルテミス 上」ALTEMIS A Novel

 西暦2090年頃。人類は月面にアルテミスという都市を作りあげた。
 下半分が地下にある5つの球体(バブル)を、それぞれトンネルで繋いだ都市には約2千人の人間が住んでいた。

 合法、非合法(密輸品)の荷物配送(ポーター)で稼ぎを得ているジャスミン(ジャズ)・バシャラ。
 ある目的でスラグ(月での通貨)を貯めているジャズは、知り合いの富豪トロンヅの100万スラグという報酬で破壊活動を引き受ける。
 トロンドは月のアルミニュウム製造工場を買取りたいらしいが、なんか裏がありそうだ。
 実行犯のジャズは、もし発覚したら地球へ追放される。
 6歳の時に家族と移住してきたジャズは20年も月の重力に馴らされており、地球では立ち上がることさえできないだろう、

 問題は山済みだった。
 都市に4つしかないエアロックはすべてギルドに管理されており、そこをどうやって通過するか。
 どうやってアルムニュウムの材料となる灰長石収穫ロボットを4機全部、修理不能なまで破壊するか。
 アリバイ工作も絶対に必要だ。
 持てる限りの伝手と頭脳を振り絞ってミッションに挑んだのだが・・・
              アルテミス 上
 ジャズに降りかかってきたトラブルは、とんでもない方向に進みます。
 10代の少女の頃からいろいろとやらかしてきたジャズは、あちこちから疑いの目を向けられている。
 生命の危機に晒されながらジャズは真相を掴もうとするところで上巻終了。
 クリフハンガーですね!
 こりゃあ、どうしても下巻が読みたくなてきます。

第2163回 遥かなる円環都市 下

Posted by ヒッター7777 on   0 comments   0 trackback

マイケル・C・グラムリー 「遥かなる円環都市 下」 BREAKTHROUGH

 拘束されたペイリンが話し始めた「炭素を基盤とする生命体」の進化の秘密。
 米国の科学者たちは大西洋の海底で回転するリングが、一方通行のトンネルであることを解析した。
 ひとりの政府高官は大統領に無断で核攻撃を仕掛けたが、その結果は予想外の結果をもたらした。
                    遥かなる円環都市 下
 本作では元・海兵隊のエージェントがメインとなって異星人ペイリンと協力し合いました。
 南極大陸の陸地の乗っている巨大な氷塊は、かなりの部分が南極海の上に浮かんでいます。
 もし、海面が異常な低下を起こしたら、この氷塊は自重を支えきれません。
 はたして主人公たちは地球規模の大災害を食い止められるのか。

 本作はこの巻では全ての謎を明かしておらず、既にシリーズ化されて第3部まで発表されているようです。
 ラストにも別バージョンがあるそうですが、まあ、そちらは読まんでもいいかな。(笑)
 本作が売れれば第2部以降も翻訳されるでしょう。
 お待ちしています。